
(4)「陰で頑張る選手がいるからチームになる」徳田滉也 インタビュー
実業団の廃部、国内リーグ発足など様々なニュースが飛び交い、革新のときにある日本アイスホッケー界。その中で大学王者として君臨し続けている明大。彼らが見ている景色とは。今回は、関東大学リーグ3連覇を狙う選手たちの心境を伺うとともに、自身のルーツや競技の魅力に迫った。第4回はFW徳田滉也(政経3=武修館)のインタビューをお送りする。
(この取材は7月18日に行われたものです)
――改めて、春を振り返っていかがですか。
「これまで全大会優勝して、結果で言えばこれ以上良い結果はない2年間でした。それで春の大会でああいう感じで負けて、言葉に表せないくらい悔しかったです。今まで上に上手い選手がたくさんいたので、僕が悪いんですけど、先輩たちに頼りすぎていて、殻を破れていないことがずっと課題でした。先輩がごっそり抜けて、自分がやらなきゃいけないという立場になって、監督が決めたことですが、法大戦は自分の思うポジションでできなくて、さらに負けてしまったのでメンタル的にはすごくきました。本職のウイングではなく、3セット目のセンターを任されて、自分としては涼希さん(池田・政経4=北海)の横でプレーしたいという思いでした。バランスタイプの自分が3セット目に入って、しっかり守ってほしいという意図だったと思います。でも自分のセットでミスしてしまって、チームに迷惑をかけて、感情のコントロールができなくて、物とかに当たってしまいました。涼希さんが声を掛けてくれましたが、その後の東洋大戦もうまくいかずという春でした。でも今は、これもひとつの試練だと思って、後期の残りの大会を死ぬ気で取りにいきたいと思います」
――池田さんは徳田さんとのプレーが一番合っているとおっしゃっていました。
「昨年もずっと一緒のセットで、自分と涼希さんと府中さん(祐也氏・平31商卒)で組んでいました。自分が最初に入ったときは、上2人の呼吸みたいなのがあって、入っていけない部分がありましたが、やっていくうちに分かってきて、パスもくれるようになりました。結果としては残していないですが、信頼してくれているのかなと思います。なおさら今年は府中さんがいない分「やってやるべ」と、涼希さんが言ってくれていたので、一緒にできていればという思いもあります。でもやっぱり、どのセットにいても勝たなければいけなくて、自分の感情を出している場合ではないので、そこは自分が子供だったなと思います。守ってチームが勝てれば良かったのに、自分が点数を取ろうと思って、ちぐはぐして結果としてもつながらずに後悔しています。これからは割り切って、チームのために献身的にやればいいなと思います」
――アイスホッケーの魅力を教えてください。
「マイナースポーツなので、みんなあまり見ないんですよね。ラグビーが南アフリカに勝ったときはニュースになりました。あれはどの人が見ても、格好いいなと思ったはずです。ホッケーも一緒で、体張ってあんな小さなパックでも、入れるのは難しくて、でも入るときは簡単に入ってしまうし、それを必死で守ったり攻めたりする部分に感動します。野球とか好きで見るんですけど、それとは違った格好良さがあると思います。(北海道との温度差)大学入っても、スケート部アイスホッケー部門で、優勝したところで何もないですよね。野球、ラグビーとか優勝したらすごいですけど、試合を見に行くのもなかなか難しいので、しょうがないのかなと思いますが、少しは見に来てほしいです」
――FWの魅力を教えてください。
「得点というイメージがみんなあると思いますが、自分は得点よりも陰の見えないプレーを心掛けています。それがあってこその得点なので。ホッケーは走らなくても得点能力が高い人は点を取れます。でも自分はそうではなくて、動けるプレーかつ点を取れる選手を目指しています。思うような結果出ていないときに、昂大さん(松本・平31商卒)に「お前の良さは走って、相手からパックを奪いにいく、足を動かすプレーだけど、得点にこだわりすぎている。もっとフォアチェックいけば、自分のリズムになっていくから」と、よく言われていました。昂大さんは傍から見たらすごく上手いプレイヤーでした。それなのにすごく頑張っていました。見えない部分、そういうところが好きです」
――明大らしさには泥臭さもあるということですか。
「そうです。うまい選手が多いですが、その中にも陰で頑張る選手がいるから、チームになります。自分はそっち側の人間で、恥ずかしいとは思わないです」
――秋のビジョンはありますか。
「東洋大は僕らのことなめていると思うので、勝って黙らせたいと思います。東洋大のユニホームを見るだけで嫌です(笑)。明大の選手は自分に限らず、黄色のユニホームを着て試合に出られることにプライドを持っています。たかがホッケー部かもしれないですけど、負けたとなると歴史が長いので、けなされたみたいになります。点数を決めて喜んでいる姿がむかつきます。あとは4年生を勝たせたいです。一個上は何でも話せるし、気が楽な分、恩返しするものがたくさんあるので、ホッケーで恩返ししたいです。その思いで4年生を泣かす勝利を挙げたいなと思います」
――ありがとうございました。
[福永智隆]
◆徳田 滉也(とくだ・ひろや)政経3、武修館、171センチ・70キロ
★応援に行こう★
大会名:関東大学リーグ戦
日付:9月29日(日)対東洋大
場所:ダイドードリンコアイスアリーナ(西武新宿線東伏見駅、徒歩1分)
試合開始予定:9月29日(日)15:00~
徳田選手から一言
「とにかく誰よりも一番走ります。運動量に注目してください」
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