
赤井シャロッド裕貴 彼にしか届かない場所
未完の大器は近い将来、世界を席巻するかもしれない。赤井シャロッド裕貴(政経1=帝京)は入学からの4ヶ月、セカンドチームを主戦場として着実に成長を続けてきた。198センチの体に磨きをかけ、最強の武器と共に攻撃に新たな可能性をもたらす。
圧倒的なフィジカル
日本サッカー界でもトップクラスの2メートル近い身長。アメリカ人の父親から与えられた赤井の武器だ。現在の体重は85キロと完成はしていないが「焦らずに4年間を過ごしてほしい」(栗田大輔監督)。規格外のその体は体育会の垣根をも超えた。栗田監督からラグビー部に相談し、6月からは週に一度、ラグビー部のトレーニングに参加。「体の使い方を学ぶことができている」。サッカーにはない動きを取り入れ、最強の武器を研ぎ澄ませる。
夢はイングランドプレミアリーグでプレーすること。「何が起こるか分からないのがプレミアの面白さ」。憧れの舞台で通用するフィジカルは八幡山の地で着実に形成されている。
無念を晴らすために
ここに至るまでいまだ花は咲かせていない。中学次には名門・FC東京のユースに所属。しかし昇格はかなわず、帝京高に進学。そこではさらなる壁が赤井を待ち受けていた。キャプテンとなった高校最後の大会、選手権東京都予選の直前に足首を骨折。戦線離脱を余儀なくされた。赤井自身は出遅れたものの復帰。全国大会出場が懸かった決勝では惜しくも駒澤高に敗戦。自身が不在の間、仲間が体を張って上ってきた階段をあと一段上ることはできなかった。「今までで一番悔しかった」。3年生は本来ここで引退する。だが、東京都のリーグ戦で結果を残した帝京はより高いレベルのリーグ戦に昇格できるチャンスがあり、引退しない選択もできた。勝利が彼らの今後につながることはない。いわば後輩の未来のための試合。しかし、意識のズレからBチームの選手はほとんどが引退を選択。「本当は一緒にやりたかった」。全員での引退は叶わなかった。
いくつもの無念を乗り越えてたどり着いた大学サッカーの舞台。「自分は様々な人の想いを背負っている。やるしかない」。未完の大器が羽ばたく日へ。彼のサッカー人生はまだ序章に過ぎない。
[市瀬義高]
◆赤井シャロッド裕貴(あかい・ひろき)東京都出身。好きな選手はイブラヒモヴィッチだが性格はいたって謙虚。 198㌢・85㌔
※写真は明大サッカー部提供
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