中島涼 日本代表入りを狙う期待の新星

2019.09.18

 フィニッシュの瞬間、歓喜の水しぶきを上げた。5月31日から行われたジャパンオープン。中島涼(政経2=札幌大谷)は400メートル自由形に出場し、自身初の3位。日本選手権でも5位入賞と立て続けて結果を残している。しかし、その道のりは順調なものではなかった。

 

覚醒

 地元、北海道では水泳界のレベルは決して高くなく、高校時代は敵なしの大会も多かった。そのため天狗気分になることもしばしば。

 所属先のクラブで本格的な練習をするために上京。明大水泳部の勝つことにこだわる雰囲気は合っていると感じ、明大への入学を決めた。しかし、1年目のインカレではレギュラー落ち。明大の4連覇達成に選手として立ち会うことはできなかった。水泳も生活もうまくいかず「水泳も大学もやめて北海道へ戻ろう」と思い、一度北海道に帰省。しかし両親から「諦めるには早すぎる」と説教を受けた。空港に見送りにきた際には「こんなところで終わる選手ではないから、やってこい」と一喝され、中島の気持ちは「覚醒」した。

 

躍進

 「とにかく練習を楽しくすることから」。ベストタイムも何も望まずに練習に取り組んだ。「先輩たちと勝負する気持ちで」。次第に練習が大好きになった。すると、日本選手権ではいきなりの5位入賞。しかし、それでも満足はしなかった。日本選手権を終えてからコーチを変え、自分に合った長距離用の練習メニューを実施。量を泳ぐことで持久力を鍛えた。その結果、2カ月後のジャパンオープンでは3位の大躍進。「練習したらこんなに変わるのかと思った」。〝努力は裏切らない〟。この言葉が誰よりもよく似合う。

 ライバルとして世界選手権800メートルフリーリレー代表・吉田啓祐(日大)の名を挙げる。年下で何度も共に練習してきたゆえに刺激は大きい。今年度のインカレでは400メートル自由形で吉田は優勝。中島は6位だった。「今は差があるが、絶対に勝たなくてはいけない相手」。今回のインカレでは総合2位で日大に敗れた明大にとって、王座奪還を目指す来年度以降は中島がキーマンになることは間違いない。個人としての目標は日本代表入り中島の快進撃はまだ始まったばかりだ。

 

[二瓶彩綾]

 

◆中島 涼(なかじま・りょう)政経2、北海道出身。趣味はイヤホン集め。決勝前にゲームのBGMを聴くのがルーティーン。175センチ・71キロ