(17)ルーキー特集 第1弾 ~樋口新葉編Ⅱ~「頑張ってよかったと思える瞬間が活力になる」 

毎年恒例のルーキー企画も今年で3年目。今年度のルーキーたちはかつてないほど強者ぞろいで、ファンの期待も高まっていることだろう。1人目は世界選手権2位などの実績を持ち、世界でも活躍する樋口新葉(商1=開智日本橋学園)を取り上げる。新星たちの4年間に注目だ。

 

(この取材は3月11日に行われたものです)

――国内と海外の試合の違いはありますか。

 「国内でも小さい試合から大きい試合までありますけれど、国内の小さい試合に出るときよりも大きな試合に出るときの方が雰囲気が違いますし、モチベーションや気持ちの入り方も全然違うのでいろいろな試合に出ていることで、すごくいい経験をさせてもらっているなと感じています」

――世界選手権と五輪の捉え方の違いはありますか。

 「世界選手権は毎年あるので特別感が五輪よりかは少ないかなと思います。五輪は4年に1度で世界選手権よりも多くの競技の人も見ますし、世界中の人も見る大会なので自分が注目してもらうために大きな大会に出たいと思っています。特別感があるといいますか、ここまで来たからには出たい試合です」

――多くの人から注目される中でプレッシャーは感じますか。

 「小さい頃はメディアなどもなく、頑張りたいという気持ちだけでやってきましたけれど、成績を出すほど周りにも注目していただいて、いろいろな人に支えてもらいました。普通に考えたらありがたいことが、自分にとってはプレッシャーになっていたり、重荷になっていたりするときが多いです」

――頑張れる活力は何でしょうか。

 「理由はたくさんあります。自己満足ではありますが、一つは試合でいい結果を残せた時に、頑張って良かったと思えるからです。本当にその一瞬の自己満足のために頑張る時間というのはつらくて苦しかったりしますけれど、その後にその時の自分を見たりすると、どこか嬉しかったり、頑張って良かったと思える瞬間があるのが、一番の活力かなと思います」

――日本を背負って戦う時はどういった気持ちで試合に臨みますか。

 「何人も日本代表がいる中で自分がミスをしたら、点数が落ちてしまって負けてしまうこともあるので、そこはしっかりと頑張らないといけないという気持ちで頑張っています」 

――メンタル面はスケートにおいて重要でしょうか。

 「すごく重要だと思います。例えば私以外の選手でもトップの選手になってくるとある程度のことまではできてきます。しかしそこから技を失敗しないようにできたり、さらに向上させていくことは、すぐにできないと思いますけれど、気持ちでどのようにしたらうまくいくかを考えながら演技をしたり、イメージするということが大切だと思うので、メンタルはすごく重要だと感じます」

――世界選手権2位を取った時の気持ちを教えてください

 「全くの予想外でした。もちろんメダルを取りたい、表彰台に上がりたいというのは目標にありました。1日目のショートプログラム(SP)の時点で8位だったので、まずそこで目標を変えて、とにかくフリースケーティング(FS)では自分が今までやってきたことを全て出せるように、それだけを考えてどうなってもいいやくらいの気持ちで頑張りました。そしたら本当にうまくいって結果が出たので、いい意味での開き直りのような違う視点から自分を見て目標を変えることが大切だなと気付けました」

――世界選手権で1位を取ることは一つの目標ですか。

 「今年は全然思ったような演技ができていませんし、結果も出せていないのでまた来シーズンになって新たな目標を決めていくと思いますけれど、遠い目標ではなくて全日本優勝からまたやり直していきたいなと思っています。もちろんいつかは世界選手権で優勝したいと思いますけれど、とにかく自分に一番近い目標から目指していきたいなと思います」

――惜しくも平昌五輪のメンバーに漏れてしまいました。

 「もう二度と同じ思いをしたくないと思いながら今もこれからも練習したいと思っています。五輪に行けた人にはこういう経験がないのです。もちろん五輪に行けたという経験もすごいと思います。でも自分がこういうつらい苦しい経験をしたことも無駄にはなっていないと思うので、その悔しい経験から同じことを繰り返さないためにどのようなことができるのかというのを考えながら練習しています」

[中野拓土]

樋口 新葉(ひぐち・わかば)商1、開智日本橋学園、152センチ

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