
明治で五輪 世界銀のパワフルジャンパー 樋口新葉
世界のワカバが仲間入りだ。樋口新葉(商1=開智日本橋学園)は高校2年次に国別対抗戦で日本の優勝に大きく貢献。さらに世界選手権で準優勝と、日の丸を背負い世界でも戦うスケーターだ。小学生時代から目覚ましい成績で活躍を期待されてきたが、昨年度はケガに悩まされ悔しいシーズンに。実力十分な大物ルーキーが新たな風を吹かせる。
新葉の芽吹き
物語は物心つく前から始まった。「次生まれる子にはスケートをやらせたい」。母の思いが少女をリンクへと導いた。幼い頃から続く週7日の厳しい練習。それでも「技ができるようになったり、成長できると楽しい」。この純粋な気持ちが上達につながった。スピード感のある演技を武器に、小学生の頃から各大会で表彰台入り。日本トップレベルを走り続けてきた。さらに、世界の舞台を何度も経験。どんな大会でも「結果を残せたときに、頑張ってよかったと思える瞬間が一番の活力」。成功した時の喜びがあるから、どんな苦労も乗り越えられた。
挫折越えた蕾
苦い経験が樋口を強くする。ずっと心残りだった初めて出場した大会。「1位を取れると思っていた」。気持ちばかりが先走り5位に。ここから「この試合ではこの点数を出す。このジャンプを決める」。どんな大会でも、目標を持って挑戦する。その積み重ねが、舞台を世界へと押し上げた。一番の挫折は2017年の全日本選手権。平昌五輪の代表選考を兼ねていた大会。周囲の期待も大きく「絶対にいけると言われていた」。しかし、まさかの総合4位で代表に選ばれず「すごくつらかった」。夢の舞台が目の前で逃げていった。もう同じ思いはしたくない。負けず嫌いな性格が、すぐに気持ちを奮い立たせた。落選から3カ月、リベンジの機会となった世界選手権で準優勝。「悔しい思いをして、何倍も練習して結果を出すタイプ。苦しい経験も無駄になってはいない」。この大会でも、ショートプログラム(SP)8位から追い上げて銀メダルをつかんだ。どん底からでも、必ずはい上がる。有言実行で逆境をもプラスに変えた。
五輪で開花
明治の門をたたいたのは憧れの存在がいたから。西野友毬氏(平28政経卒)とは幼い頃から同じリンクで練習してきた。学業をおろそかにすることなく、インカレ4連覇を果たした姿に「自分もそうなりたい」。文武両道を貫き、先輩以上の活躍をしてみせる。在学中の最終目標は2022年の北京五輪出場。届かなかったあの舞台へ。「五輪は特別。世界が注目するあの場所で演技したい」。頼もしい新星の4年間が始まった。
【中野拓土】
♥ 樋口新葉(ひぐち・わかば)東京都出身。海外遠征で思い出に残っている国はイタリア。ピザやパスタがおいしかったそう。それでも、一番好きなのは日本食。「米とみそ汁があれば生きていける」と語るほどだ。マイブームの銭湯巡りで、疲労回復も万全。152㌢
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