慢心捨て成長 世界狙う長身スケーター 山隈太一朗

 注目のルーキーがやってきた。この春、兵庫から東京に拠点を移した山隈太一朗(営1=芦屋国際)。177㌢の高身長を生かした演技で高みを狙う。

苦しみの2年間
 
華々しいデビューイヤーだった。昨年度は恩師である林祐輔コーチの提案でシニアに挑戦。すると、初出場の全日本選手権で、目標だったトップ10入り。続くインターハイでも、優勝を飾った。「人生で初めて納得できたシーズン」。しかし、ここにたどり着くまでに多くの苦悩と葛藤を経験してきた。王者のプライドが、自身を苦しめた。中学3年次に全中を制し、迎えた高校生。しかし、ジュニアで年下の選手が多くなった中、思うような結果を残せず「すごく恥ずかしかった」。高校2年次の全日本ジュニアではトリプルアクセルを身に付けて挑んだが、ミスが続き結果は8位。目の前で全日本の出場権をつかんだ選手を見て「何をしてきたんだろう」。初めて試合で悔し涙を流した。さらに3年次の近畿ブロック。シニアに上がってから初めて臨んだブロック大会。ジュニア時代までは多少ミスをしても上位に入れていたが、まさかの7位。レベルの差に「人生で感じたことのない危機感」を覚えた。この大会での屈辱をバネに奮起。それからは「勝てるかもしれない」という慢心を捨て、試合に臨む。精神面での大きな成長が、インターハイ優勝につながった。

明治から世界へ
 団結力のあるチーム明治に仲間入りする。大学での目標はインカレを制覇し、団体優勝へ導くこと。また今年度の全日本選手権では「最終グループに入る」。環境を変えることへの不安は大きかったが「新しいことにチャレンジできるチャンス」新天地でスケーティングを向上させ、持ち味の表現力に磨きをかける。そして「日本代表になりたい」。この4年間で、世界を相手にできる選手に成長する。

【中澤美月】

◆山隈太一朗(やまくま・たいちろう)大阪府出身。リバプールFCの大ファンで、試合は必ず90分観戦する。177㌢・67㌔

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