幻惑の両利きシューター 清水裕翔

2019.04.01

 〝無敗の男〟が明治を変える。清水裕翔(営1=氷見)は昨年度、三つの全国大会を制覇し、高校3冠を達成。公式戦負けなしの圧倒的な戦績を誇る黄金ルーキーは、悲願の全国制覇へのラストピースとなるか

秘めたる闘志
 座右の銘は〝自由〟。その言葉にたがわず、生活の中で競技が占める割合は「3割くらい」というアスリート離れした一面を持つ。そんな常識に縛られない彼を象徴するのが〝両利き〟。中学2年次、利き腕の右肘にメスを入れ、4カ月もの間〝自由〟を失った。縛られることを嫌う男にとってこれは何よりの苦痛。一時は退部も頭によぎったが、利き腕とは逆の左投げから練習を再開。「一からやり直した」執念がケガの功名となった。代名詞である両サイドからのシュートはこの時手にしたもの。奔放さの裏には誰よりも熱いハートが秘められている。

親友との決別
 明治進学を決意した最大の要因。それは世代最強選手との呼び声高い安平光佑(日体大)が関わっている。小学3年次、野球に気持ちが傾いていた清水をハンドボールに誘ったのが安平だった。それ以来、10年もの間頼れる仲間として共に歩んできた。しかし大学進学に際し「このまま一緒にいては自分のためにならない」と初めて分かれ道を選択。これからは最高の友が最強の敵となって立ちはだかる。「すべての能力が最高峰のプレイヤー」である安平に対しどんな勝負を展開するのか。恩人であり良きライバルでもある友の背中に食らいつく。「在学中に日本代表に入るのが目標」と語った清水。規格外の点取り屋にとって、インカレ制覇は通過点でしかない。自ら切り開いたこの道で、さらなる進化を遂げてみせる。

【高野順平】

◆清水裕翔(しみず・ひろと)富山県出身。趣味は芸術鑑賞。「とにかく世界観が独創的な作品が好き」と本人談。180㌢80㌔

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