
(1)「ベストなチームの追求に終わりはない」田中澄憲監督 新体制インタビュー
連覇を懸けたシーズンが幕を開ける。22年ぶり日本一を成し遂げてから早2カ月。武井日向新主将(商3=国学院栃木)の下、再スタートを切った新生・ラグビー部。新体制の幹部に今シーズンの意気込みを伺った。
第1回は田中澄憲監督のインタビューをお送りします。(この取材は2月25日に行われたものです)
――改めて、昨シーズンの振り返りをお願いします。
「19年ぶりに決勝へ行った満(古川・平30商卒・現トヨタ自動車ヴェルブリッツ)の代から、本気で日本一取りに行く、戦う集団に生まれ変わってきました。それが今回結果として現れたという意味ではこれからのラグビー部にとってすごく意味のある年だったと思います。選手のレベルが古川の代や福田(健太・法4=茗渓学園)の代が特別すごかったわけではなく、人材は今までもある程度いました。それが本気で戦う集団になったのが一番大きいと思います。古川の時はファイティングスピリッツが主だったですが、昨年度はそれにプラスでシステムや細かい部分に着手できました」
――就任1年目で優勝監督となりました。
「前の年にヘッドコーチをやっているので、ヘッドコーチで1年間やってきたこと、積み上げてきたことを2年目に監督になった年にプラスしていけました。(コーチ時代と比べて変化は)ラグビーだけではなく、それ以外の部分もしっかりと見ないといけなくなりました。部の運営も含めて全然違うと思います。寮の環境とかも少しずつ、求めるものとはまだ全然違うし、改善するところはありますが、ラグビーとリンクさせる意識を持ち始めたと思います」
――新年度の主将は指名ではなく、選手同士の話し合いでの決定となりました。
「チームとしてレベルアップするために、学生の責任を大きくしていきたいと思い、シーズンが終わって新4年生で話し合いをさせて決めさせました。武井が挙がってくるという予想も難しくはなく、学生自身も満場一致だったのではないかと思います」
――新主将の武井選手はどういう選手ですか。
「人として良い人間だと思います。もちろん完璧ではないと思いますが、当たり前のことをできるし、取り組む姿勢や誰も文句言えないよなっていう人間性があります。普段は穏やかな感じだけど、グラウンドでは激しいプレーもできるし、泥臭いし、フィットネスもあってきっちり一個一個をやる人間です。取り組む姿勢は昔からある人間でしたが、リーダーシップの面でもだんだん自覚して変わってきたと思います」
――新4年生はどのような学年でしょうか。
「彼らとは3年目ですが、良くも悪くも仲の良い学年だと思います。そういう意味では下級生のときは心配していたけど、3年生の終盤くらいに『4年生がまとまらないとチームは良くならない』ということを目の当たりにしたと思うので、そういう準備はできていると思います。スタートとしてはすごくポジティブな空気が流れているし、やる気に満ちあふれていると思います」
――優勝を経験した昨シーズンを踏まえて、今年度軸になってくるものは何でしょうか。
「勝つことは大事だし、みんな勝ちたいけれど、勝つだけが全てではありません。チームとしてベストなものをつくることが大切です。どうしたらチームが良くなるかとか、チームをどういう風にして次の代に渡したいのかという部分、そういう空気感があるチームにしたいです。卒業してから『こいつら頑張っているな』とか『明治のラグビー部出身で誇らしい』と思えるチームになることが大切です。『明治でラグビーやっていました』と言ったら周りからも『本当に素晴らしいチームだよね』って言われるようなチームにしていきたいです。4年生が良くして受け継いで、受け継がれた下の学年がそれをさらに良くしていく。それがベストを目指すということなので、終わりはないです」
――下級生は上級生にどういった態度で示すべきでしょうか。
「ただ付いてくだけではなく、間違っているものは間違っていると言わないといけないし、風通しのいい組織であるべきだと思います。みんなで話し合ってもっと良くできると思ったら『こうした方がいいんじゃないですか』って言えるような関係性が大事です。その意味では今は変な上下関係はないし、今は少しずつ良い関係を築き上げていけていると思います」
――春季大会はBグループですが、どのような戦い方をしますか。
「Bグループでやることに関してはプラスに捉えています。いろんな選手がチャレンジできるし、招待試合でAグループの学校とやる試合もあります。昨年度とあまり変わらず、しっかりやる試合もありながら、チャレンジメンバーもできるという、いろんな意味で選手が試合に出られるチャンスがあると思います」
――今シーズンの意気込みを最後にお願いします。
「日本一を目指すという意味では変わらないので、連覇が一つの目標です。ただ、連覇というのを意識し過ぎないように。4年生にとっては最後の1年で、そこで本当に大学日本一を目指すなら今年もチャレンジャーだと思います。ベストなチームの追求に終わりはないので、昨年度よりも良いチームにして次の代に渡していくことが大切だと思います。大学日本一を目指すのも、勝つことだけが目的じゃなくて、勝つための努力が大切です。今はそういう努力ができるチームになってきているので、そこをもっと高めていきたいです」
――ありがとうございました。
[清水康佑]
◆田中 澄憲(たなか・きよのり)平10文卒
監督就任2年目。在学時には監督不在の中主将を務め、チームを大学選手権準優勝に導いた。卒業後はサントリー・サンゴリアスで活躍。2016年度にはトップリーグ、日本選手権と2冠達成を支えた。
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