
山本大史 全日本学生1万メートル制覇
◆11・24~11・25 全日本学生選手権(群馬県スポーツ総合センター 伊香保リンク)
会心
絶望の滑り出しだった。昨年度は5000㍍で2位。欲しいのは1位だけだった。しかし、表彰台すら逃すまさかの6位。ラスト1周も本来の実力からは程遠い34秒41。クールダウンで思わず「俺の体はどうなっちゃったんだ」とつぶやいた。いつもの冷静な滑りは鳴りを潜めた。
それでも気持ちは折れなかった。3種目を終え、表彰台へ上がれた種目はゼロ。「1種目くらいは意地でも取る」。強い覚悟で臨んだ最終種目の1万㍍も、終盤の7600㍍通過時点で3位。「ゾーンに入った」と、徐々にペースを上げ、8800㍍通過時点で1位を奪取。序盤は34秒台だった1周のラップタイムを32秒台まで上げ「滑っていて楽しかった」。念願のタイトルを獲得。総合成績は昨年度と同じ2位だったが、残りのシーズンに弾みがつく大会となった。
秘訣
失敗の一因を道具に見いだした。愛用するスケート靴は4年目を迎え、形が崩れつつある。5000㍍は、それが「気になってしまった」。足首の緩さも、集中力を欠いた一因だ。翌日はひもを靴に巻き付け、足首を固めると「気持ちよく滑れた」。靴も〝体の一部〟。道具の使い方を工夫し、修正能力の高さを示した。
世界大会も経験した昨年度を振り返り「1歩のパワー不足」を実感。今年度は元々持っていた持久力にさらに磨きをかけてきた。1万㍍は1500㍍のわずか2時間後に行われたが「1500のレースで筋肉に刺激が入ってリラックスできた」。ハードな日程もものともせず、後半の速いラップタイムにつなげた。
シーズンはヤマ場を迎える。今大会の1週間後に行われたジャパンカップ第2戦は、5000㍍で3位。今大会より約15秒タイムを縮め、調子は上向きだ。調整を合わせているのは今月25、26日の全日本選手権と、来月5日から始まるインカレ。「まだまだ練習不足」な体をいじめ抜き、日本一のスケーターになってみせる。
【渡部伊織】
◆山本大史(やまもと・たいし)青森県出 身。最近ハマっていることは『Nintendo Switch』の『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』。好きな女優は新垣結衣氏。 目標とする選手はパトリック・ルスト選手 (オランダ)と一戸誠太郎選手(ANA)。 好きな食べ物は肉。チョコレートも好きだが シーズン中は控えている。177㌢・70㌔
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