坂口裕之 不撓不屈の主将

2018.12.19

 5000㍍13分45秒73、1万㍍28分35秒47。明大屈指の実力者ながら今年度も不調が続いた坂口裕之駅伝主将(政経4=諫早)。調子を上げてきた上尾ハーフでの走りを弾みに、箱根での逆襲が期待される。


経験を自分の一部に

 〝即戦力のエース候補〟そう期待され入学した坂口だが、4年間の道のりは決して平たんではなかった。1年次の箱根は区間20位。3年次の全日本は区間25位。三大駅伝(出雲、全日本、箱根)関連の欠場数は6回に上る。相次ぐケガや体調不良で、結果の出ない日々が続いた。しかし坂口の胸中にあったのは、こうした経験をどう生かすかであった。「(経験を)重ねてきたからこそ分かるものがある」。どんな結果でも下を向かず、むしろ自らの糧としてきた。


背中で引っ張る主将

 「走りでチームに貢献する」。古豪復活へ大役を任された坂口が掲げた理想像だ。走力を高めるため、より負荷の高い別メニューの練習を志願。部の統制を同期に任せチームから離れることもあった。その姿からは一見主将らしさは見えない。しかし、坂口が2年次の主将・射場雄太朗氏(平29政経卒)はこう評する。「坂口は冷たく見えるかもしれないが、それだけ競技に真摯(しんし)」。チームの理解があるから、自分と向き合える。淡々とした表情の裏には、恩返しの思いが詰まっている。

 箱根で最高の走りをすることは「強い明大を取り戻す最高のスタート」。雌伏の時を経て、大舞台で雄飛できるか。チームをけん引するその走りで有終の美を飾る。

【仁科せい】