
鎌田英 関東敵なし圧巻の滑り
学生の頂点へ好スタートを切った。インカレの出場権を懸け、FS(フリースケーティング)の演技のみで行われた今大会。7・8級男子で鎌田英嗣(営4=獨協)が優勝を果たした。また、3年ぶりに男女団体アベック優勝を飾り、ともにインカレ出場枠を3枠獲得。5年ぶりとなるインカレ男子団体優勝、さらには25年ぶりの男女団体優勝に期待が膨らむ結果となった。
◆11・10 東日本学生選手権(東大和スケートセンター)
表現力で圧倒
「絶対出場枠を勝ち取りたい」。ケガの影響もあり、2、3年次は出場することができなかったインカレ。3年ぶりの出場へ、誰よりも意気込みは強かった。演技開始前も体をたたくルーティンで気合を入れる。2年連続で使用するベートーべンの『月光』がかかると、顔つきが変わった。
会心の演技だった。冒頭のダブルアクセルとトリプルトーループのコンビネーションジャンプを決め、その後のジャンプも大きなミスなく着氷。さらに持ち前の圧倒的な表現力で会場を魅了した。演技終了後には大きな拍手とともに渾身(こんしん)のガッツポーズ。今季FS自己ベストとなる122・35点をマークして優勝。「いい演技ができた」。最高の結果でインカレの出場権を獲得した。
下を向かずに
不安との戦いだった。1年次の1月に右足首の内くるぶしを骨折。半年後にも再び骨折し、歩けない日々が続いた。治ってからも周りの筋肉などが痛み、完治とはいかず。さらには今夏も腱を痛め、満足な練習をできずにシーズン開幕を迎えていた。開幕戦となった東京選手権は6位と低迷。「何とか追い付かなければ」。学生最後のシーズンにかける思いと、伴わない練習時間に焦りを感じていた。それでも「以前骨折した時よりは歩けて走れる」。できることから少しずつ。「下を向いていたら、後ろ向きになる」。普段の生活から胸を張ることも意識。演技のレベルを落とし、できるジャンプに徹底した。この努力が実を結び「緊張が少なくなってきた」。挫折を乗り越え、心にもゆとりが生まれるように。状態が悪い中でも力を出し切れる精神的な成長が、好成績につながった。
さらなる高み
挑戦を続ける。今季は調子が上がっていないこともあり、基礎点の高いトリプルアクセルを封印。「全日本までにはチャレンジする」。国内最大規模の全日本選手権で大技の完成を目指し、練習に励んでいる。さらに同期が卒業を機に現役引退をする中、来季も現役続行を決意。「やり残した4回転ジャンプを成功させたい」。いまだ成功に至っていない4回転ジャンプへの挑戦を掲げた。まずは全日本選手権とインカレで、明大での最後の役割を全うする。「応援してくれている人たちに恩返しができるように」。大舞台で完璧な演技を披露し〝鎌田英嗣〟の名を全国にとどろかせる。
【大西健太】
◆鎌田英嗣(かまた・ひでつぐ)東京都出身。第32回東日本ジュニア選手権優勝。160㌢・50㌔
関連記事
RELATED ENTRIES