
年末年始はお金が消える…欲しいならお金を使え!?
忘年会にクリスマス、そして年が明ければ新年会……。楽しいイベントたちが年末年始は待っている。だがそれはお金がなくなるということの裏返し。「お金持ちになれたらな」。奨学金負債など、羽振りがいいとはいえない現代。それでも理想を現実にしたい。閉塞(へいそく)したこの時代でお金持ちに成り上がるには、相反する〝お金を使う〟ことがカギを握る。
シェアと不況
現代は〝シェア〟の時代に入ってきている。自身の体験をSNSでシェア。車や家などもシェア。物を一人で所有するのではなく、誰かと共有することで出費を節約したり、人とのつながりを持つことができる。近頃叫ばれる若者の購買意欲の低下。それは同時に、消費の形の変化も意味する。何でもかんでも〝買う〟時代は終わりを迎えている。
景気の変動も大きな影響をもたらす。消費者心理に詳しい明大政治経済学部の木谷光宏教授は「(今の若者は)お金を使うところと使わないところのめりはりが明確にされている」と語る。バブル期以前の大学生は金額に糸目をつけず、購買を繰り返したという。「(昔は)節約を考えずに『お金はどうせ入ってくるのだから。天下の回りものだから』と意識していた」(木谷教授)。片や今の大学生は、バブル崩壊後の倹約な親の背中を見て育ってきた。時代の流れに伴い、若者はより堅実な方向に変化している。
貯金意味ない
それでもお金への不安は尽きない。奨学金負債や終身雇用制度の崩壊、扶養控除の〝103万の壁〟。厳しい現実は堅実さとともに、若者に貯金という選択肢を与える。本紙が明大生217人に行ったアンケートでも『もし10万円が手に入ったらどうするか?』という問いに対し、最も多かったのが『貯金』だった。
しかし今年度ドラマ化された『インベスターZ』など、お金にまつわる作品を多く手掛ける漫画家・三田紀房氏(昭55政経卒)は「貯金は意味がない」と主張する。自身の学生時代を振り返れば「電話もお風呂もない。みんな4畳半で共同トイレの所に住んでいた」と決して裕福な暮らしをしていたわけではない。いつの時代も学生は貧乏。その中でお金とどう向き合うべきなのか。
使って得する
ずばり必要なのは〝使う〟こと。お金を〝得る〟ために、お金を〝使う〟。一見矛盾しているように見えるが、そこに大切なことが隠されている。「どんどん自分に投資して新しい価値を取り入れるべき」と三田氏。重ねた経験はいつか自分に、利子が付いて返ってくるはずだ。使い方は何でもいい。将来のための知識を身に付ける、海外を一人旅……。無駄に思えるようなことにお金を費やすことも大学生のうちならできる。「たかが金だ……」。投資を題材にした『インベスターZ』ではこんな名言が飛び出す場面もある。ここまで割り切るのは難しいが、私たちはお金に対してもっと大胆になる必要があるかもしれない。「貯める人間にはなっては駄目。使う人間にならなければ駄目」(三田氏)。お金なんてただの数字の羅列、使わなければ意味がない。こんなふうに思えたら、あなたは既にお金持ちへの道を歩んでいるに違いない。
【楠大輝】
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