覇権奪回に燃える100周年の赤黒

2018.11.28

 名門復活への準備は整った。過去15度の大学選手権優勝経験を持ちながら、近年は不振にあえぐ早稲田。創部100周年を迎えた今年度、相良新監督の下、10年ぶりの大学日本一を目指す。


積極的守備

 焦らず、じっくりと積み上げてきた。関東大学春季大会では開幕戦の日体大、続く筑波大相手に連敗。齋藤ら主力が欠けていたとはいえ、決して順調とはいえないスタートだった。だが「焦りは全くなかった」(相良監督)。春の間はディフェンス整備と体づくりに専念し、連戦を通して運動量の増加を図った。大きな転機となったのが、夏合宿。帝京大相手に28―14で8年ぶりの勝利を収めた。注力してきた前に出るディフェンスで圧をかけ、相手のミスボールを誘発。そこから切り返して一気に仕掛ける。このディフェンスを起点とした試合の組み立て方を、春の集大成、そして秋につながる新たな武器として見せつけた。


主体的判断

 相良監督が就任当初から重視してきたのが〝主体性〟だ。「大事なのはプレーヤーが何を得たくて、何を求めているのかということ」。夏合宿では、練習試合に向けて選手自身がプランを考案。判断を委ねる機会を継続的に設けることで、判断力の向上を促してきた。また、エリアごとに担当が分かれる攻撃パターンから、状況に応じて空いたスペースを使うシェイプ戦術に変更。より主体的に考えるラグビースタイルを確立しつつある。伝統の赤黒ジャージーには白襟が復活し〝原点回帰〟を掲げた。100年の伝統を継承しながらも一新した早稲田が、紫紺軍団を迎え撃つ。

【横手ゆめ】