
総理大臣杯奪還 2年ぶり2度目夏王者
2年ぶり2度目の夏の王者だ! シード校として迎えた今大会。2回戦から圧倒的な強さで勝ち進み、大会史上3校目となる4年連続の決勝進出を果たした。決戦の相手は、関西の強豪・大体大。立ち上がりから攻め込まれるも、前半41分にMF安部柊斗(政経3=FC東京U―18)が準決勝に続く先制点。後半には追加点を挙げ、2―0の完封勝利を収めた。昨年度準優勝の雪辱を果たし、再び日本一へと返り咲いた。
真夏の復活劇
決勝戦、試合終了のホイッスルが鳴ると、選手たちは両手を突き上げた。「やっぱり優勝はいいですね」(安部)。今大会4試合で計11得点2失点。セットプレーからの失点はゼロ。「自分たちの足りないところは分かっていた」(DF岩武克弥主将・政経4=大分トリニータU―18)と、4位に終わった関東予選からの成長を日本一という結果で示した。
7月に行われた今大会の関東予選であるアミノバイタルカップ3位決定戦では、駒大に0―4で大敗。いいところなしの今年度チーム最多失点に「弱いです」と、栗田大輔監督もバッサリ。さらに駒大戦と、PK戦の末敗れた明学大との準決勝2試合の、計7失点のうち5点はセットプレーからの失点だった。そこで「質もだが量をかなり上げた」(鈴木友規フィジカルコーチ)。午前の通常練習2時間の後に午後練習を2時間行う〝2部練習制〟を導入し、チームとしての練習時間を増加。午後練習では、課題となっていたゴール前のクロス精度やセットプレーでの守備を繰り返し、弱点強化を行った。メンタル面の強化には「鬼のように走って、鬼のように練習」(栗田監督)。8月中旬の5日間にかけて行われた川上村合宿では、山を走り込んだ。「例年より一体感が生まれた」(DF上夷克典・商4=鹿児島城西)と、暑い夏に、選手、スタッフ全員で気持ちを高めた。
最強の世代へ
屈強な体づくりが日本一へと導いた。誰一人として大きなケガをすることなく優勝をつかんだ今大会。一方、昨年度はケガ人の多さに悩まされた。昨年12月のインカレではケガにより主力の4年生3選手を欠き、まさかの初戦敗退。無冠に終わったことで選手らの環境を見直し、食事面の改革に取り掛かった。2月に入ると食事量自体の増加と5大栄養素のバランスの良い食事ができるよう、栗田監督自ら寮母に提案。寮母自身もラグビー部の調理師に相談し、食事量を調整した。「タンパク質を増やした」と寮母の能勢恭子さん。肉や魚など筋肉へ好影響な主菜を昨年度より1品追加した。その他、納豆やサラダ、ヨーグルトなどでバランスを考慮。その日の食事を寮長のGK後藤大輝(政経4=武南)に写真で送ることで管理も徹底した。「今年は大きなケガがない」(新井康希トレーナー)。日頃のウエートトレーニングに加えた食事面へのケアが、効果を出し始めている。
「(総理大臣杯の優勝は)1年間で見たら通過点」(栗田監督)。目標は創部以来成し遂げられていない、総理大臣杯優勝、関東リーグ戦優勝、インカレ優勝の3冠達成。夏を乗り越え、1年間を通して戦える体制は整いつつある。今月日から後期リーグ戦が開幕。初戦では前期リーグ戦で勝ち点差10を離された首位・早大に大量6得点で快勝。翌週の国士大戦でも勝利し、船出は順調だ。目標は「11連勝」(栗田監督)と2冠目をもぎ取りに、一戦一戦に集中して挑む。日本一の喜びを胸にしまい、まだ見ぬ偉業のチャレンジャーとなる。
【木田諒一朗】
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