
日本一 創部初5度目の正直
創部初の日本一をつかんだ。3ペアによる勝ち抜き方式で行われたインカレ。決勝では日体大と対戦。連敗を喫し後がない明大は、昨年度インカレ覇者の本倉健太郎(農2=岡山理大付)・丸山海斗(政経3=上宮)ペアに運命を託した。激闘の末、3連勝で逆転し、優勝を決めた。昨年度のインカレでは30年ぶりの準優勝、今年度は優勝と急成長を遂げているソフトテニス部。その躍進の陰には丸岡俊介主将(政経4=尽誠学園)の存在があった。
◆8・7~8 全日本大学対抗選手権(浦安総合公園テニスコート)
▼男子――優勝
怒涛の逆転
主将への思いが大逆転劇を生んだ。日体大との決勝戦。1ペア目に続き、丸岡・金子大祐(営2=大和高田市立高田商)ペアも完封負け。優勝への道は本倉・丸山ペアの3連勝のみとなった。それでも「丸岡さんを胴上げしたい」(本倉)と、ここから快進撃が始まる。初戦を難なく勝ち取り、2戦目は、攻撃的ダブルフォワードペアと対戦。準々決勝で大会6連覇中の早大に2勝した強豪に、1―3と追い込まれた。それでも勝負強さを見せ、最終ゲームへ。接戦の末、相手の弱点を突いた本倉のロブショットが勝利を呼び込んだ。2勝目を逆転で奪い、勢いそのままに3戦目では圧勝。起死回生の3連勝を決め、大学日本一に輝いた。
その瞬間、日本一の主将となった丸岡は満面の笑みでコートへと駆け寄っていった。歓喜の輪の中心で胴上げされ「初めてやってきて良かったと思った」。そう語る晴れた表情の裏には、苦悩の日々があった。
苦悩と重圧
インターハイ優勝の実績を引っ提げ入学した丸岡。1年次から団体戦に出場し、2年次にはダブルスで関東学生選手権を制覇。3年次には副主将を務め、順風満帆に思われた。しかし、不調に陥りインカレ団体戦決勝ではメンバー落ち。「外れるつらさを痛感した」。30年ぶりのインカレ準優勝に輝いたチームを、観客席から見守ることしかできなかった。
いばらの道は続いた。主将就任当初、歴史的な快挙を残した直後とだけあって、周囲からの期待はおのずと高まった。「今年はおまえ次第」と言われ、重圧を感じた。そして今年度に入ってから団体戦の成績は2位ばかり。「もっと僕がまとめることができれば」あと一歩で勝ち切れず、頭を悩ませた。
背中で示す
地道な姿勢が実を結んだ。「良くも悪くも個が強い」ソフトテニス部。元々物事をはっきり言えるタイプではない丸岡にとって、チームをまとめるだけでも一苦労だった。それでも「背中で見せる」と覚悟を決めた。球拾いやコート整備、食事の片付けなど、それまで下級生に任せ切っていた仕事を率先して行う。さらに、控え選手にも試合進行を知らせるなどの役割を与え、一体感をもたらす。補欠の気持ちも味わった丸岡だからこそできるチームづくりに、後輩たちは自然と付いてきた。団結を深めたチームはインカレ本番、窮地に立たされても誰一人として勝利を疑わなかった。
新主将には丸山が就任。「来年も優勝旗を持って帰る」と連覇へ意気込む。それに対し丸岡は「悩むことはあると思うが、自分の考えを持ってやってほしい」と激励。頼もしく育った後輩たちに後を託した。
【大橋未来】
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