北本達己 声援を背に 日本一の舞台へもう一度

2018.09.20

鋭いツイストで相手の裏をかく。北本達己(商1=大和高田市立高田商)はシングルスで出場した春季リーグ戦、王座団体戦で全勝。チームに大きく貢献している。勝負どころでも諦めないメンタルが彼の武器。しかし、ここまでの道のりには苦難もあった。

両親のために

 大きな挫折を味わった。優勝が期待されていたインターハイ団体戦。その準々決勝でまさかの敗退を喫した。「心の弱さもありジャッジミスのせいにしていた」。受け入れ難い結果にがく然とした。以降悔しさから立ち直れず、スランプに陥ってしまう。何をするにも気持ちの乗らない日々。試合に勝てず、引退すら考えた。

 そんな北本を救ったのは、ずっと支えてきてくれた両親だった。天皇杯予選の帰り、父に言われた言葉で気持ちを切り替えた。「2年間頑張ってきたからもう1回頑張ってほしい」。他県の高校へ快く送り出してくれた両親。勝って恩返しがしたい。高校最後の全国大会・国体に向け、奮起した。

手にした栄冠

 最後の大舞台で最高の輝きを放った。国体はインハイのリベンジを果たす最初で最後の機会。この舞台で、北本はシングルスに抜てきされた。国体のシングルスは2番手、試合が決まる重要な立ち位置だ。そんな北本に紙森隆弘監督から声が掛かる。行ったのは朝5時半からの猛特訓。1対1での指導に「頑張ろうぜという気持ちが伝わった」。そして迎えた決勝戦。北本が勝てば優勝が決まる勝負どころで、練習の成果を発揮した。紙森監督から学んだ、凌(しの)いで攻めるテニスで終始試合を支配。最後の1打はサイドを貫くストレート。試合が決した瞬間、ラケットを投げて倒れ込んだ。「本当にうれしかった」と駆け寄った仲間と歓喜の輪をつくった。恩師や両親、支えてくれた全ての人にささげた栄冠だ。

 大学でも日本一を目指す。この夏、明大は悲願のインカレ団体戦初優勝。北本は1年生ながらメンバー入りし、優勝の瞬間に立ち会った。チームの思いを背負って戦う先輩の姿を目の当たりした北本。「先輩のような柱的存在になっていく」。もう一度、日本一へ。前進をやめない

[福田夏希]

◆北本 達己(きたもと・たつき)石川県出身。好物はラーメン。以前は次郎系が好きだったが最近は博多派になった。162センチ・50キロ