
佐久間秀徳 原動力は〝楽しい〟 挑戦を続ける異色のランナー
長身を生かした大きなストライドに軽やかな走り。5月の関東インカレ、佐久間秀徳(商1=国学院久我山)は始めて2カ月の1500メートルで10位と、幸先の良いスタートを切った。「走ることが楽しい」。その気持ちを武器に、明大競走部に新風を巻き起こす。
中距離への挑戦
仮入部の鬼ごっこが楽しくて始めた陸上。走ること、勝つことの楽しさに魅了され、中高は長距離を得意としてきた。しかし大学入学後は、ケガで思うように走れず、同期に遅れをとる。「このままでは消えてしまう」と焦りを感じていたが、山本佑樹監督の一言が転機となった。「まずは1500メートルから始めよう」。初めての挑戦は新鮮で楽しく、自己ベストも更新。一方で、長距離に早く戻りたい気持ちもあり、「1500メートルはあくまでその準備期間だ」と考えていた。そんな中、関東インカレの出場が決まる。経験の浅い佐久間に監督や先輩からの期待は薄かったが「見返してやる」と挑んだ。見事予選を突破し臨んだ決勝は、得意のスローペースでスパート勝負。10位に入る大健闘を見せるも、力の差を痛感し、火が付いた。「1500で勝ちたい」。長距離への未練や中途半端な気持ちはもうない。まずは来年の関東インカレでリベンジを誓う。
原動力は〝楽しさ〟
苦境の中でこそ、自分を信じる。中学3年次、それまで楽しかった陸上で、初めて挫折を味わった。一夏で10センチ以上背が伸び、貧血も併発。中学最後の大会は市大会止まりに終わった。走れない、記録が出ない。それでも「辞めたいと思ったことはない」。諦めなかったのは陸上の楽しさ、そして自分の才能を信じ続けたからだ。身長181センチは努力だけでは手に入らない、自分だけの〝才能〟。大きなストライドから生み出されるスピードは、1500メートルでも大きな強みである。
勝利への欲望は止まらない。インカレ優勝。勝ちたい相手は日本選手権1500メートル優勝の館澤亨次(東海大)。「周りからはばかにされる」が、自分を信じる姿勢は変えない。新人・佐久間の可能性は未知数だ。〝楽しい〟を原動力に、今日も挑戦を続ける。
[仁科せい]
◆佐久間 秀徳(さくま・ひでのり)商1、国学院久我山、181センチ・57キロ、神奈川県出身 1番好きな食べ物は、お母さん特製の餃子。
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