
稲葉あす果 きらめく笑顔で目指す下克上
輝く笑顔が勝利を呼び込む。「大好きなテニスをとことん楽しむ」。不屈のポジティブ精神が稲葉あす果(国際1=野田学園)の武器だ。5月に行われた関東学生トーナメント・通称〝春関〟では、単複ともに部内最高のベスト16。3度の団体全国制覇を経験した新星が、王座優勝を目指す明大に光をもたらす。
強さの原点
遊びの中でテニスに触れた。初めてラケットを握ったのは3歳の時。ボランティアで指導を行う叔母に手ほどきを受けた。小学校に上がると大人に交じりダブルスを練習。ミスをしても励ましの言葉が飛ぶ環境で、伸び伸びとプレーし「ダブルスが好きになった」。同時に鍛えられたのは、同年代との練習では身に付かない試合構成力。稲葉の持ち味である「色々なボールで試合を組み立てて、頭で戦う」スタイル。〝賢いテニス〟の下地は幼少期に作られた。
力も2倍に
互いに高め合うダブルスが〝真骨頂〟だ。高校時代は1年次から桐山陽菜(関大)と組み、団体戦の勝ち頭となった。ポジティブな稲葉に対し、桐山は心配性。衝突もしたが「喧嘩して向き合って、色々と気付かされた」。練習でのミスに気落ちするパートナーに決まって掛けるのは、幼少期に自分を支えた「いっぱい失敗すればいいよ」の言葉。ダブルスは自分一人では戦えない。壁にぶつかれば、2人でひたすら話し合った。迎えた最後のインターハイ。結果は準決勝で競り負けベスト8だったが「彼女と組んで高校生活を終われて良かった」。〝仲良し小よし〟ではなく、共に成長してきたからこそ、素直にそう思えた。
いざ下克上
内に秘めるは熱き闘志だ。無名の選手が集まる野田学園高。入学当初は目立った実績もなかったが、一丸となり成長し3度の全国制覇を成し遂げた。「皆で強くなって、強豪校を倒したい」。昨年度1部に初昇格し上位校に挑んだ女子部は、逆境に燃える稲葉にぴったりの場。強く根付いた〝下克上精神〟が進学の決め手となった。共に頂点を経験し、春関からペアを組む金山晴菜(政経2=野田学園)は「稲葉のテニスは大学でも通用する」と断言。日本一の高みを目指し、長き道のりを歩き始める。
◆稲葉あす果(いなば・あすか)国際1、155センチ、兵庫県出身。趣味は卵料理作り。オムライス専門店で「卵と友達になる」という極意を学んだ。
[山根太輝]
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