(11)「ラグビーの質は去年よりも高い」田中澄憲監督 対抗戦開幕直前インタビュー

2018.09.14

 春季大会初優勝を果たし新たな歴史を作った明治。夏合宿では帝京大を春に引き続き撃破。王者に対しての連勝は田中澄憲監督の目にどのように映ったのか、今のチームの現状を交えて伺った。

 

――夏合宿を振り返っていかがですか。

 「試合メインの合宿でチームとして大きく成長するというのがテーマでした。毎試合毎試合課題が生まれましたので改善して試合に臨むという意味では、それがスムーズにできました。最後の東海大戦でABCそれぞれ内容は違うのですが、持っている力をしっかりと発揮して勝ったので全体的には成長した合宿が送れました」

――帝京大戦の勝利は春と夏で違いはありますか。

  「勝利の仕方に大きな違いはなかったです。気持ちの部分で上回っていたと思います。もちろん点数が0―19と離された状況から勝ったというのは違う部分であるかもしれませんが、勝因というのはFWのセットプレー、スクラムなどのところがキーになりました。春もそうだったので内容的には変わっていなかったです。ただ勝利したのも春夏ともにゴール差ですから、やはり帝京大の強さは感じました。同時にやっていない部分で課題が出ましたので、分かりやすい帝京大戦になりました。取り組んだ部分と取り組んでない部分というのが明確に出た試合です。またシーズンに入ってプレッシャーが変わった時にどう動けるか楽しみです」

――例年の合宿よりハードトレーニングが少ない合宿と伺いました。

 「試合のために練習する合宿でした。春積み上げてきたものがあると確信できていましたし、それ以外にやることが多かったです。アタック、ディフェンスはもちろんですし、ユニットの部分でも微調整しなければならない合宿でした。戦術的な選択肢は増えていませんが、チームとしてのアタックは何なのかの整理がメインでした。ある程度形を作れた合宿でした。その中でラインアウトはこれからの課題になっていくと思います。ただ夏に完璧でも仕方がないですし、合宿ではまだ個々の部分で足りない部分があったので、スローワーの精度やリフトをマックスまで上げるというのを徹底しました。秋に入ってからオプションであるムーブの部分を鍛えていきたいです」

――福田健太主将(法4=茗溪学園)は「個が強い学年」と4年生を表現していましたが、監督にはどのように映っていますか。

  「個が強いというのは、単純に言うとラグビーの質が高いです。去年の学年よりも高いと思います。トップリーグに決まった人数も去年より多いですし。ただその個の強さがこれからまとまっていくのかが重要ですね。チーム一丸となるためにもまず4年生がまとまってくれるのが一番ですから。Aだけでなくジュニアにおいても優勝を目指すことが強くなるキーです。4年生がリーダーとして引っ張ることでチームとして成長できますから、ジュニアのリーダーをやる人は、ただジュニアの1試合のリーダーをやるという意識ではなくて、チーム全体を率いている気持ちでやってほしいです。ジュニアのメンバーの中からチームのリーダーが生まれてくることが理想です」

――春からやってきてそのようなリーダーは増えましたか。    

 「僕はまだ増えたとは思ってないです。足りないです。今挙げられるのは福田はもちろん。井上(遼・政経4=報徳学園)、髙橋(汰地・政経4=常翔学園)が少し出てきたかなというところです。春に比べたら2人は引っ張るようになってくれました。ただリーダーが増えてほしいという気持ちを込めて副将を置かずに7人のリーダーを置いたので、物足りなさがあります。残り5人のリーダー陣はもっと期待しています。最後に勝つためには4年生の力が絶対ですから」

――ありがとうございました。

[鈴木貴裕]