向山恭平 強気の気持ちでリンクを駆け抜ける

スケート部(スピード部門)に新たな新星が現れた。向山恭平(政経1=白樺学園)。強靭(きょうじん)な下半身を武器に力強い滑りを見せる。わずか16歳で親元を離れ、自らを成長させた。スピード部門の復活に向け、1年目からチームを先導する。

 

原点

  幼少期に体験教室に参加したことが、スピードスケートとの出会いだった。中学校までは、コーチとワンマンレッスンが続く。少ない練習量と、質に限界を感じていた。人数が多い環境で自身を鍛えることを考え、白樺学園に進学する。「どうせ飛ぶなら、飛んじゃえ」と地元長野から12時間を要する北海道に身を置いた。

 白樺学園は全国屈指の名門校。意識が高い部員が集まっていた。「調子の良い子を見て、悪い子は頑張ろうってなった」と、常に互いを刺激し合う毎日。向山の持ち味はコーナーでの滑りと強靭な下半身。「高校までいい環境で練習させてもらったおかげ」。日本一の環境で、求めていた練習量と、質の二つを満たした。

 最も心に残っている試合は、全道大会の優勝。世界大会に出場した経験のある格上相手に、わずか100分の7秒差で勝利。「レースが終わって、みんなが盛り上がった」と、周りを驚かせる勝利であった。また、独特のバトンリレーも印象に残っている。「練習はかなりやる。全道大会の一カ月前からやっていた」。猛練習の成果は、優勝という形に。この経験も、自分を大きく成長させた。

 

信念

  向山の今を支えている宝物が二つある。一つは高校3年間、練習日誌として書いていたノート。監督に言われた言葉の全てをメモしている。今でも、不調に陥った時はそれを確認。一度立ち止まって、原点を振り返る。

  もう一つは「自分のためのスケートをしろ」という高校時代の監督の金言。この言葉は、競技における信念になっている。

  今の課題は初速の向上。「スタートが縮まれば、コーナーが必然的に速くなる」。現状の課題を解決することで、持ち味をより引き出せると分析した。向山の挑戦は、始まったばかりだ。

 

[小畑知輝]

  

 ◆向山 恭平(むかいやま・きょうへい)、政経1、白樺学園、170センチ、72キロ、長野県出身 最近は「アベンジャーズ」を鑑賞。ラーメンを控えている。