
西田結惟 磨いた精神力で世界へこぎを進める
進化した姿で再び世界を目指す。西田結惟(文1=岐阜県立加茂)は169センチの長身を生かした力強いこぎが光る大型ルーキーだ。高校時代は、幾多の国際大会を経験し、世代トップクラスと称されるまでに上り詰めた。さらなる大舞台へとたどり着くため、懸命にこぎを進める。
苦悩の日々
苦境を乗り越え花を咲かせた。今年5月のジャパンカップ国際レガッタ。代表選手にも劣らぬ自慢のリーチを生かし4位と、その実力を存分に見せつけた。今や世代トップクラスにまで上り詰めた彼女だが、競技人生の歩みだしは決して軽快なものではなかった。
姉への憧れから高校入学と同時に競技を始めた西田。当初は「楽しそう」と期待に胸を膨らませていた。状況が一変したのが高校1年次冬。実績ゼロにもかかわらず、顧問の推薦で有望選手を集めた合宿に参加した。「こんなところにいていいのか」。真面目過ぎる性格が足かせとなり自身を苦しめた。さらに、追い打ちを掛けた2カ所の疲労骨折。連鎖的な不遇に「端艇をやらなければよかった」。憧れを見失うほど、傷心していた。
そんな西田を支えたのが身近な母の存在だ。運動経験はなかったが、栄養学を勉強。「常に子供のことを最優先してくれた」深い愛情が何よりも救いとなった。
精神の成長
唇をかんだ経験が躍進の起爆剤となった。高校2年次の代表選考レース。6位が代表への当落線だったが「そこまで行けると思ってなかった」と結果は7位。目前で代表を逃し、試合前は予想だにしなかった悔しさを味わう。「代表に『入れたらいいな』から『入りたい』に変わった」。練習への意識を高め迎えた高校3年次。ついに代表入りを果たし「すごく自信になった」。臨んだUー19(19歳以下)世界選手権でも目標通りB決勝進出。屈辱をバネに重ねた努力が実った瞬間だった。
世界と戦える選手へ。現在は海外選手との一番の差である〝こぎの技術〟を磨くべく練習に励む。「自己管理がしっかりしていて、ストイック」と新天地の雰囲気もお気に入りだ。さらなる飛躍を遂げ、明大から世界へ。日々進化を見せるそのこぎに、目が離せない。
◆西田 結惟(にしだ・ゆい) 文1、岐阜県立加茂、169センチ 岐阜県出身。中学3年次までやっていたソフトボールでは4番でエース。
[小野原琢真]
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