小川 父子の悲願へ第一歩

2018.06.13

◆4・7~8 全日本選抜体重別選手権(福岡国際センター)
▼男子100㌔超級❶小川

真価を発揮
 世界への挑戦権をつかみ取った。9月に開催される世界選手権の代表選考を兼ねて開催された全日本選抜体重別選手権。小川が初優勝を果たし、代表に初選出された。父・直也氏が4度制した大舞台に、ついに殴り込みをかける。
 日本一となった瞬間でも大きく喜ぶことはしなかった。「ほっとした」。昨年度は過去2年間無敗の学生大会でまさかの連敗を喫するなど決して順風満帆ではなかった小川。この敗戦に「慢心があった」と自らを見つめ直した。より練習では自分に負荷をかけ、今まで軽視していた相手の研究にも力を入れて妥協を捨てた。挑戦者の気持ちで臨んだ昨年11月の講道館杯全日本体重別選手権を制すると、続くグランドスラム東京でもリオデジャネイロ五輪金メダリストのクルパレク(チェコ)を破る快進撃を見せ優勝。一躍最重量級の主役候補に躍り出た。そして迎えた今大会。21歳の若武者にとって並ではないプレッシャーを感じながらの一戦だったが、年上の猛者たちを圧倒する威風堂々の戦いぶりで優勝。「自分が一番強いことを証明できた」と重圧をはねのけ、スターダムを駆け上がった。

おやじ超え
 小川のそばにはいつも父がいた。小川が「おやじは一番近い目標」と言えば、直也氏も「いつかは小川雄勢の父と言われるように」と息子の活躍を誰よりも願っている。世界に名をとどろかせた直也氏でも届かなかった五輪の金メダルは小川家の悲願だ。「目標は世界一」。こう語る小川の目は2年後の大舞台を見据えている。偉大な〝おやじ〟の忘れ物を取りに行くために、まずは初の世界の大舞台で〝ハッスル〟してみせる。
【加藤真人】

◆小川雄勢(おがわ・ゆうせい)神奈川県出身。クラシックバレエを習っていた。190㌢・135㌔