関東トーナメント開幕 大会展望

関東トーナメント開幕 大会展望
 新たな時代の幕が上がる。関東トーナメントが4月22日に開幕した。秋のリーグ戦、冬のインカレの結果を占う重要な意味を持つ今大会。昨年度は11位に沈んだが「勝ちにこだわって優勝したい」(小林拓主将・営4=桐光学園)と後の大会に弾みをつけるべく、42年ぶりの優勝を目指す。初戦は5月1日の慶大戦。駒沢屋内球技場にて、11時からティップオフだ。

 今年度もテーマは変わらない。「うちは大型のチームではない」(濱西康一監督)と2メートル近い留学生選選手が多く在籍する大学バスケ界において高さで劣る明大。そのハンディを埋めるには「ファーストブレイクを狙う」(濱西監督)しかない。そんな速い展開に導くのは今年度メインガードとしての活躍が期待される渡辺翔太(政経2=宇都宮工)だ。169センチとガードとしても小柄だがその身体能力は本物。圧倒的なスピードで速攻のチャンスをつくり出す。
 先陣を切るのはフォワード3人組だ。昨年度から得点源としての活躍を見せていた須藤昂矢(営3=桐光学園)、奥野綾汰(国際3=藤枝明誠)、野口龍太郎(営3=九州学院)。同じポジションのこの3人だが三者三様の武器を持つ。京王電鉄杯では5試合中須藤が4試合で先発出場と頭一つ抜けているが「彼らがいないと成り立たない」(濱西監督)。それぞれの個性を生かしつつ前線を駆け抜ける。
 進化を続ける大黒柱も速攻に参加する。インサイドの要である今川友哲(営4=大阪桐蔭)。「アジリティーのある選手」(濱西監督)と昨年度のリーグ戦から速攻に加わり、オフェンスに貢献していた。それに加え今年度はドライブを仕掛けるなどアウトサイドからのオフェンスが増加。多彩な攻めで相手の大型インサイドプレイヤーを翻弄(ほんろう)する。
 速攻につなぐには強固なディフェンスが必要だ。そのカギを握るのは昨年度の秋のリーグ戦で14試合連続スタメン出場を果たした植松義也(営2=桐光学園)。植松は14試合目以降ケガで欠場していたにも関わらず、ブロックランキングで日本人トップの5位にランクイン。今年度もディフェンスの最後のとりでとして相手オフェンスに立ちはだかる。

 選手主体で新たな歴史を築く。4年間で三度も監督が交代し、指導者が安定しない明大。2年連続で指揮を執る濱西監督も「平日はあまり行けていない」と選手たちが練習を組んでいるのが現状だ。しかし「コミュニケーションが取れていい状態」(今川)と自らの課題を選手間で相談しながら克服していける現状を前向きに捉えている。「どこまで伸びるか楽しみ」(奥野)。全員バスケでチームを成長させ続ける。

 2戦目にして一つのヤマ場を迎える。今年度から明大と同じ1部リーグに昇格してくる中大だ。リーグ戦でも対戦することになるだけに勝っておきたい相手。「(中大に)勝てればチームに勢いがつく」(植松)と選手たちもこの試合を一つのカギとしている。一つ目の山場を越えて弾みをつけたい。
 打ち破らなければいけない壁がある。中大に勝利し、その後の準々決勝も突破すれば準決勝で白鴎大との対戦が濃厚だ。昨年度は3戦3敗と一つの勝ち星も挙げることはかなわなかった。この数字に「苦手意識は正直ある」(植松)と選手たちも相性の悪さは自覚している。しかし、昨年度のエース・野﨑零也選手(ファイティングイーグルス名古屋)が抜け、つけ入るスキは十分にある。「打ち破るしかない」(今川)。立ちはだかる壁を突破し42年ぶりの頂へ向かう。

[長沼遼太]