平賀健太郎 勝利を求める無冠の逸材
〝桐生超え〟の二刀流ハードラーが紫紺を身にまとう。平賀健太郎(営1=洛南)は桐生祥秀選手(日本生命)らが持っていた4×100㍍リレーの高校記録を塗り替えたメンバーの一人。個人でも110㍍JHで高校歴代2位の記録を持つ。超新星が短距離部門に希望の風を吹かせる。
不安との戦い
高校記録を打ち立てた日本選手権リレーの出走直前、4走を務めた平賀はプレッシャーの中にいた。しかし極限の集中状態である〝ゾーン〟に入ることができる平賀は「自分はこの場に立てるくらい強い選手なんだ」と自己を高く保ち、己の不安を拭い去った。レース後、記録が映し出される電光掲示板に39秒57の数字。高校記録を狙える最後の大会で有終の美を飾り「興奮を抑え切れなかった」と仲間と喜びを爆発させた。
比類なき才能
驚異的な適応能力の持ち主だ。平賀がハードルを始めたのは中学2年次。顧問の先生の勧めがきっかけで当初は乗り気ではなかった。だが元々体をコントロールするのが得意であった平賀はハードルの複雑な動きにすぐ適応。1年後には全中3位、国体4位とその才能を開花させた。高校入学前の3月に腰椎分離症を発症し、1年間を棒に振ったが、高校3年次ではインターハイ、日本ジュニアで上位入賞。持ち前の吸収の速さで長かったブランクを埋め合わせた。
勝利至上主義
勝利こそ全てだ。その考えは幼少期から変わらない。レース直前の不安要素をゼロにするため、大会1カ月前の食事制限などの入念な準備は欠かさない。好きな言葉は天衣無縫。完璧を目指す男に最適な言葉だ。しかし全中、インターハイ、国体といまだ一度も頂点に立てていない。「実力不足と自覚している」。まだ見ぬタイトルへの飢えはすさまじい。
歴史に新たな1ページを刻む。日本選手権を制した高山峻野選手(平29法卒・現ゼンリン)を除けば目立った成績を残せていない短距離部門。平賀が大学1年次で目指すのは高山選手も出場経験のある世界ジュニア選手権で表彰台に上ることだ。高山選手がもたらした明大短距離の流れをもう一度。新たな舞台で平賀の戦いが始まる。【綾部禎】
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