丹羽 5年ぶり単複制覇

2016.11.02

◆10・28~30 第83回全日本大学総合選手権(長野市真島総合スポーツアリーナ)▼男子シングルス❶丹羽 ▼男子ダブルス❶丹羽・酒井組

 この男を、誰も止められなかった。リオデジャネイロ(リオ)五輪で団体銀メダルを獲得した丹羽孝希(政経4=青森山田)が神巧也選手(平27政経卒・現シチズン)以来5年ぶりの単複優勝を果たした。丹羽のシングルスでの優勝は1年次以来。ダブルスでは酒井明日翔(政経2=帝京)と組み初優勝した。落としたゲームは二つのみと、盤石の試合運び。最後の全日学を有終の美で飾った。

同士打ち制す
 最後は笑顔で幕を閉じた。滝澤拓真(情コミ4=長野商)との同士打ちとなったシングルス決勝をストレートで制し、笑顔で握手を交わした。滝澤を含め、苦手とする左利き6人と対戦。対策として練習していたバックサービスを駆使し優勝へ上り詰めた。
 チームを離れていても、心は明治にあった。「明治がずっと優勝しているので、守りたかった」。4年連続で単王者を輩出した明大。今年は2連覇中の森薗政崇(政経3=青森山田)ら優勝候補が早々に敗退。「僕が決勝に行かないと」。使命を感じた。国際大会を優先し、学生の団体戦は欠場が多かった丹羽。これまで自由にさせてくれた明治へ、恩返しの優勝だった。
 メダルが丹羽を変えた。個人インカレ出場の決め手は、リオ五輪での銀メダル。結果次第では、卓球から離れる可能性もあった。人生を懸けてつかんだ勲章。だからこそ「メダルを取ったことで、気持ちに余裕が出てきた」。メダルはプレッシャーではなく、自信へ。髙山幸信監督も「表情も明るいし、発言も前向き」と丹羽の精神的な変化を実感。また一つ殻を破った。
 「リオ五輪のことは今年で忘れようと思う」。卒業後はプロとして、東京五輪を目指す。「自分の卓球人生はまた変わる」。ここはまだ、通過点だ。
【田中愛】