夏冬2冠率いた主将 中村健人
高校サッカーを制した男が大学でもタイトルを狙う。MF中村健人(政経1=東福岡)は夏冬2冠を果たした、世代きっての栄光をつかんだ主将。高校選手権決勝では2得点1アシストと優勝に大きく貢献した。高校でかなえられなかったプロになるため、大学からまた一歩を踏み出す。
努力の末
高校選手権決勝、ピッチ上を制圧したのは中村健だった。前半36分に均衡を破る1得点目を自らのパスから生み出す。そして後半2分、ペナルティーエリア手前から日本中を驚かすトリックFKを一発で決め、その右足の精度の高さを見せつけた。さらにアシストとゴールを奪い、プレーで見せる主将としてチームを17大会ぶりの優勝に導いた。弱い世代だといわれていた学年。「反骨心を持ってきついトレーニングをしてきた」と努力が実を結んだ夏冬2冠だった。
主戦場である中盤から攻撃を組み立てる。「ゴールの2本前、3本前のプレーを見てほしい」とほとんどの得点に絡む。中でも持ち味は両足から蹴り出されるキックの正確さ。もとは左利きながら小学生時代の監督の言葉を受けて続けた練習により、今では左右どちらからでも同等のパスを繰り出す。トリックFKに象徴されるように、セットプレーを担うのは右足になったほどだ。キックは小さいころから得意とするが、その他のプレーも培ってきた練習のたまもの。「当たり前のことは考えずにできる」と試合中のプレーのほとんどは感覚でやっているというほど、積み重ねが今につながっている。
憧れの先
強い力に引きつけられた。昨年、練習参加した際に視線を奪われたのが和泉竜司前主将(平28政経卒・現名古屋グランパス)の姿。「全部が得意なプレーなのかと思うくらいレベルが高かった」と練習を見た中でもひときわ輝くプレーに魅了された。「憧れを抱いて入ってきた。同じ道のりをたどれるように、しっかりと目標を持ってやっていきたい」。和泉への羨望(せんぼう)を胸に、背中を追う。
明確なビジョンを描く。「1年で試合に絡んで、2年でスタメン、3年で特別指定を受けたい」とプロ入りに向けた確かな道を見据える。対人プレーを弱点に挙げる中村健にとって、堅守を持ち味とする明大は「必要とするものがある」場所だ。「大学で良かったと思えるように」。遠回りではなく、全てを糧にするための4年間が始まる
【谷澤優佳】
◆中村健人(なかむら・けんと)1997年生まれ。大分県出身。日本高校選抜でも背番号「10」を背負い主将を務めた。171㌢・66㌔
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