キャプテンでエース ゴールで示した覚悟 和泉竜司
ピッチの誰よりも輝いていた背番号10は、試合終了のホイッスルが響くとユニホームで顔を拭った。学生最後の試合となった全日本大学選手権の準決勝・関西学大戦。FW和泉竜司主将(政経4=市立船橋)は右手甲を骨折しながらも、1ゴール1アシスト。チームは2―4で敗れたが、最後の試合でも4年間こだわったゴールで自身の存在価値を証明した。
矜持
「後悔はない。4年間やり切った」。満足はできない結果だったが、持てる力を全てピッチで発揮し悔いはない。試合後に出てきたのは、偽らざる本音だった。一つ一つのプレーに4年間の成長を凝縮させ、別格の存在感を放った。
1―2で迎えた前半37分。PA内で味方選手が仕掛けてつぶれたこぼれ球を胸トラップすると、ゴール右隅に左足一閃。重要な時間帯に沈めたのは、決して簡単ではないゴール。それでも「結果を出すという部分にはこだわりを持っているし、もう1点2点取れたし自分に弱さがあった」と試合後には淡々と自分の弱さに目を向けた。4年間、一度も「満足したことはない」男の言葉だった。
エースの矜持(きょうじ)だった。初戦の2回戦・中京大戦で、ピッチに手をついた瞬間「ばきばきと音がした」。試合後、全治1カ月の診断。プレー中に痛みが走った。それでもテーピングで固めてピッチに立ち続けた。「覚悟はできている。最後なので」。球際の激しい競り合いもいとわなかった。「プレーで示すタイプ。絶対にピッチに立っていた方がいい」。チームメートもその存在の大きさを語る。初戦から準決勝まで3試合連発弾。1年間背中で引っ張った和泉は今大会でも、背番号10を背負いキャプテンであることがふさわしことを証明した。
答え
それでも悔しさは募る。「毎年惜しいところで優勝できなくて、なぜできないのかという部分の答えを出せなかった」。総理大臣杯準優勝、関東大学リーグ2位。「主将として最後に優勝へ導いて、本当に強い明治を築ければ、来年以降の明治も変われる」と大会前に語った。だが最後のタイトル獲得のチャンスも、今季学生4冠を果たした関西学大に敗れた。優勝。その経験が明大をもう一つ上のレベルに導くと信じていただけに悔しい幕切れとなった。
「足りない部分は負けた試合に出る。それをしっかりプラスに捉えて、もっと強くなってほしい」と後輩にタイトル獲得を託した。本人は「この悔しい経験を生かして、明治の後輩に憧れられ尊敬される活躍」を目指す。まずはJ1・名古屋グランパスでのタイトル獲得。そしてプロで得点という結果で、世界を舞台に活躍することを誓った。
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