横手 現役日本人学生最速

2015.12.16

闘志
 1万メートル27分58秒40。横手が持つ現役日本人学生最速のこのタイムは、学生トップの証だ。1年次から明大の中心として活躍してきた横手はどんなレースでも全力の走りで果敢に先頭集団に食らいつき、粘る。常に100パーセントを出し切るレーススタイルこそが、27分台の記録すらたたき出す爆発力の原動力となっている。
 高校時代からインターハイで日本人トップ、国体優勝など華々しい実績を誇っていた横手だが、意外にも実力を出し切ったと思えるレースは少なかった。大学入学後もどこかくすぶる時期が続き、特に駅伝では満足いく結果が残せなかった。
 転機となったのは2年次の箱根駅伝だった。5区で区間19位。この苦い経験が横手に陸上への向き合い方を変えさせた。次のレースまで見据えた走りを意識し始めると、それがレースでの爆発力、そして夏夏の好タイムにつながった。

主将
 最後に頼もしい男が帰ってくる。主将として誰よりも練習を重ねたが、その練習量があだとなり夏に右膝を故障。一時は箱根すら絶望的という状況だったが、何とか「80パーセントくらい」という状態にまで戻してきた。リハビリ中も主将としての背中を見せることは欠かさず。「ケガをしているからチームを引っ張らなくていいというわけではない」。走りでけん引することができない分、真摯(しんし)に治療に取り組む姿を見せた。「横手は主将としてしっかりやってくれた」(西弘美駅伝監督)。指揮官からの信頼も厚い。
 「ケガをしてチームに迷惑を掛けた分の働きはしないといけない」と出雲、全日本と走れなかった分意気込む。「27分というベストタイムに恥じない走りを」。明大最速の男が、最後の箱根路で圧巻の走りを見せる。