和泉竜司 複数クラブ争奪の次世代スター

2015.12.02

 見据えるのはA代表入りからの海外挑戦だ! 高校選手権決勝で逆転ゴールを決め、高校サッカー界のスタープレーヤーとして入学した和泉。大学では1年次からスタメンをつかむと、2年次にU20日本代表選出など順調にステップアップを重ねてきた。複数クラブのオファーから選んだ次の舞台は、豊富な攻撃陣を抱える名古屋グランパス。来季から指揮を執る小倉隆史監督兼GMの下、1年目からスタメンを勝ち取る。

スペシャル
 「Jリーグ開幕戦から試合に出て活躍できるように」。和泉は記者会見できっぱり開幕スタメン獲りと1年目からの活躍を口にした。数あるオファーから自ら選んだのは、日本代表経験者が多く、個が際立つ名古屋グランパス。その中でも和泉獲得を決めた名古屋スカウトは「スペシャルな選手だから。和泉自身に日本代表に入るくらいの力がなければ取りにいかないぐらいのことを言っている。新監督も楽しみにしている」とクラブ側の期待も大きい。

求める強さ
 新たな環境で和泉が求めるのは絶対的な強みだ。和泉自身は連動して攻撃にアクセントを加える香川真司選手(独1部ドルトムント)を似ている選手像に挙げるが「そういうタイプの選手は多くいる。自分の強みは何かが悩みだし、ストロングポイントが一つ欲しい」と語る。シュート、ラストパス、組み立て、ロストするのが珍しいくらいのキープ力、前線のポジションを全てこなす器用さ。オフェンスに必要な全てをそつなくこなす和泉だからこその悩みだ。4年間磨き続けたこだわりがカギを握る。それは「試合を決められる選手」へのこだわりだ。「得点やアシスト、試合に直結するプレーがどれだけできるかが、その選手の質」。下級生時代から主力として起用した神川明彦総監督も厳しく求めた。基準を満たせないプレーがあれば「おまえのせいで試合に負けたんだ」「おまえの目指すべき場所は、そこじゃないだろ」と常に容赦なく接した。「4年間、こだわり続けてきた。常に得点するための動きを意識している。日本の課題でもある最後の部分を決めるかが、上にいけるかを左右する」。攻撃の選択肢を多く持ったユーティリティー性だけでなく、和泉のアイデンティティーとしてゴールを、試合を決める選手を目指す。

スターダム一気にスターダムに駆け上がる。  「よっちくん(武藤嘉紀選手・独1部マインツ)みたいに代表に呼ばれて海外から声が掛かるのが自分の目指すべき場所」。3年以内の日本代表選出、さらに海外挑戦へと目線は向いている。恩師の神川総監督も「日本代表レベルで活躍してほしい」とエールを送る。日の丸を背負い欧州へ向けた、和泉の挑戦が始まる。
◆和泉竜司(いずみ・りゅうじ)1993年生まれ。三重県出身。市立船橋高3年次に選手権・決勝で2得点と逆転Vに貢献。大学1年次から主力として活躍。U20東アジアカップ代表、ユニバーシアード光州大会代表。173㌢・68㌔