田村熙 チームを勝利に導くカリスマ
絶対的エースが最後尾からチームをけん引する。下級生のころから中心選手として活躍してきたフルバック田村煕(営4=国学院栃木)。非凡なプレーで何度もラインブレークし、正確なプレースキックでチームの得点王にも輝く。だが、田村の武器はそれだけではない。
フィジカル
10点のビハインドで迎えた帝京大戦の後半31分、敵陣深くでボールを受けた田村は自ら仕掛ける。フランカーイラウア、ロック飯野と立て続けに2人から強烈なタックルを受けても倒れない。自らインゴールに飛び込んだ。ゴールも沈め、3点差に追い詰めるビッグプレー。試合には敗れたものの、強烈なインパクトを残した。王者相手に見せつけたフィジカルこそが、田村が大学で最も成長した部分だ。下級生のころは体を当てることに恐怖心もあったが、今年は阮申騎FWコーチの指導もあり毎日のようにFWと体をぶつけた。「真っすぐ当たるだけじゃなくてずらすことが大事」?強さだけでなく体の当て方も手に入れ、入部時から体重は10㌔以上も増えた。パス、ラン、キック、どれを取っても大学トップレベル。ボールを持つと観客の目をくぎ付けにしてきた男は「フィジカルで自信が持てるようになって幅が広がった」と成長を実感する。
使命果たす
そんな田村に丹羽政彦監督は「日々成長した。2019年にはジャパンで出る選手」と太鼓判を押す。日本代表で活躍する兄・優選手(平23文卒・現NECグリーンロケッツ)も「(ラグビーW杯で兄弟の日本代表は)歴史上ではまだない。(2人で)話すことはないけどそうなったらいい」と期待を寄せる。だが、田村の見方は違う。「夢のまた夢。手の届くところにはない」と謙虚な姿勢を貫く。「今の実力を見て、目の前のことを一個一個やっていく」。高校でラグビーを始めてから、一つずつ課題を克服し、順調にステップを踏んできた。下級生のころはフィジカル面で苦しみながらも、少しずつ強みにしてみせた。だから、今は明治を大学日本一に導くことしか頭にない。「今は帝京がすごいけど、勝てば明治がやっていることが正解になる」。ファンのためにも、出られない部員のためにも、明治を背負って最後まで戦う。
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