高山 110mHで日本一
日本の頂点に躍り出た! 国内最高峰の大会である日本選手権。110㍍H(ハードル)の高山峻野(法3=広島工大)は3度目の出場で初めて予選を突破すると、勢いそのままに初優勝を果たした。現役の明大生がこの大会で優勝するのは実に57年ぶり。大会前は無名の存在に近かった高山。地道な積み重ねで飛躍的な成長を遂げ、自己ベストと同時に明大記録を更新するおまけ付きで快挙を達成した。
「まさか」のV
本人も「びっくり」の快挙だ。高山が一躍、日本の頂点へ上り詰めた。110㍍H決勝、トップで駆け出し13秒81でゴール。古谷(早大)の猛追を、前傾で飛び込んだ胴で同タイムながら着差をつけた。関東インカレという学生規模でさえ1、2年次は決勝に進出できず。この大会もこれまで2年連続で出場したが、ともに予選敗退。今年も優勝候補にも挙がらない存在だったが「練習で二、三十本に1本の走り」を予選、決勝で連発。練習の60㍍ダッシュでは「今までより断然早くて。調子が上がっている感覚はあった」と好調ではあったが、それでも「まさか」と言う走りで優勝を手繰り寄せた。
2人の代表
大舞台で自身最高の走りを見せた。前日の予選は13秒76で突破。自己ベストを約0秒2も早め、同時に明大記録も更新した。尊敬する先輩である佐々木洸選手(平26商卒・現肥後銀行)を超え、タイムを確認すると思わずガッツポーズ。これまでの明大記録・13秒88の保持者である佐々木選手は高山が1年の時の4年生。スキルも考え方も全てが憧れの的で「勝てないな」と格の違いに圧倒されていた。そんなタイムは高山にとってただの明大記録ではなく「佐々木さんの記録」と格別のもの。先輩を超えた自分の成長に「とにかくそればっかりがうれしい」と、喜びはひとしおだった。急成長には偉大な2人の支えがあった。高山は110㍍Hのメーンは走る部分と捉え、走力の向上に着手。この冬、同郷のロンドン五輪100㍍代表・山縣亮太選手(セイコー)にアドバイスを請い「前に前に力を伝える」と意識を強めた。ハードリングはアジア大会も経験した金子公宏コーチの教えに沿ってきた。踏み切りと着地時の重心を高く保つことで、前へ走る勢いを殺さない体勢を維持できるように。踏み切った足を横から抜く動きも、筋力をつけ滑らかさを追い求めた。「とにかく先生の言うことを聞いていれば強くなる」と地道に課題をこなしていった。
未完の王者
今年の高山は一味違う。13秒台が連発だ。昨年夏に13秒95を出すまで「大きな壁」と、14秒を破れずにもがいた。それが今季に入り一変。初優勝した六大学対校戦、初の決勝進出で4位に入賞した関東インカレと、立て続けに13秒台に乗せる好レースができている。それでも「強くなってきたら、自覚とかそういうのが出てくるのかな」。明大新記録の喜びはあっても、例年なら表彰台に届かないタイムに胸は張れない。9月のインカレを前に、今大会では大学生2人に先着したが「日本選手権のたまたまいいタイムで、やっと渡り合えた」と挑戦者の姿勢を貫く。これまでも一歩前の課題から一つずつ乗り越えてきた。実力を堂々と誇る姿はまた一歩先を越え、強くなった後に見せる。
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