落語家三遊亭小遊三氏「人のいろんな面を見て」
コミュ力に関して、三遊亭小遊三氏に話を伺った。
――学生時代はどこで友人と過ごしましたか
とにかく喫茶店でしゃべった。だって何もやることないんだもん。だから「喫茶店行く?」ってなった。3年4年はそんなことばっか。「喫茶店行こうよ」っていうのはあいさつ代わりだよね。「おう、授業ないの?じゃあ喫茶店行こう」みたいな。そりゃ喫茶店入って黙っているわけにはいかない。何かしゃべるよね。まあ「卒業できるのか」とか。
――そういう場づくりは大切ですか
あいさつからが大事だよ。何もしないで、外見てコーヒーとか飲んでて表通る人ぼーっと見ていても誰とも知り合いになれない。あとマージャンは必修科目だったね。やっぱり当時のマージャンていうのが「学生っていったらマージャンばっかりやっているんだろう」という時代だったからね。
――今でも大学時代の友人と親交がある理由は
学生はやっぱり欲得ずくで付き合っていない。言ってみれば子供だよね。子供の時代と同じようなお付き合いをしている。僕は商売柄若い時から自分で落語会をやったりしている。そういうのは誰かに来てもらわないといけないから、卓球部の仲間には案内が出しやすい。だからずっと付き合っている。ずっと少しずつ何かで接触している。こういうのは自分の職業柄あるだろうけれど。時間が長いってことはお互い嫌ではないってこと。それは一つの信頼関係と思う。長く付き合っているっていうのは。しょっちゅうべたべたしているわけではないんだけれど。
――長く続く関係ができるときというのはどういうときですか
やっぱり働き盛りというか、社会に出て夢中で仕事覚えて自分で責任取ってやっている時代なんて、人のことなんか構っちゃいられない。そういう時に付かず離れず、失礼のないように「俺のことも覚えておいてくれよな、今こんな状況だよ」「そうかい、俺もこんなだよ」っていうように。
――コミュニケーションを取る上でアドバイスを
一つのことを一生懸命にやるというのは大事なことなんだけど、やっぱり凝り固まらない方がいい。可能性ってすごくあると思う。取りあえずいろんなものに興味を持って、自分のできることはここだなと見極める。人と会っても一面しか見ないっていうんじゃなくて、目を向ける方が、その人の他の面も見て話を聞くという習慣も身に付くんじゃないかね。
◆三遊亭小遊三(さんゆうてい・こゆうざ)1947年生まれ。山梨県出身。昭44営卒。体育会卓球部OB。明大在学中に三代目・三遊亭遊三に入門。主な出演作は日本テレビ『笑点』。
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