64年ぶり快挙 往路2位

2015.01.14

 明大の躍進を担ってきた最強世代の最終章は、総合4位で幕を閉じた。2区以降に4年生を4人並べるなど、主力を惜しみなく投入した往路は2位。1区横手健(政経3=作新学院)が区間3位の好スタートを切ると、4区まで全区間で首位と1分差以内で継走。64年ぶりの快挙につなげた。復路で順位を二つ落としたが11時間1分57秒でゴール。総合タイムで明大記録を更新し貫禄を示した。

最強世代の意地

 「古豪」から、真の「強豪」へ。全員が攻めの走りを見せた。「優勝を狙っていた」(有村優樹主将商4=鹿児島実)という往路は、4区までに並んだ主力全員が区間5位以内と好走。最後は驚異の走りを見せた神野(青学大)の後塵(こうじん)を拝したが、5区文元慧(政経4=洛南)が駒大を抜き去り2位で芦ノ湖へ飛び込んだ。2年連続1区で好走を続けたスターターだが「チームが勝つため。山の適性は無いが、粘れる、頑張れる自分が行くべきだと思った」。前回大会終了からわずか数時間後、西弘美駅伝監督に山登りを直訴。本番3週間前に故障し出場さえ危ぶまれた中だったが、意地と責任で走り切った。復路はもがいた。八木沢元樹(商4=那須拓陽)らエース格に加え、エントリー選手でも山田稜(理工2=九州国際大付)ら3人が直前の故障などで見込みが立たず。調整ミスが響き苦しい駅伝を強いられた。しかし、監督車からの「早稲田に負けるな」の西監督の声に応えたのが9区木村慎(商3=浜松日体)。区間2位で早大との宿敵対決も制して2人抜き。?区で東洋大に抜き返され総合4位も、3位に入った2012年の記録を上回る総合タイムで明大新記録を樹立。過去最高の力は証明した。

「来年もV狙う」

 劣勢でも最後まで優勝を目指したのは「松本部長を胴上げしよう」という合言葉があったからだ。今季就任20年目の松本穣部長が定年退職を迎える一年でもあった。予選会突破すらかなわなかったチームの強化に尽力。選手からの人望も厚かった。部長として優勝の瞬間を迎えることは出来なかったが「みんな一生懸命走ってくれたから満足」と松本部長。優しい笑顔で選手をねぎらった。総合4位にもゴールの大手町に笑顔はなかった。「3、4位では喜べない位置まできた」(西監督)という近年の成長は事実だ。そこまでチームを押し上げたのも最強世代の貢献が大きい。新主将の横手も「4年生から得た物は大きいし、このチームでないと優勝を目指そうとはならなかった」と感謝を口にする。最強世代が抜けて戦力低下が懸念されるが、西監督は「来年も優勝狙いに変わりはない」と前を向く。横手、木村の2枚看板の実力は証明済み。待たれるのは下級生の台頭だ。強豪として、真価が問われる1年が始まる。