グランドスラムへ王手 インカレ団体V 覇権奪回
復権の戴冠だ!昨年タイトルを落としたインカレで2年ぶりの優勝を果たした。準決勝の早大戦で接戦を制し、決勝は昨年敗戦を喫した愛知工大に快勝した。春リーグで2戦を落とした丹羽孝希(政経2=青森山田)も圧巻の強さを見せつけ全勝。エースとしての役割を果たし、グランドスラム(春秋リーグとインカレで優勝すること)まで残すは一冠と王手をかけた。
主将の喝
顔色一つ変えず丹羽はコートに向かった。相手の吉村(愛工大)に打たせる試合運びと自ら振り切っていくカウンターでリードを広げていく。最後はサービスエースで勝負を決めた。「全て彼らしいプレー」(田崎俊雄監督)。勝利の瞬間、ベンチと観客席に一礼し大きく手を振った。「みんなの応援とOBの応援のおかげ」。1番で平野友樹主将(商4=野田学園)が敗戦を喫し、愛工大に流れが傾きかけたところを、丹羽が食い止めた。後続の選手も流れを引き継ぎ、4番の町飛鳥(商2=青森山田)のところで歓喜は訪れた。
主将の言葉がエースの意識を変えた。世界選手権後の春リーグで丹羽は2敗を喫した。「世界卓球から1週間後だったので練習も全然していなかった」。最終日の専大戦でも敗れたが、負けても平然としている丹羽を見て平野は一喝した。「日の丸を背負っていく人間で、ファンが残念になるようにしちゃいけない」。エースとしての自覚を持ってほしく、発したこの言葉。中学高校の恩師から平野がもらった言葉で「人に感動を与えるプレーをしろ」の意味を込めて伝えた。丹羽も自身のふがいなさを受け止め「僕の1点を頼りにしてくれている」と試合に対する姿勢を改めた。
勝利の味
心の持ち方を変えた。学生と世界相手に試合する中でモチベーションの調整を進めるのは難しく「受けに回ってしまう」と丹羽。しかし年々レベルの上がる大学卓球界を見て「軽い気持ちでやっていたら勝てない」と思うようになった。世界と戦う姿勢と同様、格上に向かう気持ちで試合に臨んだ。田崎監督も「去年は戸惑っていたけどそういうことはもうないので、安心してコートに送り込めた」と成長ぶりをたたえた。
『チーム明治』で今年こそグランドスラムを果たしてみせる。周りから勝って当たり前といわれる中で「勝つことの厳しさ」(平野)を痛感した。それでも一人一人が勝利への思いを持つことで光明が見える。「みんなで勝ち取った勝利」(田崎監督)の味を忘れず、最後の一冠に臨む。
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