インカレで復活 西野連覇

2014.01.15

 涙を乗り越え、栄光をつかんだ。日本学生氷上選手権(インカレ)フィギュア部門女子の部で、前回女王の西野友毬(ゆうき)(政経2=武蔵野)が合計157・54点で優勝し、連覇を達成した。SP(ショートプログラム)は53・33点の1位。フリーでも104・21点の1位と相手を寄せ付けなかった。昨年12月の全日本選手権では体調不良により、納得のいく演技ができず21位と低迷。それでも気持ちを切り替え、大舞台でリベンジを果たした。

笑み
 フリーの演技を終えると、うっすら笑みを浮かべた。「完璧ではなかったけれど、全日本のリベンジは果たせた」。
 SP最初のルッツジャンプは回転不足になってしまい、フリーでもジャンプのミスがあった。それでも、持ち前の表現力で曲に合わせた演技を披露。フリー終盤に見せたスパイラルには観客から拍手が送られた。
 今季は調子の波が激しかった。優勝確実と思われた昨年10月の東日本学生選手権で準優勝。それでも、11月の東日本選手権は会心の演技で制し、12月の全日本選手権へ駒を進めた。

苦難
 まさかのアクシデントだった。全日本選手権の前日、高熱を出した。演技をできる体調ではなかった。それでも「一番大切な試合。今やるしかない」と強行出場。だが、SPからミスが目立ち、自己ワースト21位に終わった。「全日本だからこそいい演技がしたかった」。ふがいない演技に悔し涙を流した。
 全日本からインカレまで2週間。体調も回復し、年末年始2日間以外は通常練習を行った。「ちょっとだけ強くなろうと思った」。内容が悪いとスケートから背を向けることが多かった。しかし、インカレには団体戦もあり、足を引っ張るわけにはいかない。大きな変化はなくとも、地道に練習を重ねた。

葛藤
 ジュニア時代から国際大会で活躍。早くから将来を期待されていた。それでも「スケートだけの人にはなりたくない」と、競技は大学4年間で終えると決めている。それだけに、五輪出場や日本一といった結果が全てではない。東日本選手権で見せた「練習でもできたことがない」ようなミスのない「理想の演技」をすることが目標だ。
 だが、今季は不安定さに悩んだ。「たまにいい演技ができてしまう。変に締め付けられている」。理想の演技ができた理由が分からない。どうすればできるのか。ひたすら練習したが、なかなかうまくいかない。「スケートから逃げ出したい」。弱音も吐いた。それでも「ここでやめたら後悔する」と理想を求め続けた。
 全日本のリベンジは果たした。しかし「東日本の演技は本当に良かった。だからインカレは心残り」と納得はしていない。理想へ、また一歩歩みを進める。