勝って少しでも長く同期と一緒に 堀江恭佑
スクラムの最後列から、看板FWを支える大黒柱。183cm、101kg。ピッチの上でその姿は「異次元」の強さで、大きな存在感を放つ。1年次から紫紺に袖を通し、明早戦には全て出場してきたが、勝利の味は知らない。「前へ」の継承者が、未経験の喜びを最後のチャンスで手繰り寄せる。
結果
ジャージーに対するそれぞれの思いが一番強くなるのが明早戦。その中で堀江はここまで3年間、ピッチに立ってきた。
その中でも特に忘れられない敗戦がある。おととしの大学選手権準決勝、10-74で歴史的な大敗した試合だ。「もう絶対にこういう思いはしたくない」。この瞬間から明早戦への思いが一層強くなった。
堀江 とにかく勝ちたい。最後の対抗戦の明早戦は結果だけ。
堀江 ここまで毎年明早戦に出てきて、毎年悔しい思いをしているし、勝ちたい。
試合に出ているにもかかわらず、まだ勝利の美酒を味わったことはない。その分、秘める思いは人一倍だ。
FWは体の当たりが激しいポジションだが、臆しない。「アタックもディフェンスも受けちゃいけない。自分から踏み込んでいかないといけない」と言う。
初めて楕円(だえん)球に触れたのは中学3年生の時。これまで水泳、相撲、陸上と個人種目しか知らなかった少年は、初めてのチームスポーツに魅せられた。責任が自身ではなくチーム全体に掛かる。これまでにない経験となった。高校では高校ジャパンに選ばれた。大学では学年が上がるにつれ、伝統校特有の重みを感じた。
堀江 たまたま早い時期から試合に出れて、最初はジャージーを着る責任は感じていなかった。でも毎年着たくても着れない人がいっぱいいる。特に4年生のそういう人の思いをすごく感じるようになった。
4年になり副将となった。「上はいないし下しかいない。とにかく4年からやらないと。そういう気持ちになった」。練習中でもプレーでも、引っ張っていくことが求められた。常に「先頭にできるだけ立って、できるだけ前に」出ることを意識してやってきた。
堀江 勝って少しでも長くラグビーがやりたい。それで今年は4年で卒業だし、同期と一緒にラグビーできる時間もどんどん少なくなって、そういう思いは強い。
もう最上級生。4年間苦楽を共にしてきた仲間との大学ラグビーにも終わりが見えてきた。少しでも長くかけがえのない仲間と共にラグビーをしたいと強く願う。
堀江さん、あなたにとってラグビーとは――。
堀江 我慢。
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