”有言実行男”世界へ!
夢をかなえた。平井康翔(政経4=市立船橋)がOWS(オープンウォータースイミング)で念願のロンドン五輪の切符を手にした。ポルトガルで行われた五輪最終予選レースで6位入賞。女子の貴田裕美選手(ALSOK群馬)と共にOWSでは日本人初の五輪代表になった。スタート直後に他選手の手が顔を直撃。ゴーグルがずれ右目に海水が染み、視界が悪くなるアクシデントに見舞われた。背泳ぎをしながらゴーグルは直せたが、一時26位まで後退。だが終盤、一気に巻き返した。これまで有言実行を貫いてきた。今回も「五輪に行く」と宣言し、達成して見せた。
野心
ただ一心に思っていた。「オリンピアンになりたい」。強い気持ちで五輪への扉をこじ開けた。OWSは、中学時代から指導を受けている森コーチの紹介で知り、大学1年から本格的にレースに参戦。日本では、なじみの薄い種目に飛び込んだのも、これまで専門にしていた自由形より、五輪に出場できる可能性が高いと思ったからだった。自由形でも高校3年次に400mでインターハイ優勝したほどの実力を備えていたが、転向を決意した。最終選考レースの前には「五輪に出られなかったら負け組だと思ってしまう」とも語っていた。全ては五輪に出るためにやってきた。
だが、五輪への道のりは険しかった。昨年初めて出場した世界選手権では、36位と世界のレベルを痛感。最終予選前のW杯イスラエル大会では途中棄権した。周囲の多くが無理だと思った。平井自身も厳しいと感じたこともあったが、わずかな可能性を信じ、諦めなかった。不安を拭い去るために「まずは形からと思い坊主にした」。覚悟を決め、最終選考予選レースでは4年間の思いを込めて泳いだ。ゴールし陸に上がると号泣した。
開拓
平井の強みは行動力だ。競泳とは異なり、OWSは国内に情報はほとんどない。他の人から教えてもらうことができず、自分で考え、情報を収集するしかなかった。海外へ自腹を切って武者修行にも行き、練習方法などを学んだ。森コーチとはレースの戦い方を一から試行錯誤した。未開の競技を自らの力で切り開いた。また「(明大の)ポスターに載りたい」と自ら広報課にアピールもした。最低条件として国際大会でのメダル獲得を言われると、見事昨年8月のユニバーシアードで銅メダル。今年度のポスターに起用された。
宣言
いつも有言実行だ。「ハッパをかけて自分を追い込んできた」と掲げた目標をわざと周りに話した。意図的に結果を残さなければならない状況に自らを置いた。それで自分を奮い立たせてきた。ユニバーシアードでは「メダルを取る」と言い続け、見事銅メダルを獲得。今回も「五輪に出る」と繰り返し、宣言通りの結果を残した。
悲願の出場を決めた平井。しかしここがゴールではない。今目指すのはメダル獲得。「自分の名前を歴史に刻みたい」。今回も大きな目標を掲げた。”明大の平井”から”世界の平井”になる。
◆平井康翔(ひらい・やすなり)1990年4月2日千葉県生まれ。2008年インターハイ400m自由形優勝。11年世界選手権OWS日本代表。大学1年次から本格的にOWSに参戦すると、いきなり日本選手権で優勝。昨年はユニバーシアードで3位に入り、日本人史上初となる国際大会でのメダルを獲得した。今年の6月には、かつてから熱望していた大学のポスターに起用される。ファッションや趣味においても力を発揮し、個性的な一面を見せる。柏洋スイマーズ柏スクール所属。175㎝・75㎏
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