エースの自覚・責任が優勝へ導く

2012.01.02

 最後の箱根に全てを懸ける!1年次から箱根駅伝に毎年出場している鎧坂哲哉主将。最後となる箱根路は2区を宣言しており、日本人記録更新に期待が懸かる。夏には1万㍍で歴代日本人学生トップとなる27分44秒30をマークした。だがそんな彼にも達成できていない目標がある。それは、箱根での区間賞獲得、そして優勝だ。


エースへの飛躍

 「危機感が生まれました」。2年の終わり、鎧坂は当時の4年生が抜けることで、エースとしての自覚を持ち始めた。故障を減らす努力をし、狙った大会で結果を出せるようになった。「日本選手権で上位の選手と競えるようになって、そこから次は世界で勝負したいと思うようになった」。高校時代から意識し始めた世界の舞台は、ようやく現実のものとなった。

 「A標準突破は狙っていました」。今季の夏は海外レースに出場し記録に挑戦した鎧坂。7月のUKトライアルで1万㍍に出場すると、五輪A標準を突破。ロンドン五輪出場も視野に入った。

 彼の強みは「どんな状態にあっても最低限の走りができる」(西駅伝監督)こと。今季、夏の遠征で距離をあまり踏めないまま駅伝シーズンに突入した。だが、初戦の出雲駅伝では2区で7人抜きの区間賞、区間新記録も樹立。勝負強さを見せてきた。

明治を強豪校へ

 「自分が明治を再び強豪校にしたいと思った」。出身校・世羅高も古豪と呼ばれていたが、高校2年次の全国高校駅伝。自身が逆転劇を演じ、32年ぶりに世羅高を優勝へと導いた。「三大駅伝で優勝させ明治を強くしたい」。この思いをずっと胸に抱いていた。今回の箱根がラストチャンスだ。

現在、10月に痛めた腰はまだ完治していない。しかし「駅伝は個人で走るより『チームのために』という気持ちが強くなる」と語る。箱根路では、不安を払拭(ふっしょく)する走りを見せてくれるはずだ。今回は区間賞への気合いも十分。また「日本人記録も狙いにいきたい」と記録更新への期待も高まっている。「この1年間優勝を目指してやってきた」。彼の走りが優勝へと導いてくれるはずだ。