「覚悟は決めた」武政主将が阿武松部屋へ入門

相撲
2016.02.10
 明大から角界へ。武政進之介主将(政経4=埼玉栄)が卒業後、阿武松(おうのまつ)部屋に入門することが決まった。3月上旬に新弟子検査を受け合格すれば、三月場所の前相撲からデビューとなる。
 高校時代は相撲の強豪・埼玉栄に在籍し、高3次には国体優勝。個人では全日本ジュニア選手権で優勝を果たした。明大に入学すると、下級生次から多くの大会で入賞を果たした。昨年の全国学生個人体重別選手権では無差別級で3位入賞を果たすなど、その実力は全国トップクラスだ。身長167㎝、体重120㎏と小柄な武政だが、体格の上回る選手に対して真っ向勝負を挑み、相手の一瞬のスキを逃さないキレのある相撲が持ち味だ。
 「怖いという気持ちもあるが、楽しむしかない」。明大からの角界入りは渡辺大志選手(平23政経卒=貴乃花部屋)以来5年ぶり。今月12日、武政は明大相撲部寮を離れ、部屋入りをする。

以下、武政主将のコメント

――入門が決まった時の心境はいかがでしたか
「もう覚悟は決めていました。プロという世界はきついところで、楽しいことは少ないと思います。自分でもつらい道を選んだなとは思っています」

――阿武松部屋への入門に至った経緯を教えてください
「大学の先生たちの紹介もあって、親方の相撲と弟子に対する熱い思いに引かれ、阿武松部屋にしました」

――阿武松部屋はどういう部屋でしょうか
「最高の環境だと思います。強くなるだけではなく、人としても人間性を身につける、男の修業をする最高の場だと思っています」

――いつから入門という形になるのですか
「(2月)12日までは大学で練習して、12日からはもう部屋での稽古です。部屋に稽古に行ったりはしました」

――四股名は決まっているのでしょうか
「たぶん名前です。武政って珍しい名字みたいで」

――相撲部屋への入門を決めたのはいつ頃ですか
「もともと全くプロは考えてなかったんですけど、大学の2、3年くらいの時にプロっていう道もあるなと思い始めました。だんだん力もついてきて考えだしました。高校までは細い選手だったんですけど、大学でがしっと筋肉もつきました」

――就職の内定をもらっていたとのことですが
「東京ガスの下請けのようなところに決まっていました。でもそこの社長もプロ入りをおしてくれて。『一度行ってこい』と言ってもらって、火が付きました。いろんな人が後押ししてくれました」

――プロ入りにあたって、ご家族とはどういうお話をされたのですか
「僕は昔から親の言うことを聞くようなタイプじゃなかったんです。4年のインカレが終わって、そこでは気持ち的に乗ってなかったんです。プロいくことも無いかなと思ったんですけど、それを母に言ったんです。そしたら『なんで燃え尽きちゃってんの?』みたいなことを言われて、そこで後押しをされました。公務員の親なんで、チャレンジ的なことは子供にさせないじゃないですか。そう思ってたんですけど『限界はまだまだでしょ』と後押ししてくれました。両親は一番喜んでくれましたね」

――武政主将にとって、プロの世界というのはどのように写っていたのですか
「本当に厳しいところだと思っていました。学生まで行って、プロの世界に行く人が少ないっていうのは、無理かもしれないとか、現実を知っちゃうんですよ。僕は、行って、そこの水を飲まないとわからないと思うんですよね。チャレンジしないと関取とかそういうものもチャンスすら無い。僕は、そのチャンスを信じて何事もやらないと、と思います」

――相撲界に入るにあたって同級生と話はしましたか
「高校の同級生の、大栄翔(追手風部屋)とは相談したりはしていました。ずっと誘われていたりはしたんですけど。うちの部屋じゃなくてもプロには入ってほしいっていう話をしていました」

――相撲界の明大卒業生との親交はあるのですか
「大和富士さんが阿武松で、部屋に行った時に良くしてもらいました。柔道部のOBだそうで。渡辺先輩は出稽古に行ったりしたときに連絡とったりとかありました」

――大学4年間で印象に残っている取組はありますか
「3年生の時のインカレの中央大戦ですね。吉本に勝った試合です。ムービーも残してあります。昔からずっとつるんできた家族ですし、成績でこいつより上回っても公式戦で当たるとどうしても勝てなかったんですよね。大学に入って何回も対戦があったんですけど、この一番、このインカレで勝てたっていうのがすごいと思います。他の試合では全く歯が立たなかったんですけど、このインカレ1回戦は先鋒(せんぽう)が取って、二陣で僕が取って。印象深いです」

――相撲の競技歴はいつからですか
「僕の記憶にはないんですけど、3歳から相撲をやっていたみたいなので、19年ですかね。そのころから大会も出てたみたいです」

――ここまでの相撲人生を支えていたものは何でしょうか
「なんだかんだ相撲が好きなんだと思います。相撲をしてる人ってだいたい皆言うんですよ、相撲好きじゃないって。相撲だけじゃなくて他の競技でも言いますよね。でも好きじゃなかったらこんなに続けられないですよね。大学生まで続けている人はどこかで好きなんですよ」

――この大学4年間はプロでどう生きてくると思いますか
「積み重ねですね。大学では1日1日を真剣にやることを学びました。決してすごいことをしているわけじゃないですけど、ずっと続けていましたし。これを続けるということが大事だと思います」

――大学での競技生活でのモットーは
「小川先生(清彦総監督)から、常に意識は高く持てと言われていました。のびのびとやらせてもらいました」

――今後の理想像はありますか
「自分を貫いていきたいと思います。僕は根っからのお調子者なので、自分らしくいきたいなと思います」

――最後に、プロへの意気込みをお願いします
「一番一番、1日1日を真剣に生きるだけです。つらいことの方が多いと思うんですけど、支えてくれた人の思いもあるので、感謝の気持ちを持って、それと自分で精進していく気持ち、これはなくしちゃ駄目だと思います。日々感謝、日々精進」

――ありがとうございました。

◆武政進之介(たけまさ・しんのすけ)政経4 埼玉栄高出 167㎝・120㎏
高知県出身。好きな技は下手ひねり。趣味は人と話すこと。

大会 成績
武政 個人戦成績
高3 全日本ジュニア【100㎏未満級】 優勝
1年 東日本学生個人体重別【100㎏未満級】 ベスト8
2年 東日本学生個人体重別【115㎏未満級】 2位
3年 全日本大学選抜金沢大会 ベスト16
   全国学生選手権 ベスト8
4年 東日本学生個人体重別【無差別級】 3位
   全国学生個人体重別【無差別級】 3位

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