
田尾がケイリン3位入賞/全日本大学対抗選手権
最後まで行方の分からない一戦だった。雨脚が強まり、荒れ模様の中行われた男子ケイリン決勝。予選、1/2決勝と着実に勝ち上がった田尾。互いに選手がけん制し合う中で「最初の位置取りが悪かったが周りが動いてくれた」(田尾)。後方に位置しながら勝負の一瞬(とき)を探った。
アクシデントは起きた。ラスト1周に差し掛かる最後のコーナーだった。中大の池野が落車。「かなり車間が空いて苦しかったが、勝っても負けてもラストのレースだったので、腹をくくっていった」(田尾)と、突然のトラブルにも動揺はなかった。先頭を走る末木(日大)、松本(朝日大)とは多少の距離こそ付いたが、その二人の後方で最後のスプリント勝負に懸けた。
ラスト1周で「どちらかというと追い込みの方が得意」(田尾)と話すように、前へ前へと攻めの走りを見せた。1/2決勝を前に、追い込み勝負を予想しギアを落としたことも奏功した。最後のコーナーですぐ後方に付けた植原(法大)が捲(まく)りを見せると、最後はスプリント勝負へ。力の全てを一踏みに懸けて走り切ったが一歩及ばず。4位でレースを終えた。しかしレース後の審議の結果、2回の警告により2着でゴールした松本が降格。繰り上げにより表彰台をつかみ取った。大学から短距離に専念したが「1年から3年まで結果も出なかった」(田尾)。重ねた苦労が最後の最後で実を結んだ。
全トラックを終え、13ポイントで現在総合8位に付けた明大。残る種目は、ロードレースだ。昨年RCS(ロードレース・カップ・シリーズ)年間王者に輝いた西沢倭義(農4=北桑田)を筆頭に、現在RCSで1位をキープしている金井誠人(法3=日大豊山)や今回のコースを得意とする鈴木快彰(政経3=横浜)と戦力はそろっている。最後の追い上げに期待が懸る。
[長堀笙乃]
試合後のコメント
加藤剛(営4=仙台商)
「(タンデムスプリントは)予選1位上がりだったので結果としては悔しいが、ずっと準備してきて出し切った。(予選1位通過は)絶好調だった。初日に全力を出し過ぎたという感じだった。(中大との1/4決勝は)前々で行こうと思っていて最後絶対行けると思ったが、行けなかった。和田(卓磨・理工4=日大豊山)とは中大と並走しようと走る前に話していたが、相手の方が上手だった。(和田のケガで組めなかった時期は)また組みたいと思っていた。1カ月ブランクがあっても片方が強くなれば少しでも強くなると思って自分は練習していた。和田との相性はバッチリだと思う。性格は正反対だが互いにないところを補っていた。和田からレースが終わって『ありがとう。組めて良かった』と言われた時はうれしかった。結局優勝はできなかったが全力を出し切れたので悔いはない」
田尾
「表彰台に乗れて満足している。(ラスト1周を差し掛かる前での)中大の落車によりかなり車間が空いて苦しかったが、勝っても負けてもラストのレースだったので、腹をくくっていった。全部自分に展開が向いた。最初の位置取りが悪かったが周りが動いてくれた。そのおかげでいい位置に入って前々で勝負できたので良かった。マークはしていないが、こいつが動いたら行こうというのは構えていた。明治大学としての最後のレースなので、マークしてそれで落ちてしまったら悔いが残るので、前々で自分の力を使っていこうと思っていた。西沢がチームをまとめて、中野が短距離のリーダーで一年間いい雰囲気で過ごせた。自分は本当にわがままで迷惑ばかり懸けたが、そこで最後に西沢に恩返しができたことが本当にうれしい。最後にケイリンで結果を残すことができて、4年間やってきて良かった」
中野俊喜(法4=松山工)
「(1kmタイムトライアルで18位は)全力で取り組んでこの結果だったので、悔いはない。6秒台に乗せたかったが、力及ばずというところ。自分は最後の国体もあるので、このうっぷんを国体にぶつけたい。(チームパーシュートは)最悪な結果だったが、目標タイムであった4分24秒に対して各自が一生懸命取り組んだと思う。自分が突っ込み過ぎたところがあり、それも気持ちが入りすぎてしまった。自分たちの失敗が来年に生きてくればといい。今回は一人一人のポテンシャルを生かせた大会だと思う。トラックリーダーとして来年以降がある選手は次の試合につなげてほしい」
和田
「(加藤)剛のおかげでインカレに出ることができた。ここに来てから調子はあまり良くなかったが、予選では良いタイムで走れて練習の成果を出せたと思う。周りにもアピールできた。(4月中旬に)骨折をして実際インカレは諦めていた。だけどケガが『治ったらまた組もう』と加藤が言ってくれて、この一言があったから今年1年頑張れた。(予選1位通過は)練習でもタイムが出ていたので、学連新記録を狙っていた。しかし歴代3位のタイムでそこそこの調子だったが出せなかった。対戦に勝てなくて、克服できなかった。結果は負けてしまったが、自分はインカレで初めてチームにポイントを入れられて良かった。一昨年は予選も上がれなかったので。自分はこの7年間で今年一番練習がきつかったけど頑張った。最後のインカレに出られて、4年間やり切れて良かった」
森本尊也(営1=岡豊)
「(チームスプリントは)スタートでミスをしてしまった。今回の抑える形式の発走器を使うのが3年ぶりくらいで、出ようと思った時にまだブレーキが掛かっていて詰まってしまった。そして後半も風で伸びなかった。今回が24秒6で目標が23秒だったので本当に悔しい。やはり3、4位くらいまでは行けたと思っているのでもったいないことをした。しかし、7位で何とかチームのポイントになったことは良かったと思う。またリベンジするつもりでいる。来年も第一走で行きたいと思う。ケイリンが高校からずっとやってきた種目なので、来年のインカレはケイリンとチームスプリントで出たい。タンデムも入ってくることもあるかもしれないので、スタミナも付けないといけない。今回で課題が分かったので良かった。来年は確実に表彰台に上りたい」
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