連載企画「合掌」 第3回 小林昭洋

少林寺拳法
『好きこそ物の上手なれ』 第3回 小林昭洋


 「少林寺拳法が大好きなんです」。そう満面の笑みで語ってくれた男こそ、少林寺拳法部主将、小林昭洋(理工3)だ。その言葉の中には大好きという気持ちと同時に、誇りと自信が満ちあふれていた。
  武道をやりたいという理由から高校時代、少林寺拳法部に入部した。特に強い思い入れがあったわけではない。しかし、「もっと技を極(きわ)めたい。もっと強くなりたい」。気がつけば少林寺拳法の虜(とりこ)になっている自分がいた。本人は自身の性格のことを熱しやすく冷めやすいタイプだと言う。何かが世間で流行(はや)ったときも、世間でそれが廃れるよりもっと早く飽きてしまう。その彼が、変わらぬ熱い思いで続けてきたもの。それが少林寺拳法だ。「生活の一部です。趣味?少林寺拳法です」。この返答に迷いは全くなかった。まっすぐな瞳が、少林寺拳法に対する真剣な姿勢を表している。理屈なんてない。楽しくてしょうがないのだ。

 しかし、一度だけその気持ちが揺らいだときがあった。高校時代に少林寺拳法部に所属していた彼は、大学入学後再び少林寺拳法部に入部したが、それまでの部活動との違いに戸惑いを感じていた。本学の少林寺拳法部は礼儀、返事、挨拶(あいさつ)を重視する。高校のときのわきあいあいとした雰囲気とは明らかに違う。また、このままやっていって勉強と両立していけるのかという不安もあった。「やめてしまおうか」。そんな言葉が頭をよぎる。しかし、このときの4年生、坂(平17理工卒)がかけてくれた言葉が彼にある決断をさせた。「(演武で)お前と組みたいんだ。全日本(=インカレ)に一緒に出よう」。そう言われたとき少林寺拳法を続けるかにもう迷いはなかった。

「この人についていこう」。しかし、このときの大会で入賞することはできず、そして4年生である坂はこの大会を最後に引退していった。小林は何が何でも入賞したかった。それだけに悔しさがあふれた。「自分には足りないものがある。このままでは終われない」。その決意から約2年半後、小林は初めて公式大会で入賞、それも最優秀賞を取ることになる。
 
 決して順調にここまで来たわけではない。やめようとさえ思ったこともあった。しかし、周囲の助け、そして何より少林寺拳法が好きだという気持ちが現在の小林を作っている。好きこそものの上手なれという諺があるが、まさに彼にピッタリの言葉だ。4年生も引退し、今度は現3年生の彼らが部を引っ張っていく番。「自分が主将になったからには全大会制覇!そのためには練習で厳しい面も出てくるだろうけど、みんなについてきてほしい」。ここからまた、新たな少林寺拳法部がスタートする。

◆小林昭洋 こばやしあきひろ 理工3 川越東高出  177cm・65kg

◆主な個人成績
2005年5月 関東インカレ-男子二段の部 最優秀賞 小林・曽山(農2)組
2006年5月 関東インカレ-男女二段以上の部 最優秀賞 小林・山上(営3)組
2006年11月 インカレ-男女二段以上の部 敢闘賞 小林・山上(営3)組
※学年は当時

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