沖咲月 目配り・気配り・心配り

バスケットボール(女子) 2024.02.02

 今年度、主将としてチームを引っ張った沖咲月(文4=埼玉栄)。1年次から出場機会を増やし、長く中心選手として活躍してきた。PGとしてゲームメイクを担い、多くの勝利に貢献してきた沖。どんな時でも声を絶やさず、バスケを楽しむ心を持ち、4年間を歩んできた。

 

主体性を持つということ

「自分たちのバスケを自分たちで作り上げていく姿。それと楽しそうな雰囲気があった」。そんな明大女子バスケ部に惹かれ入部し、始まった4年間。入部当初に触れたのは、上級生が作り出す全員バスケの空気感だった。「1年生から何か意見ある?」。入ったばかりの自分にも積極的に意見が求められ、自身のバスケ観をより深められる環境。選手はもちろん、監督やコーチも一体となった一つの輪ができているチームだと実感した。「言葉の力で簡単に考え方や捉え方を変えられる」と、精神面での支え合いの大切さも学んだ。そうして1年生ながらも声出しを意識し、チームを鼓舞する沖は、試合でも頭角を現していく。試合経験を重ねる中で、チームに欠かせない存在へと成長。2年次にはリーグ戦全試合スターター出場を果たした。

 

1敗で痛感したレベル差

秋季リーグ戦での部の成績は学年が上がるごとに向上した。3年次には他を寄せ付けず、2部Bリーグ戦全勝優勝。この年は、目標にしてきた2部Aリーグ昇格を掛け入替戦に臨んだ。延長戦までもつれ、3点差で決着がついた運命の一戦。「簡単には通用しないんだということを突き付けられた」。最後まで懸命に戦い続けたものの3点差で敗北し、昇格はかなわず。順調すぎるほど勝ち続けてつないだ望みは、わずか1敗の前に打ち砕かれた。

 

主将の重圧さえ跳ね返す

そんな敗戦を受け、迎えたラストイヤー。沖は唯一の4年生として主将に就任し、名実ともにチームを引っ張る存在になる。だがその心中は穏やかではなかった。「今まで一つ上の代が3人で担ってきたものを、自分一人がどう背負っていけばいいのか。頑張ろうという気持ちが強い分、不安は大きかった」。リーグ戦絶好調だった前年と比べられ、周囲からのプレッシャーも常に感じる日々。前年と同様の目標を掲げ練習に励んでいたが、その壁はますます高いものに見えていた。しかしそんな重圧も結果で跳ね返す。「上手くいかないからってそれは声を出さない理由にはならないよ」。落ち込みがちなとき、何度も繰り返してチームに投げ掛けたこの言葉は、自分自身を含め全員を奮い立たせていた。「勝ちを自信に変えていった」との言葉通り、リーグ戦では連勝を重ねていく。その勢いに乗り、見事2部Bリーグ2年連続の優勝を果たした。そして迎えるは運命の入替戦。前年を越えるべく大一番に臨んだ。

 

粘り強く戦った試合の先

入替戦の相手は2部Aリーグ8位の国学院大。「第3Qまでは苦しい時間だった」と振り返るように、我慢の時間が続く展開に。明大は持ち味のディフェンスを粘り強く続けるも、リードを保たれ第4Q残り8秒となる。「全員絶対リバウンドとるよ」。タイムアウトでチームを鼓舞した後、残り数秒に4年間の思いを乗せ、最後まで声を出し走り続ける。すると味方が打ったシュートのリバウンドが自分の目の前に。「バスケの神様が味方に付いてくれたのかなって」。そのボールをゴールへ沈め、見事同点へ追いついた。そうして延長までもつれこんだ末に、奇しくも前年と同じく3点差で勝敗は決した。「バスケを小学生からやってきた中で、終わった時に涙があふれてきたのは初めて」。明大女子バスケ部、8年ぶりに2部Aリーグへ昇格を果たした瞬間だった。

 

バスケの楽しさに触れて

「みんな純粋にバスケが好きでチームも好き。自分から頑張りたいと思える環境だった」。2部Aリーグ昇格を果たした裏には、主将を支え、共に過ごした仲間の存在があった。「時には気分が乗らない時もあった。でも後輩たちが同期のように接してくれて。そのおかげで毎日がキラキラした部活動だった」。自分たちのバスケを自分たちで作り上げ、バスケの楽しさを共有した4年間。沖の声掛けが広げた明るい輪は、いつしか自分自身を支えていた。

 

[橋本太陽]

 

沖 咲月(おき・さつき)文4、埼玉栄高。後輩たちへ「自分たちで明治らしさを作り上げていってほしい」。167センチ

 


関連記事 RELATED ENTRIES