中村草太が意地のV弾! 筑波大に1―0で4年ぶりの決勝進出/全日本大学選手権

2023.12.22

 準決勝は宿敵・筑波大と対戦。スコアレスで迎えた58分、中村の鮮烈な左足弾で先制する。その後は抜け目のない守備でリードを守り抜き試合終了。関東王者と今季3回目の対峙(たいじ)で初勝利を収め、2019年の優勝以来4年ぶりの決勝進出を決めた。

 


 準決勝の相手は今年度の関東大学1部リーグ戦(以下、リーグ戦)王者・筑波大。リーグ戦での成績は1分1敗と明大は勝利から遠ざかっている。リーグ戦では対筑波大に1―1に0―1という結果に終わり「一点勝負になるだろうなという気持ちで入った」(栗田大輔監督)。また、先発にはリーグ戦開幕節以来の公式戦出場となった鷲見の名前が。「練習試合などで積み上げてきたものを出そうという気持ちで挑んだ」(鷲見)。3バックにさらなる高さスピードを加え、リーグ最多得点を誇る相手の攻撃を阻みにかかった。


(写真:無失点勝利に貢献した鷲見)

 

 前半は「筑波大はうちのプレッシングをどうかいくぐって、サイドバックの背後をどうやって取るかというところに特化していた。うちがずっと守備に追われていた」(栗田監督)と相手ペースで試合が進む。シュート数は0本に終わり、前半をスコアレスで折り返した。後半開始と同時に田中克を送り込みゲームを落ち着かせる。そして徐々にボールが回り始めた58分、太田のパスを受けた常盤がPA内でフリーとなった中村にラストパス。ゴールを背に向けた状態で受けるも、それを反転しながら左足で振り切るとゴール左上に突き刺さった。「栗田さんから『トーナメントは思い切りや大胆さが、勝負を分ける』といつも言われていた」(中村)。待望の先制点はエースの今大会初ゴールから生まれた。その後は引くことなくモットーとする〝いい守備からいい攻撃〟を繰り返し、リードを保ち1―0で試合終了。「全員が最後まで集中して、体を張って守れていた」(鷲見)と2試合連続での無失点勝利、抜け目のない守備が今日もチームを勝利に導いた。


 (写真:攻撃にリズムを生み出した田中克)

 

 決勝点で試合を決めた中村。だが、リーグ戦得点王も今大会では得点を奪えない試合が続いていた。「インカレに入ってから、なかなか目に見える結果を出せずに関西学大戦と仙台大戦を終えた。正直、チームで居づらかったし、自分の中でもメンタルが落ちていた期間でもあった」。さらに「どうしても目に見える結果を出してないと、チームに貢献できているのかと思う。自分はやはりそこを求められているし、周りからもそういう目で見られている。違いを出していかないと、自分の中で納得できない」。周囲から数字を期待される状況に、エースは焦りを感じていた。しかし、リーグ戦でも無得点に終わった筑波大を相手に逆足で放った一撃。「チームを勝利に導いたゴールというのは、自分の中ですごく込み上げてくるものがある。監督の期待に応えられたことが一番うれしい」と喜びを口にした。大一番で発揮した得点力、〝明治の背番号10〟としての風格が一段と増した。

 

(写真:今大会初ゴールを決めた中村)

 

 次戦は24日、中2日で舞台をカシマサッカースタジアムに移し、関西王者・京産大との日本一を懸けた決戦だ。幾多なる困難を乗り越えてきた井上組が最終試合を迎える。田中克は「1年間、樹(井上主将)がチームを引っ張ってきてくれた。日本一のキャプテンにしたいし、最後に樹を胴上げして終わりたいなと思う」と意気込んだ。栗田監督も「優勝しか考えてない。みんなで最後は笑って終わりたい」と続ける。前回の優勝は2019年までさかのぼり、今の明大に全国の頂を知る選手はいない。「明治のために戦いたい、ただそれだけ。みんなで一緒に勝ちたい思いが一番強い」(井上)。悲願への舞台は整った、4年ぶりの栄冠を八幡山に持ち帰れ。

 

[長崎昇太]

 

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