
慶大を圧倒 首位で決勝トーナメント進出を決める/関東大学ジュニア選手権
関東大学ジュニア選手権(以下、ジュニア戦)総当たり戦の締めくくりに顔を合わせたのは、ここまで波に乗れずに黒星続きの慶大。明大はなかなか持ち味であるパワー面を押し出すことができず、21-15と僅差で前半を折り返す。しかし後半、明大はディフェンス、オフェンス共に隙を作らず相手を無得点にけん制。最終スコア75-15となり、準決勝にも期待が高まる結果となった。
◆10・29 関東大学ジュニア選手権(慶大日吉ラグビーグラウンド)
▼対慶大戦
◯明大75{21―15、54―0}15慶大
最初の得点は前半5分。明大は敵陣22メートルライン付近へのタッチキックに成功すると、右サイドのラインアウトから前進する。右ウイング東海隼(情コミ2=光泉カトリック)が中央へのキックパスに成功し、そのままフルバック竹之下仁吾(政経1=報徳学園)が相手を寄せ付けることなくグラウンディング。コンバージョンキックも見事に成功し、幸先の良い出だしとなった。しかしその5分後には相手にトライを返される展開となり、一時は7-12とリードを許す場面も見られた。「慶大は前半が強いと試合前からみんなで話し合っていた。実際にチームが沈んでしまい声掛けを意識した」(左ロック亀井茜風・政経4=長崎北陽台)。逆転に成功したのは前半26分、明大ボールのラインアウトからだった。ナンバーエイト最上太尊(商2=仙台育英)がハーフウエーラインから圧倒的なパワーで単独突破をすると、素早いパス回しで瞬く間に明大は22メートルラインまでゲイン。最後はスクラムハーフ田中景翔(文1=常翔学園)がボールを押し込みトライ。「前を見ることを意識していた。スペースが空いていたので持ち味の強気でトライを取りに行った」(田中景)。田中景は前半終了間際にもトライを重ね、21-15で試合は折り返しを迎える。
後半はセットプレーで慶大を圧倒。スクラムやモールで前進しそのままトライラインを割るシーンが多く、FWの活躍が目立った。後半7分、敵陣での明大ボールラインアウトになると、明大はブレークダウンの攻防でも競り勝ちゲームキャプテン・左プロップ中山律希(政経4=天理)がトライを獲得。後半16分にも同じ形でチャンスメークし中山がトライを決めた。「前半にやっていたことを後半通して継続していたら、おのずと結果がついてきた」(中山)。30分には、敵陣22メートルライン付近でのラインアウトから力強いモールでそのままフッカー西野帆平(文2=東福岡)が得点を挙げる。得点につながらない場面でもスクラムで明大が押し勝つシーンが多く、後半はほとんど慶大にボールを持たせることなく試合が進んだ。ラストワンプレーも明大がモールで突き進む展開に。相手のディフェンスを寄せ付けることなくそのまま左フランカー利川桐生(政経2=大阪桐蔭)がボールをねじ込み、最終スコア75-12でノーサイドとなった。
ジュニア戦をここまで無敗で終えることができ、最終順位1位で準決勝へと駒を進めることに成功した。とはいえ早大相手には勝ち切ることができなかった明大。「全体的に前半は相手のペースになることが多かったので、キックオフから自分たちのプレーをできるようにしたい」(田中景)と振り返るように、準決勝からは常に明大のペースで試合を進めることが勝利の鍵となってくる。関東大学対抗戦も連勝を伸ばしている紫紺の戦士たち。ここからさらに調子を上げ、ジュニア戦と共に2冠を掲げる未来に期待したい。
[成田美彩子]
試合後のコメント
中山
――今日の試合で良かった点を教えてください。
「スクラムのターンオーバーです。3番の富田(陸・政経2=大阪桐蔭)がケガで倉島(昂大・営3=桐蔭学園)に変わった中で、2番の西野と戦術を工夫しました」
――ジュニア戦は負けなしとなりましたが、いかがですか。
「帝京にいい試合で勝ち切った後の次の試合って難しいと思うんですけど、そこでいい結果も出て、チーム的にはいい流れだなと思います」
亀井茜
――今日の試合のテーマを教えてください。
「チームとしては『ハングリー」をテーマに掲げていました。慶大はもう敗退が決まっているため、失うものは何もないという勢いで貪欲にくるからそれ以上にこちらもハングリーにやろう、という部分をテーマにしていました」
――ジュニア戦4試合を総合的に振り返ってみていかがですか。
「若いチームで最初はチームとしてまとまりがありませんでしたが、試合ごとに成長していると感じますし、下級生からの発言や、下級生の成長もすごく見ることができているので、今後試合を重ねたらもっといいチームになると思います」
田中景
――今試合で御自身が掲げていた目標を教えてください。
「アタック、ディフェンス共にしっかりと全体を動かすことをテーマにしていて、そこはしっかりできたかなと思います」
――準決勝に向けて一言お願いします。
「目標はもちろん優勝ですが、目の前の一戦一戦を大事にして、最初から気合を入れて頑張りたいと思います」
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