
明大対決制し藤原が優勝 シングルス2人、ダブルス1組が表彰台入り/全日本学生選手権
9日から始まった全日本学生選手権(以下、インカレ)個人戦も12日に最終日を迎え、各種目の準決勝と決勝が行われた。明大から勝ち進んだ4人が出場し、男子シングルスで藤原睦月(商1=埼玉栄)が優勝、武田航太(政経3=埼玉栄)が準優勝、男子ダブルスでは宮下怜(政経2=埼玉栄)・栁川蓮(商2=瓊浦)組がベスト4となった。昨年度に続き、明大の1年生が男子シングルスの王者に輝き、インカレの舞台で強さを見せつけた。
◆10・7~12 全日本学生選手権(パロマ瑞穂アリーナ他)
▼男子シングルス
藤原――1位
武田――2位
▼男子ダブルス
宮下・栁川組――ベスト4
[男子シングルス]
明大から2人が準決勝に進出した。藤原は法大の増本と対戦。身長差のある相手に「攻められたら勝てないと思ったので自分からスマッシュを打っていった」(藤原)と、得点を重ね第1ゲームを21―12で取る。第2ゲームでは開始から7連続得点と勢いを見せる。ネット付近に相手を引き寄せて後ろに球を打ち込むなど自身で展開をつくり、21―7と快勝した。
昨年度のベスト16から躍進した武田は早大の池端と対戦。第1ゲーム開始で3点連取し、流れを渡さず11―5でインターバルに入る。長いラリーでも集中して得点し、一度もリードを譲らず21―16で第2ゲームへ。序盤で5点を連取、相手のネットミスも見られ11―4で折り返すも、後半は相手の鋭い攻撃が決まり点差を詰められる。20―20で追い付かれたが、ネット際に攻めたヘアピンから相手に球を上げさせて22―20で勝負を決めた。
武田が準決勝の勝因に挙げたのは百上拓海主将(政経4=埼玉栄)の存在だった。「強気でいくことと低い展開でやっていこうと言ってくれた。ベンチについて励ましてくれたのが一番大きかった」(武田)。コートのそばで後輩の試合を見守っていた百上は「自分はもう負けてしまっていて、団体戦も負けてしまった分、どうしても勝ってほしかったので相手の分析もした。試合では自分が言ったことを受けてやってくれていたし、それで結果も付いてきていたのでうれしかった」。勝利の裏には、チームメートを支え続ける主将の姿があった。
(写真:準決勝を終え、百上主将とタッチを交わす武田)
迎えた決勝は武田対藤原の明大対決。スタート直後から藤原の速く力強いスマッシュが決まるも、前半は武田がリードする展開に。それでも「自分のプレーを出せれば点数を取れる。落ち着いて焦らずに一本ずつ取ることを意識した」(藤原)と、一時5点の差があったが13―13で藤原が追い付く。そこからは流れを渡さず、クロスヘアピンやドロップショットを決め21―14で藤原が第1ゲームを取った。勢いは止まらず第2ゲーム序盤で藤原が9連続得点。後半、武田が果敢に攻めるも「追い込めたと思っても返ってくる」(武田)と、藤原の好レシーブが光る。藤原は一度もリードを譲らず、21―12で勝利。雄たけびを上げ、コートに寝ころび喜んだ。
高校時代からの先輩・後輩でもある武田と藤原。練習を共にした相手でもあり、お互いのプレーを予測できる面もあった。だが、藤原は「練習と大会は全然違って、勝ちたい気持ちだったりメンタル面が違っていてそれがプレーに出たりもする」と、インカレ決勝の雰囲気や緊張を感じながらプレーをしていた。「武田先輩が最初からすごく攻めてきているのが分かったので、それを逆手にとって低い球を出したりした」(藤原)。相手を捉えて冷静にプレーし、自分の流れをつかんだ上で勝利。1年生でインカレ王者に、そして藤原にとって初の全国タイトルとなった。
[男子ダブルス]
宮下・柳川組の準決勝の相手は日大の小川・熊谷組。第1ゲームは相手の勢いに押され17―21で落としてしまう。第2ゲームはミスを抑え、攻めの展開を多くつくり21―15で第3ゲームへとつないだ。「相手も絶対に出だしからいくのが分かっていたので、自分たちも出だしから付いていこう」(宮下)と話し合い臨んだ。序盤から両者譲らぬ展開で進む。2人でストレートに攻める形が効くも、点差は広がらず相手を追いかける。相手の返球に体勢を崩し食らいつく場面もあったが、惜しくも得点につながらず。巻き返しを図れず17―18から得点を連取され、17―21で黒星となった。
(写真:ベスト4の宮下(左)・柳川組)
団体戦に続き、個人戦でも明大勢が躍動した。個人戦の結果により、武田、藤原、宮下・栁川組は12月末に行われる全日本総合選手権(以下、全日本総合)の出場権を獲得した。一戦でも多く勝ち抜く姿に期待がかかる。
そして、このインカレをもってチームは新体制へと移り変わる。今年度、東日本学生選手権では男女共に優勝、全日本インカレは男女共に準優勝と、団体戦で好成績を残した明大。会場ではベンチや客席からの応援、一丸となって目標に向かうチームの姿があった。今後も、個の力が合わさり成し遂げられるチームの活躍から目が離せない。
[守屋沙弥香]
試合後のコメント
武田
――決勝を終えた気持ちとしてはいかがですか。
「決勝に行くまでは百上先輩や同期の本田(光・商3=埼玉栄)とかがベンチに付いてくれていて、そのおかげでここまで来られたのでそこがうれしかったですね」
――決勝の試合を振り返っていかがですか。
「自分のプレーをできたところもあったけど、相手がやりたいようにやらせてしまっている部分もあったので、相手に好きなことやらせないようにするのが必要になってくるかなと思います。藤原選手は速さがあって、自分はスピードがあまりなくて相手を動かすプレースタイルで、それにも限界があると思うので攻撃のパワーをつけないといけないのかなと思います」
――全日本総合ではどのような目標を持って臨みますか。
「全日本総合はずっと出たいと思っていた大会なので出られることがうれしいです。一試合一試合、自分のプレーができたらいいなと思います」
――明大の男子シングルスには実力のある選手が他にもいらっしゃいます。その中で武田選手もシングルスということで立ち位置としてはどのように感じていましたか。
「苦しい状況で、宮下、藤原、百上先輩、本田もいて、団体戦で出られないときもありましたが、そういう時でも腐らずに練習できたのが良かったのかなと思います。後輩たちが強くて帰ってからも大変ですけど、めげずにやっていきたいです」
藤原
――準決勝ではプレーをしながらどのようなことを考えていましたか。
「関東選手権で負けている相手だったので、挑戦者の気持ちで自分が向かっていく立場だと意識していました」
――決勝は高校時代からの先輩との対戦になりました。
「先輩なので少しやりづらいのもありますけど、決勝までいっているので負けられないので、準決勝のように自分から攻めていく展開をつくっていこうと最初から思っていました。第2ゲームの最初で大きくリードして打ち疲れはしましたけど、リードは絶対渡さないように強い気持ちでやっていたのでそれが点数につながったかなと思います。2ゲーム目の序盤と終盤で自分の攻めが決まってきて乗ってきたなとは思っていましたね」
――優勝を目指した上で目標を達成しましたか。
「そうですね、インカレが始まる前から、団体と個人で優勝、個人のダブルスも全日本総合まではいけたらいいなと思っていましたがダブルスは負けてしまって。それでも自分の本業であるシングルスで優勝できて良かったです」
――1年生で優勝したことについてはどのように思っていますか。
「去年、宮下先輩が優勝していて自分にもチャンスがあるなと思っていたので、しっかりここで優勝して、この先の全日本総合や上の舞台で活躍できたらなと思います」
――これからどんな選手になっていきたいですか。
「まだ配球とかの精度だとかが実業団の選手にはかなわないと思っているので、一本一本の精度をもっと追求して、余裕をもってプレーできるような選手かつ強気で自分のプレーを見せたいと思います」
宮下
――全日本総合に向けて強化していきたいところを教えてください。
「サーブ周りだったり、連続で打ち切ること、あとは自分は前はやらないですけど前に入った時にしっかりつぶしていけるようにしたいです」
――個人戦全体を終えて感じたことはありますか。
「ダブルスは割と良かったですけど、シングルスで自分はやらかしてしまって、去年優勝している自分が負けてしまったので、来年はベスト4に4人明治が残れるぐらいの気持ちでできるようにシングルスの方も鍛えていきたいです」
柳川
――個人戦を通して感じたことはありますか。
「去年がベスト32だったので、全国でどれだけ戦えるかというところで、今大会で割と差はなくて、勝っても負けてもおかしくないぐらいのところには来ていると思うので、いい経験ができたと思います」
――全日本総合や来年度に向けての意気込みをお願いします。
「団体も個人も優勝を狙って、エースダブルスになると思うのでチームを引っ張っていけるように頑張っていきたいです」
関連記事 RELATED ENTRIES
-
杉山、中村・本田組がベスト16 今後につながるインカレに/全日本学生選手権
バドミントン 2023.10.13男女共に団体準優勝を成し遂げた明大バドミントン部。団体決勝の翌日から行われた個人戦では女子シングルスで杉山凛(文2=西武台千葉)、女子ダブルスで中村優希(文4=青森山田)・本田胡桃(政経3=埼玉栄)組がそれぞれベスト16に進出するも、悔しさが残る結果となった。 ◆10・7~12 第74回全日本学生選手権(パロマ瑞穂アリーナ他)▼女子シングルス 杉山――ベスト16▼女子ダブルス 中村・本田組――ベスト16 女子シングルスに出場した杉山の4回戦の相手は、格上である4年生の染谷(筑波大)。「向かっていく立場として、もっと積極的に自分から攻めていけたら良かった」(杉山)。得意の展開である、ラリーを長く続け相手のミスを誘うプレーをさせてもらえず、ストレート負けを喫した。相手の力強いスマッシュに押され、杉山自身がミスショットをしてしまう場面もあり「短いラリーの中での簡単なミスや技術面をもっと磨いていきたい」(杉山)と既に3年生となる来シーズンを見据えている。 「自分たちの最大の目標は全日本学生選手権(以下、インカレ)で上位に入って全日本総合選手権(以下、全日本総合)に出ることなので、一戦一戦しっかり大事にしながら頑張っていきたい」(中村)。今大会で個人戦ベスト8以上に入れば、プロを含め真の日本一を決める全日本総合への出場権を得ることができる。団体戦準優勝の自信を胸に中村・本田組はベスト16まで勝ち進み、相対するのは団体戦優勝校の筑波大ペア。団体戦での対戦では勝利を収めており「団体戦で筑波大とやった時は、自分たちの実力をしっかり出して勝ち切ることができた。その自信を持って個人戦も挑もうと思った」(本田)。その言葉通り1ゲーム目は先取するが、第2ゲームからは流れが一変。「2ゲーム目からは相手の流れに見事にはまってしまった。向こうの方が昨年度も上位に入っていて経験があるので、競った場面や向こうが負けている場面でも盛り上げる力が強かった」(中村)。悔しさが残る敗戦となったが「ここまで楽しくできたのは中村さんだったから。いい経験ができて良かったと思う」(本田)。中村が4年生のため引退し、ペアとしての出場は今大会で最後となる。「(本田は)来年度は最後の年になるし、もう悔いなく楽しんでやってほしい」(中村)。互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら壁を乗り越えてきた中村・本田組。本田は来年度からは新たなパートナーと共に最上級生としてチームをけん引していく。 団体戦準優勝を果たしたものの、個人戦では悔いの残る結果に終わった女子。「この経験とチーム力を忘れずにまた1年間みんなで頑張れたら」(本田)。2月に行われる関東学生新人選手権(以下、新人戦)、そして来年度のリーグ戦やインカレに向けて再びチーム力を高めていく。 [桑原涼也] 試合後のコメント中村――明大での4年間を振り返ってみていかがでしたか。 「4年間で一番濃い1年だったなと思ったのは今年です。3年生の時に関東学生選手権で優勝した経験があって、それはもちろんうれしかったんですけど、この1年間は自分たちの力が徐々に付いてきて、格上に勝てるようになったりしてすごく楽しくプレーできていました。だからこそやっぱり最後は勝ちたかったんですけど、でももう後悔はないかなと思います」 本田――来年度に向けて強化していきたい点は何でしょうか。 「正直、中村さんがいなくなって、まずパートナーを探すところから始まるし、なかなか自分の思うようにダブルスができなくなると思います。パートナーに頼りすぎずに自分でもアタック力を付けるとか、前衛だけじゃなくていろいろなことができるようになれば、もうちょっと違うダブルスもできるかなと思います。今まで通りの練習では絶対に勝てないから、いろいろできることを増やしながら、来年のインカレに向けて頑張りたいと思います」 杉山――今年度を振り返ってみていかがでしたか。 「全ての大会を通して昨年の自分よりも成長できていると思うので、オフ期間にもっと他大との力の差を埋めていきたいです。パワーがないというのが大会を通して分かったので、このオフ期間の冬でしっかりそういった面を鍛え直して、次は新人戦が2月からあるのでそこで他大と戦えるかどうか、そしてリーグ戦でも結果を残せるようにしていきたいと思います」READ MORE -
法大相手に惜しくも敗北 男子団体準優勝/全日本学生選手権
バドミントン 2023.10.1010月7日から全日本学生選手権(以下、インカレ)が開幕した。4年生にとっては引退試合ともなる今大会。東日本学生選手権(以下、東インカレ)で見事優勝した明大には、大きな期待がかかる。準決勝までは相手にスキを与える間もなく全試合をストレートで制し、順調に決勝まで駒を進めた明大。しかし決勝では法大に逆転される展開となり2-3で惜敗。東インカレに続き優勝という結果には至らなかったが、全国団体準優勝という快挙を成し遂げた。 ◆10・7〜12 第74回全日本学生選手権(パロマ瑞穂アリーナ他)▼男子団体・1回戦 〇明大3―0同大〇本田2-0小畑〇藤原2-0吉田〇宮下・栁川組2-0小畑・大久保組 ・2回戦 〇明大3―0天理大〇百上2-0中西〇武田2-1西川〇菊川・吉岡組2-0堀田・貞方組 ・3回戦 〇明大3―0金沢学大〇藤原2-0門脇〇宮下2-1福田〇菊川・吉岡組2-0板橋・樋口組 ・準決勝 〇明大3―0日大〇藤原2-1花田〇百上2-0曹〇宮下・栁川2-0小川・熊谷組 決勝 明大2-3法大〇百上1-2後藤〇〇宮下2-0増本菊川・吉岡2-0野田・中島〇宮下・栁川1-2江頭・高柳〇〇藤原2-0櫻井 準決勝の対戦相手は強豪日大。第2シングルスと第1ダブルスは共に2-0で快勝し、あと一つで決勝に勝ち進むことができるという場面、第1シングルスの藤原睦月(商1=埼玉栄)が白熱した戦いを繰り広げた。第1ゲームを21-10で取った藤原だが、第2ゲームはラリーの主導権を握っていたが決め切ることができずに12-21で落としてしまう。ファイナルゲーム、第2ゲームを引きずってしまっていた藤原はなかなかリードすることができず、17-20で相手が先にマッチポイントを迎える展開に。しかし一度もミスが許されない状況にもかかわらず攻めの姿勢を崩さず、ここから怒涛(どとう)の5点連続得点を決め逆転勝利。最高の流れで決勝に駒を進めることに成功した。 迎えた決勝、相手は東インカレの決勝戦で接戦の末勝利した法大。関東大学秋季リーグ(以下、秋季リーグ)でも対戦しており、直近の試合では明大が2連勝を収めている。東インカレ、秋季リーグに続き接戦になることが予想された。第1シングルスは主将百上拓海(政経4=埼玉栄)がフルゲームの激闘を見せる。第1ゲームを21-15で獲得すると、流れをつかんだ百上は第2ゲームも19-12と大幅リードに成功する。しかしそこから相手の横幅を生かしたスマッシュに対応し切ることができず、まさかのジュースにもつれ込み相手にゲームを取られてしまう。相手を乗らせてしまった百上、ファイナルゲームでも相手に翻弄(ほんろう)されてしまい15-21でゲームを落とし、ゲーム数1-2で黒星を付けてしまった。 第2シングルスの宮下怜(政経2=埼玉栄)は高身長の相手に対し、攻撃的なプレースタイルを崩すことなく自身のプレーを展開。サイドライン際にスマッシュを多く決め、ゲーム数2-0で勝利を飾った。続く第1ダブルスの菊川旭飛(商4=聖ウルスラ学院英智)・吉岡壮馬(政経4=聖ウルスラ学院英智)組が0-2で敗れてしまうと、後がなくなった明大からは第2ダブルスに宮下・栁川蓮(商2=瓊浦)組、第3シングルスに藤原が出場した。宮下・栁川組は均衡していた第1ゲームを21-19で獲得。「1ゲーム目は自分たちのプレーをすることができた」(栁川)。しかし第2ゲーム以降相手の攻撃を受け切ることができず、前衛からシャトルを打ち込まれてしまう形が何度も見受けられた。「流れを持っていかれて冷静になれなかったのが逆転負けにつながってしまったと思う」(栁川)。結果1-2で敗北。隣のコートで行われていた第3シングルスは勝つことができたものの、優勝には一歩及ばない結果となり、最終成績2-3で全国団体準優勝となった。 4年生にとっては今大会が最後の試合であり、選手の誰もが全国優勝を目指してここまで進んできた明大。「4年生を優勝させてあげたかった」(栁川)「試合中は4年生のことしか考えていなかった」(藤原)と悔し涙を見せる下級生の姿もあった。「来年は優勝してもらう」(百上)という主将の言葉通り、この結果を糧にこれからも明大はさらにまぶしい姿を、そして笑顔で表彰式に臨む姿を見せてくれるだろう。 [成田美彩子] 試合後のコメント百上――準優勝という結果を受けていかがですか。 「自分が負けてしまったことで結果チームも負けてしまったので、ちょっと悔しい結果になってしまいましたが、最後楽しくできたので良かったです」 ――主将としてチームを見てきていかがでしたか。 「結構自由にやらせていたチームでしたが結果としてはいい成績をたくさん出せましたし、チームとしてまとまっている感じがしたのでこれで良かったんだなと思いました」 栁川――個人戦への意気込みを教えてください。 「1回戦から油断せず、団体戦での悔しさを個人戦につなげて優勝できるように頑張りたいと思います」 藤原――決勝の第3シングルスはどのような気持ちで臨みましたか。 「4年生が最後なのでとにかく勝ってやる、最後自分が勝って優勝してやるぐらいの気持ちでいました」 READ MORE -
女子団体準優勝 笑顔で有終の美を飾る/全日本学生選手権
バドミントン 2023.10.10昨年度は3回戦敗退と悔しい結果に終わった全日本学生選手権(以下、インカレ)。今年度は大会1日目の3試合を全てストレートで勝ち抜き、2日目の準決勝へと進んだ。前回王者である法大を倒し、迎えた決勝・筑波大戦。必死に食らいつき戦うも1―3で敗れ、今年度最後の団体戦を準優勝で終えた。 ◆10・6~12 第74回全日本学生選手権(パロマ瑞穂アリーナ他)▼女子団体・1回戦○明大3―0熊本学園大○高橋2―0境○田代2―0山口○中村・本田組2―0橋本・金澤組 ・2回戦○明大3―0関西学大○高橋2―0三嶋○杉山2―1中西○中村・本田組2―0三嶋・土井組 ・3回戦○明大3―0作新学大○杉山2―0高橋○高橋2―1島倉○中村・本田組2―0齋藤・小早谷組 ・準決勝○明大3―2法大 高橋0―2内田○○杉山2―0中澤○中村・本田組2―0八角・堤組 松本・宮下組0―2三輪・牧野組○○田代2―1宮﨑 ・決勝 明大1―3筑波大○ 田代0―2染谷○ 高橋1―2矢島○○中村・本田組2―1栗原・長廻組 松本・宮下組0―2青木・広瀬組○ 3回戦で相まみえることになったのは、直前の2回戦で強豪・日体大を下して勝ち上がってきた作新学大。東日本学生選手権(以下、東インカレ)でも対戦し、苦戦を強いられながらも勝利した相手だ。第1シングルスの杉山凛(文2=西武台千葉)はジュースにもつれ込むも第1ゲームを奪い、その勢いのまま第2ゲームを21-7で勝利した。「相手のラリーの特徴を捉えてしっかりと対応できた」(杉山)。第2シングルスの高橋千夏主将(商4=甲斐清和)は第1ゲームを19-21と接戦で落とすも、粘り強く戦い続く2ゲームを連取した。第1ダブルスの中村優希(文4=青森山田)・本田胡桃(政経3=埼玉栄)組はここでも2-0で勝利。「リードして迎えた2ゲーム目で点差が詰められても勝ち切れるようになった」(本田)。この日の3試合全てを3-0で勝利し準決勝へと駒を進めた。 準決勝は前回王者である法大との対戦。昨年度3回戦で敗北し、準決勝進出を絶たれた相手でもある。第2ダブルスまでの4戦を終えた時点で2-2と互角の争いに。決勝進出への切符は第3シングルスの田代葵楓(商2=埼玉栄)へと託された。相手の猛攻に対応しきれず第1ゲームを落としてしまうものの「チームのみんながつないでくれた2本を無駄にしないために、ここで自分が絶対に取る」(田代)と強い気持ちで第2ゲームに臨む。相手にリードされながらも徐々に点差を縮め、ついに18-18と同点に追いつく。試合も終盤に差し掛かる中、互いに譲らない展開が続きジュースに突入。ここで負けたら終わりのプレッシャーの中で「点数は気にせず、とにかく集中して気持ちを強く持った」(田代)。1点を取れば1点を落とす緊張の瞬間は続き、最終的に相手のミスが決め手となり26-24で勝利。会場の盛り上がりは最高潮に。流れをつかみ第3ゲームも死守し逆転勝利、決勝進出を決めた。 決勝の対戦相手は言わずと知れた強豪・筑波大。しかし直近の東インカレ、関東大学秋季リーグ戦(以下、秋季リーグ)では白星を重ねてきた相手でもある。序盤から厳しい展開が続き、第1シングルスを落としてしまう。第2シングルスの高橋は序盤から接戦が続くも、ミスが響き17-21で第1ゲームを落とす。第2ゲームでもリードされる展開が続くが、相手のミスを契機に連続で得点。同点に追いつき、そのままジュースに突入。緊張のジュースは続き、最後に鋭いスマッシュが相手のミスを誘い26-24で第2ゲームを奪う。第3ゲームは序盤リードを守ったもののじわじわと点差を詰められ逆転、最後は16-21で敗れた。「4年生として最後に、しっかり勝ち切りたいところで勝ち切れなくて悔しい」(高橋)。ダブルス2組に優勝の命運が託された。ここまで1ゲームも落とさず勝ち上がってきた中村・本田組は、ここで初めて第1ゲームを落とす。ここで負けたら終わりの第2ゲームでは互いに譲らない接戦が続くも、長いラリーの末相手ペアの間にシャトルを押し込み21-19で勝利。第3ゲームでは足の疲れがうかがえながらも、最後は本田のスマッシュが決まり、団体戦で戦った5戦全てを白星で飾った。「先に2本取られていていい意味で吹っ切れたというか、変に固くなくならずリラックスしてできた」(中村)。松本みなみ(文3=柳井商工)・宮下彩奈(農3=聖ウルスラ学院英智)組は格上相手に必死に食らいつくも、相手のプレーに押され2ゲームを落とし敗戦。準優勝で団体戦を終えた。 今大会が4年生を含めた現体制のチームで戦う最後の団体戦となった。「最後まで楽しむことは絶対に忘れないという気持ちで、1回戦から最後の決勝戦までずっと笑ってできた」(中村)。笑顔でプレーする選手たちの姿や、これまでにないほどの熱量での応援が印象的だった今大会。引き続き個人戦が行われているが、楽しむ気持ちを忘れずにいい結果が残せるよう期待したい。[増田杏] 試合後のコメント高橋――チーム全体として2日間いかがでしたか。 「正直ここまで来られるとは思っていなくて、試合に出ていない人も応援などでチーム一丸となってみんなが戦えていたのが良かったと思います。1日目の時点で全て3-0といういい勝ち方をしていて、そこから明治の波というか、勝つ感じが見えていたので、準決勝も簡単には勝たせてくれなかったんですけど、そこでもしっかり勝ち切って、2日間ともみんなでよく頑張れたなと思います」 ――良かった点を教えてください。 「みんな気持ちの部分では引いていなくて、自分たちから自分たちからっていう姿勢が出ていたのがすごく良かったと思います。プレー的にも春から見ていて、ちょっとしたミスというのが減って、相手に渡す1点というのが仕方ないミスに変わっているのがすごく良かったです」 ――東インカレでは90点とおっしゃっていましたが、このインカレには何点をつけますか。 「100点です!」 中村――良かった点を教えてください。 「自分たちは去年のインカレの団体戦では1勝もできていなくて、正直チームの足を引っ張ってしまう立場になってしまいました。でも今年は最後まで負けずにチームの1本を取れたのが良かったです。あと、いつもファイナルゲームだったり、1ゲーム取って2ゲーム目に入る時、大体取られることが多かったんですけど、今大会はしっかり焦ったところでも勝ち切れて良かったと思います」 ――個人戦に向けて意気込みをお願いします。 「団体戦が終わってすぐ次の日から個人戦が始まるんですけど、自分たちの最大の目標はやはりインカレで上位に入って全日本総合選手権に出ることなので、もう1回ここでしっかり切り替えて一戦一戦大事にしながら頑張っていきたいなと思います」 本田――みなさん笑顔でプレーされていたのが印象的でしたが楽しくできた理由はありますか。 「インカレという大会が4年生の最後の試合で『もう泣いても笑っても最後だから自分たちの力を出し切るだけだ』という気持ちでやっていたら、自然と笑顔になっていました。不安になった時とか、ベンチのみんなを見ると笑顔で声出してくれていたりとか、1年生の亀井菜杏(農1=聖ウルスラ学院英智)とか小原陽夏(農2=とわの森三愛)とかが先頭切って明るくしてくれているのですごく心強いなと思いました」 ――個人戦に向けて意気込みをお願いします。 「体もかなりきつくていい状態ではないのですが、そこから勝つことができれば本物だと思うので、本物になれるように個人戦も全力で頑張ります」 田代――試合を振り返っていかがですか。 「準決勝は2-2で回ってきて、自分が絶対に取るという気持ちでいたんですけど、試合を冷静に分析すると、2ゲーム目は正直厳しいかなという思いもありました。応援の力もあって流れが来てくれたんで、もうこれはいけるなと思って、その流れから最後まで行くことができました。応援というか、みんなのサポートに感謝しかないです」 ――2-2で回ってきた緊張やプレッシャーはありましたか。 「緊張はもちろんするんですけど、 勝負がかかった場面とか絶対負けられない場面の方がいつもよりいい緊張に変わるというか、自分は緊張を力に変えられるタイプだなと思うので、みんなのベンチからの応援もより自分の力に変わるというか、ああいった雰囲気がすごく好きなので頑張れたかなという感じです」 杉山――インカレまでに準備してきたことはありますか。 「東インカレで優勝してから秋季リーグを挟んだのですが、あまりそこで自分の納得できる試合ができませんでした。東インカレは調子が良くて、 その分リーグで少し調子が落ちてしまって、自分の中で気持ちの面で少しあがってしまっていた部分があったんですけど、今回のインカレでは『自分のプレーをしっかりしよう』っていう意識でできていたかなと思います」 ――どんな気持ちで試合に臨みましたか。 「個人戦と違って団体戦だとみんな後ろについてくれているので、気持ちが落ちることがあまりないのが団体戦のいいところかなと思います。あと隣のコートでチームの先輩が頑張っている中で、自分も頑張ろうと思えました」READ MORE