住吉圧巻の演技で優勝 江川、菊地も3位入賞/東京夏季大会

フィギュアスケート 2023.08.21

 SP(ショートプログラム)から一夜明けた20日はFS(フリースケーティング)が行われた。シニア女子では住吉りをん(商2=駒場学園)がSP3位から巻き返して優勝、江川マリア(政経2=香椎)が3位、さらに樋口新葉(令5商卒)が2位と、明大勢が表彰台を彩った。シニア男子では松井努夢(政経4=関西)が9位、ジュニア男子では菊地竜生(政経1=目黒日大)が3位につけた。

 

◆8・19~20 東京夏季大会(ダイドードリンコアイスアリーナ)





 

(写真:優勝した住吉)


 「今日は4回転(ジャンプ)に集中して。あとは大丈夫だから」というコーチの言葉に背中を押された住吉は「自信を持って最初のポーズに行けた」。とにかく4回転ジャンプを成功させるという目標でFSに臨んだ。昨シーズンから使う曲に乗り、気迫ある滑りを見せる。最初のコンビネーションジャンプを安定して決めると、流れるように運命の4回転トーループへ。しっかり跳び上がり、着氷した。その瞬間会場がどよめいた。結果は両足着氷で回転不足という判定だったが確実に4回転ジャンプの成功へ近づいた瞬間だった。圧巻の演技は大きな拍手と歓声に包まれ、その中心に住吉の晴れやかな笑顔が見えた。「拍手に応えることができて本当にうれしい気持ちでいっぱい」。4回転ジャンプは「降りたのに、惜しかった」と悔しさも見せたが「完成度は5割くらい」と、まだプログラムに入ると成功する確率が低いという。単独だけではなく曲全体に入れた時の完成を目指し練習を重ねさらなる強化を図る。


(写真:会場を沸かせた江川)

 

  江川は、優しい雰囲気で淡色の世界を想像させるSPとは打って変わって、FSでは深く厚みのあるメロディーの『O』を披露した。SPでの高得点獲得で「プレッシャーというか緊張してしまった部分があった」と振り返ったが、序盤のトリプルルッツとトリプルトーループのコンビネーションから次々と安定したジャンプを見せた。柔らかい着氷がよりジャンプを美しく引き立てる。全身に意識を向けた細やかなスケーティングと笑顔でリンクを華やかに舞うと、客席からはスタンディングオベーションが起こった。完成度の高いプログラムを披露したが「一つ一つの動きの丁寧さにまだ欠けるかなと感じている」と本人はまだ完全に納得していない様子。今大会までに出場した試合で構成に工夫を持たせるなど実践を積み重ねてきたからこそ、掲げる目標は高い。試行錯誤を重ねより技術に磨きをかけようと高みを目指す姿に、本人が心から納得する演技を見られることを願う。


 

 昨シーズンと同じ『ファンタスティック・ビースト』を踊った松井は「最後まで滑り切れて良かった」と振り返った。SPよりは「エレメンツの内容的には良かった」。「今日は必ずトリプルジャンプは締める」と気合を入れた演技冒頭、見事トリプルサルコウを着氷させ流れを作る。安定したスケーティングでつなぎ2回目のサルコウも足を締めて降りた。体を大きく使った動きで「魔法世界」を表現していくが、後半からは苦しそうな表情を見せた。「自分の顔がどうなっているのか分からないくらいだった」と、体力の消耗が松井を苦しめる。それでも見せどころのイナバウアーと最後のアクセルとサルコウを成功させ、気合いで演技を締めくくった。「とにかく自分の課題は体力と、ジャンプを入れること」だと今大会で成長へのカギをつかんだ。高身長を生かしたスケールの大きさとアイスダンスで得た滑らかなスケーティングに加え、安定したジャンプを身に付けるであろう松井の成長から目が離せない。


(写真:集中した表情を見せる菊地)

 

 「かっこいい曲や勢いがある曲が好き」だという菊地はFSでも勇ましく力強いメロディーの曲でプログラムを披露した。キリっと引き締まった表情とのびやかに氷を進むスケーティングが曲にマッチし見る者の耳にも目にも重厚な印象を残す。また音色の変化に合わせ、勇ましさの中にのぞかせる柔らかな体の動きも魅力の一つだ。ジャンプでは「一番は4回転サルコーに力を入れていた」と冒頭に思い切り跳んだが、惜しくも転倒。続くトリプルアクセルも着氷とはならなかった。「練習では決めるところはしっかり決めていた」上、ジャンプへのこだわりが強いだけにその悔しさは大きい。「気合が入っていて空回りしてしまった」と振り返った。それでも総合結果は3位につけ、表彰台に上がった菊地。試合経験を積みながら、本格的なシーズン開幕に向け改良を重ねる。

 

 これから本格的に始まるシーズンに向け、それぞれが今大会で得た収穫を実らせることを願う。そして新しく成長した選手たちの演技に期待を寄せたい。

 

[新村百華]

 

取材後のコメント

住吉

――点数を見ていかがですか。

 「140点が出るとは思わなかったので、これだけミスがあっても140点が出たのはすごくびっくりしました。それを一つ自分の自信にして、200点がすごく遠い目標ではなくてしっかりやれば出せるという近い目標に見えたので、すごくうれしいし、気が引き締まるような気がしました」

 

――ここから一番強化していきたいという部分はありますか。

 「やはりまだ少し体力がぎりぎりで、ジャンプが全て終わるまでは何とかもつのですが、コレオは少し力強さが足りないなと思うところがあるので、もっと体力を強化して余裕で最後まで力強さを出しながら滑り切れるようにしていきたいです」

 

江川

――ジャンプの柔らかさは意識されていますか。

 「楽にきれいに跳べるようにいつも練習していたら、こういう形のジャンプになったという感じです」

 

――衣装はこれから変える予定はありますか。

 「今日着ている衣装もまだ昨シーズンの衣装のままで、まだできあがってないのですが、 ブロック(東京選手権)までに新しい衣装でいけるかなと思います」

 

松井

――今日を振り返っていかがでしたか。

 「最後までしっかり滑り切れたのでそこは良かったかなと思います。アクセルとトーループで1本パンクしてしまったけれど、それ以外のサルコウも2本締めたので短い練習期間の中では良かった方だったと思います」

 

――次戦に向けての意気込みお願いします。

 「まずはブロックで昨年度の東日本(東日本選手権)くらいのクオリティまで戻して、今年度の東日本ではそれ以上ができるようにしたいです。とにかく自分の課題は体力と、あとジャンプを入れること。滑りが良くても、ジャンプが全く入らないと点数にならないと思うのでジャンプの成功率を上げる練習をしっかりしたいと思います」

 

菊地

――一番力を入れてきたところはどこでしたか。

 「一番は4回転サルコーに力を入れていたのですが、一生懸命やりすぎたせいで他の要素にも影響していたかなと思います。4回転ジャンプに全て集中してしまっていて他のことがおろそかになってしまっていたなと今日の試合で感じました」

 

――東京選手権に向けて集中的に練習したいことはありますか。

 「あと1ヵ月で、もちろんFSに関しては4回転ですが、今回SPで失敗したアクセルに重点を置きたいです。FSでも、アクセルで転んでしまったり、ステップアウトしてしまったりしたのでそういった細かいところをしっかり練習したいです。まずは全て降りられるようにしていきたいと思います」

 

 

 


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