
好調見せる明大勢 江川2位、住吉3位発進/東京夏季大会
19日、東京夏季大会のSP(ショートプログラム)が行われた。シニア女子では江川マリア(政経2=香椎)が2位、住吉りをん(商2=駒場学園)が3位、シニア男子では松井努夢(政経4=関西)が8位につけた。ジュニア男子では菊地竜生(政経1=目黒日大)が4位につけ、初日を終えた。各自が課題点を見つけ翌日のFS(フリースケーティング)に向け気持ちを新たに整える。
◆8・19~20 東京夏季大会(ダイドードリンコアイスアリーナ)
水色の衣装に身を包んだ江川は、優しいメロディーにぴったりのしなやかな動きで魅了した。バレエの経験を生かし指先まで神経の行き届いた丁寧な滑りと、にこやかな表情で観客をはかなく淡い世界へと引き込む。演技冒頭のトリプルルッツを危なげなく決めると、流れるように他のジャンプも見事に成功させ会場はそのたびに歓声に包まれた。柔らかな雰囲気のスケーティングに組み込まれた、安定感のあるジャンプが良いアクセントとなり、メリハリのある演技を見せた。予定構成通りのノーミスで全体の出来に「この時期にしては良かった」。しかし「まだまだ質の良いジャンプかと言われたらそうではなかった」と悔しさものぞかせる。特に課題としていたルッツは、まだ試行錯誤中だという。他にも「ジャンプ以外の部分のつなぎなども細かくしないといけない」。丁寧なスケーティングと質の良いジャンプを目指し、これからさらに磨き上げられる演技に期待が高まる。
(写真:豊かな表現を見せる住吉)
試合が立て続く中出場した住吉は6分間練習と演技直前までの練習時間で、何度も同じ動きを試し念入りにジャンプと動きの確認をした。「げんさん(げんさんサマーカップ)と木下(木下トロフィー争奪大会)で、イメージトレーニングを増やしたら気持ちが落ち着いてジャンプに入れると感じた」と試合で学んだことを実践。その言葉通り、演技冒頭で安定感抜群のダブルアクセルを着氷させた。続くトリプルフリップとシングルトーループのコンビネーションジャンプはきれいに入ったが「(コンビネーションを)付けた判定になるか分からなかった」と次のトリプルルッツもコンビネーションにしてしまうというミスを起こす。得点にはならなかったものの「後半にコンビネーションを付ける練習になった」と前向きに捉えた。
「すごく意識して口角を上げるようにしている」と「魅惑する女性」を演じるSP。どこか怪しげな音色に合わせた艶やかさが光る。曲の終わりのステップはリズムに合わせて観客から手拍子が起き、会場に一体感が生まれると住吉は楽しそうな表情を見せた。ジャンプのミス以外は「全体の流れとしてはすごくいい出来だった」と明るく振り返った。
(写真:スケーティングで魅せた松井)
大会5日前に靴を変えたという松井。「最近練習できていなかった」とコンディションがあまり良くない状態で臨んだ。冒頭のダブルサルコーで着氷時に足が開いてしまい失敗、続くトーループもきれいに着氷とはならなかった。しかし以前アイスダンスで培った滑らかなスケーティングがモノを言いダイナミックで見応えのある演技となった。「(ジャンプで)2個パンクして1個しか跳べていなかったのにこの点数だったのは何とかこらえた」と実際にスケーティングが点数を支える結果に。内に秘めた情熱がふつふつとこみ上げるような印象を与える音楽が松井の気持ちを表すかのように訴えかける。アイスダンスで磨いた表現力や魅せ方がシングルの結果に反映され始めた今シーズンは一層完成度の高い演技に期待が高まる。「追い込んでブロック(東京選手権)までに仕上げていけたら」とシーズンの始まりにふさわしい意気込みを見せた。
(写真:力強く滑る菊地)
今大会がシーズン初戦となった菊地は少し緊張した表情で登場した。「初戦だったので気持ちの良いスタートが切れるように」と意気込んだ滑り出しは、とても力強い滑りを見せる。初披露とは思えない堂々とした動きとひときわ目立つ衣装が、菊地の存在感を引き立てた。そして思い切りの良いトリプルアクセルに跳び上がったが、空中で軸がずれ体が斜めに落ち転倒。「跳び急いでしまった」とはやる気持ちに負けてしまった。2本目のトリプルループとトーループのコンビネーションジャンプはしっかりと成功させ、本来のペースを取り戻したかと思われた。しかし最後のトリプルルッツも転倒してしまい、ジャンプのミスで演技終了後は悔しそうな様子を見せた。「ジャンプのミスが多く演技に気持ちが入りきらず悔しさが残るSP」だったと振り返る。広いリンクに身一つでこれだけ大きな迫力を感じさせる菊地に完璧なジャンプがそろったら、まさに鬼に金棒だろう。本格的にシーズンが始まっていく中で今大会をバネに、これから成長を見せるに違いない。
シーズンが本格的に始まる直前に行われる今大会。既に何度も試合に出場し実践を重ねてきた選手もいれば、初戦の緊張を味わった選手もいる。それぞれの立場で収穫したものが次の演技に生かされることを祈るばかりだ。まずは翌日のFSでの各選手の演技に注目が集まる。
[新村百華]
試合後のコメント
住吉
――演技を振り返っていかがでしたか。
「ジャンプでルール違反があったので点数が伸びなくて、きちんと判断をしなかったのがダメだなと思いましたが、それ以外では自分の見せたいスケートができたかなと思っているので全体の流れとしてはすごくいい出来だったなと思います」
――演技中にこやかでしたが、表情は意識していましたか。
「すごく意識して口角を上げるようにしています。その方が自分の気持ちも上がるし、今回曲自体も魅惑する女性みたいなのを演じたいなと自分の中で思っているので、魅惑するような笑顔を出そうと思って頑張っています」
江川
――指先まで行き届いた演技をするために意識していることはありますか。
「こういう柔らかくてはかない感じの曲が久しぶりというか、あまり滑ったことはありませんでした。でも昔、バレエをやっていてそういう動きもやりたかったので、やっと指先まで使うような演技ができてきているかなと思います」
――明日のFSに向けて意気込みをお願いします。
「明日はSPとはガラッと変わった曲調になるので自分の持ち味であるダイナミックなスケーティングを見てほしいなと思っています」
松井
――演技を振り返っていかがでしたか。
「最近練習できていなかったこともあるし、靴のトラブルもあったので『こんな感じかな』と、驚いてはいないです。練習ではジャンプをしっかり締めていたからパンクしてしまったのは悔しいけれど、2個パンクして1個しか跳べていないのに43点だったのはまだ何とか耐えたなという点数でした。この試合が終わったらすぐ明大の合宿もあるのでそこからどんどん追い込んでブロックまでに仕上げていけたらいいなと思います」
菊地
――どのような気持ちで今大会に臨みましたか。
「SP・FSともに初披露で初戦だったので気持ちが良いスタートを切れるよう臨んだ試合でした」
――明日のFSに向けての意気込みをお願いします。
「明日のFSでは4回転サルコーの成功と勢いのあるスケートを見せられるよう頑張ります」
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