明法オンアイス開演前インタビュー

フィギュアスケート
2023.03.01

 明法オンアイス開演前に4年生一人ずつにインタビューを行いました。開演前の心境、明大の仲間について、これまでのお話やこれからについてなど、さまざまな話を伺い、一人一人の思いに迫りました。

(インタビューは名前の50音順に掲載しています)

 

岩永詩織(営4=明大中野八王子)

――明法オンアイスが近づいてきましたが今の気持ちを教えてください。

 「少し緊張もしていますが、楽しく滑ることができたらいいなと思います」

 

――フィギュア部門での一番の思い出を教えてください。

 「合宿かなと思います。あまり全員でそろう機会がなく、明法オンアイスか合宿くらいでしか集まることができなくて、合宿はみんなで練習できて仲も深められるし、自分のモチベーションも上がって、スケートもいい方向につながったかなと思います」

 

――同期に対してどのような印象を持っていますか。

 「世界大会や全日本選手権(以下、全日本)に出ていたりして、カテゴリーは違いますが(同期が)頑張っているから頑張れるというか、部練とかでしか会えないけれど試合を頑張っているなというのは分かるので、お互いに高め合えて来られたのかなと思います」

 

――普段はどのような話をするのですか。

 「普段何話しているかな。食べ物の話をしていることが多いかな。スタバの新作の話や、スケートの話もしますが、今後どうしようとか毎回の合宿に向けてとかこの明法オンアイスに向けてとか、みんな話すのが好きです。でも好きな食べ物の話ばかりしている気がします(笑)」

 

――岩永選手は明大の付属校出身ということで、明治の好きなところはどのようなところですか。

 「中学から明治に通っているのですが、明治だったらみんなで応援するみたいなのはいいなと思います。ラグビーとか強いですよね。野球も観に行きましたね。知っている子がいなくても明治の選手というだけでみんなが応援してくれたり、こちらも応援したりできるので、それがいいところかなと思います」

 

――今後はどのような進路に進むのですか。

 「樹脂、プラスチックでできたスケートリンクがあって、そこで一昨年くらいからアルバイトしていて、その会社に入って樹脂のスケートリンクをメインでやっている中学生や小学生を教えるのが一つと、冬にはスケートのイベントがあるので、その運営企画などスケート関係のことをします」

 

――アイスダンスやシングルは続けないのですか。

 「シングルスは終わりで、アイスダンスは続けられたら続けたいのですが、パートナーが引退までに見つかったら続けようと思っていました。今のところ見つかっていないので、終わりの気持ちでいます。戻ることもあるかもしれないし、ないかもしれないしという気持ちです」

 

――この一年はケガもあったと思いますが、悔いなく締めくくることはできそうですか。

 「ケガや体調不良があった中では全部の試合でまとまってできました。今回の明法オンアイスでもジャンプをかなり少なくしていて、スケーティングの方が魅せられるかなと思いました。そこを自分の強みだと思ってずっとやってきたので、悔いはなく終われたかなと思います」

 

小川菜(文4=新潟南)

――明法オンアイスがもうすぐ始まります。

 「緊張はしますが先生やコーチや応援してくださっている方や両親に感謝を伝えられるように頑張って滑りたいと思います」

 

――ご家族も観に来るのですか。 

 「母と祖父母が来てくれています」

 

――新潟の高校に通われていましたが、大学生になってからは一人暮らしをしているのですか。

 「一人暮らしをしています。実家が遠く、今まで大学に入ってから(家族に)直接演技を見てもらったことがなくて、今日初めて生で大学生になってからの演技を見せられるので、ここで感謝の気持ちを込めて滑れたらなと思います」

 

――今まで一人暮らしをしてきて大変だったことはありますか。

 「一人暮らしをしていて一番大変だったのが、最初は大学の近くに住んでいたのですが、リンクの近くに引っ越して、1回目は高田馬場に引っ越して、それからリンクが閉まってしまい、それから2回目に東大和に引っ越しました。スケートのために2回引っ越しをしたのが大変だったのと、引っ越してからもリンクが閉鎖して東伏見に朝早くに通わなくてはならなくなってそれも大変でした。一人でいろいろな手続きをしたり、早起きして移動したりするのが一番大変でした」

 

――一人暮らしをしている時はご家族とのやりとりはどのようにしていたのですか。

 「電話は月に一度するかしないかで、家族のラインのグループではちょくちょく、2人の姉がいて『こんな料理を作ってみました』とか『猫がこんな風にしています』とかやりとりしたりしていて、意外と寂しくなかったです」

 

――今後の進路について教えてください。

 「今後は新潟で就職するのですが、新潟で最初についていたコーチの下でたまにボランティアでサポートとして小さい子に教えたりする機会をいただけたので、4月からは新潟のお仕事とリンクでは小さい子を教えたりすることができるかなと思います」

 

――スケートとも関わるのですね。

 「選手としてではなく趣味としてたくさん滑るとかでもないですが、やはり呼ばれたりしたらせっかくここまでやってきたものがあるのでお手伝いできればなと思います」

 

――同期との関わりはいかがでしたか。

 「本当に私は東京に知っているスケートの人が全くいなくて、部活に入ったときにうまい子ばかりで仲良くしてもらえるか不安だったのですが、仲良くしてくれて感謝しています。(食べ物の話をよくすると聞きました)食べ物の話は常にしていると思います。合宿に行っても食べ物を目当てに頑張って、練習が終わった後のおやつを楽しみにしています。お菓子は大事です(笑)」

 

――フィギュア部門での一番の思い出を教えてください。

 「私は3年生の時には学連(日本学生氷上競技連盟)に入っていて、大会運営の裏側を学べて、それと同時に自分の運営している試合に選手として出られる、その経験を3年生の1年間経験することができて、大学ならではの大会運営の仕事経験と選手としての緊張感も味わえて、一層濃い経験をすることができました」

 

――5級の大会での思い出は何かありますか。

 「この間のインカレ(日本学生氷上競技選手権)が、自分の中で最後ということもあって、気持ちが感傷的になりながらも最後のインカレに出られて良かったなという気持ちがあったので、4年間の集大成として、あまりいい演技ではなかったのですが、5級の試合としては一番思い出に残っています」

 

佐藤伊吹(政経4=駒場学園)

――明法オンアイスがいよいよ始まりますが今はどのような気持ちですか。

 「今年は卒業生も多くて今までにない企画もあるのでその点でも楽しみですし、有観客でできるというのが今はわくわくしています」

 

――グループナンバーについてはいかがですか。

 「それもすごく楽しみで、この前練習した時もみんなでまとまってやるということが今までなかったので、難しいこともあったのですが、それも含めて楽しんでできたらなと思います」

 

――同期が6人いますが、今までどのように支えられてきましたか。

 「6人というのは多い年だと思いますが、合宿でも試合でも6人で集まって話したり、(みんなが)頑張っているから自分も頑張らないといけないなと思わせてくれる存在なので、多くて本当に良かったし、私は楽しかったです」

 

――これまで関わった明大の先輩や後輩たちはどのような存在でしたか。

 「先輩はスケートのことだけではなく勉強も頑張る姿も、スケートも本気で練習する姿を見て私も明治に入りたいと思ったので、それはすごくお手本になる存在でした。後輩に関しては学部が同じだったら授業の部分を助け合ったりもしましたし、先輩後輩関係なく上手な選手がそろっているのが明治だと思っているので、合宿なども勉強になる点がたくさんあったし、それがすごく良かった4年間だなと思います」

 

――フィギュア部門での一番の思い出は何ですか。

 「明治合宿のリレーです。明治合宿はトレーニングの後にリレーをするのですが、この前の合宿で、OBの方とかも入ってやったリレーがすごく楽しかったので思い出に残っています。(みなさん足は速いですか。)速いです。負けた方は罰ゲームをするので、それも含めて面白かったです」

 

――神宮(明治神宮外苑アイスアリーナ)でのエキシビションはいかがでしたか。

 「先ほど12時にやってきました。今練習してきたプログラムでできることはできたのでそれは良かったのですが、明法オンアイスで体力が持つかどうかが今一番の心配です」

 

――オフの期間はどのように過ごしましたか。

 「試合は1月のインカレが最後だったので、それが終わってからはそれまでみたいにガンガン毎日練習していたわけではないのでもちろん体力が落ちていて、それが一番の課題ですが、今日は楽しくできればそれでいいかなと思います」

 

――同期の松原選手の印象を教えてください。

 「2人になったらずっと食べ物の話をしているなということと、あと星ちゃんもすごく真面目なので、そこがすごく合っているからここまで2人でうまくやって来られたのかなと思っています。明大だけではなく国民体育大会(以下、国体)でも東京都の選手として一緒に出ていたので、リンクは違っても一緒にいた時間はやはり長かったなと感じています」

 

――大学4年間を振り返ってみていかがですか。

 「楽しかったなというのと、明大に入って良かったなというのはすごく感じました。スケートだけではなく他のスポーツもすごく強いので、そういう人たちと関わる機会を明大に入ってたくさん持つことができましたし、スケート部も本当に強いので、その中で自分がインカレに出ることとか、スケート部に貢献するために必死に頑張ってきた4年間だったので、明大に入って成長できたし、充実してあっという間だったなという感じです」

 

樋口新葉(商4=開智日本橋学園)

――この1年をどのように過ごしていましたか。

「10月から休むと決めてスケートから少し離れていたのですが、スケート以外のいろいろなことをして、学校に行ったりとか友達と会ったりとか今までできなかったことをして過ごしていて、結局それも最終的にスケートに戻ってくるための期間に充てていたので、すごく世界が広がったなと思います」

 

――いろいろな経験した中で何か衝撃を受けたことはありますか。

 「佐賀県に行ったのですが、友達の実家があって、農家なので農業をしたのですが、結構重労働なのだなというのが一番大きかったです。すごく楽しかったし、そういう経験もなかなかできないので、なんだかいろいろなことができるのだなと思いました。種まきをしたのですが種をまくのも結構大変で、そこが一番きつかったというか、なかなか経験したことがなく初めての経験でした」

 

――1月にインカレが行われた際には、明大を背負えなくなるのが寂しいとおっしゃっていました。それにはどのような理由がありますか。

 「この4年間ですごく明治愛というか、学校のことが好きになったし、いろいろな人が周りにいてくれたので、その大切さを知ることができたし、この4年間なかなか大学関連の試合には出ることがなくて、2回か3回出たくらいだと思うのですが、その中で五輪などの大きな大会も経験させてもらって、すごくいろいろな人に応援していただきました。学校関連の方だったりそうでなかったり、自分はすごくスケートを頑張りたいと思って入ってきて、卒業したから応援してもらえなくなるということはないと思うのですが、学生としてそうして頑張っていた自分がいたので、それがなくなってしまうのは寂しいなと思います」

 

――同期や後輩、先輩はどのような存在でしたか。

 「先輩には本当にいろいろな面で助けてもらって、学校のことはもちろんスケート部のことも自分が経験したことがないことを聞く機会が多かったです。後輩たちは本当にいつもよくやってくれるというか、先輩たちのことを考えていつも行動してくれるので、そういう後輩たちが入ってきてくれてうれしいことだなと思います」

 

――後輩たちにはどのようなメッセージを残しますか。

 「役職もいろいろあって大変だと思うし、このようなイベントを企画するのもすごく大変だと思いますが、その中で自分のやるべきこと、選手としてスケートを頑張るということが一番だと思うので、結果を残すということや、スケート以外でも学校の成績も残していけるようにしていってほしいなと思います」

 

――今のフィギュアスケートに対する気持ちを教えていただけますか。

 「今シーズンも試合に出て頑張りたいなと思っていますが、もちろん試合に出るからには結果が求められると思います。でもなかなかそこまで頑張れるか自信があるわけではないので、まず自分がケガをしないで健康にスケートができるようにというのを第一の目標にして、また全日本で滑れるように頑張りたいなと思います」

 

松原星(商4=武蔵野学院)

――明法オンアイス本番が近づいてきましたが、今の気持ちはいかがですか。

 「ずっと滑ってきたこのリンクで最後に滑ることができるのはありがたいことですし、楽しみです」

 

――フィギュア部門での一番の思い出を教えてください。

 「やっぱり夏合宿ですね。毎年楽しいです」

 

――同期には今までどのように支えられてきましたか。

 「これほど同期の人数が集まっている学年はないと思うので、どんなときも味方がいっぱいいるのは心強かったですし、合宿や大会で集まった時もこの学年だけ騒がしくて図々しくて(笑)。私にとっては居心地が良かったです」

 

――これまで関わった明大の先輩や後輩はどのような存在でしたか。

 「先輩の背中を見て同じような行動を取ってきているので、見て育ちましたし、その姿を後輩たちにも見せていられたならいいなと思います」

 

――2月にニュージーランドに行っていたと思いますが、そこでの思い出を教えてください。

 「とにかく景色がすごくて、8日間いたのですが着いた時からとんでもない景色で、いろいろと有名な場所に行ってもそのすごさを更新していくくらいどの景色も素晴らしかったです。写真だけでは伝わらないので、ぜひ皆さん行ってみてください(笑)」

 

――これから進路についてお聞かせください。

 「非営利団体に就職します。(どのような理由でその進路を希望したのですか)スケートはお金のかかる競技で、資金をかければかけるほどいいものになっていくといいますか、衣装や振り付けなどもそうなのですが、お金をかければかけるほどいいものに仕上がっていくことを身に染みて感じた19年間だったので、お金で助けられる、資金を動かして相手を幸せにするというような路線を見ていました」

 

――19年間スケートを続けて今に至りますが、どのようなことを感じていますか。

 「忘れっぽいのですごく思い出に残っている部分しかなかなか思い出せないですし、嫌だったこととかはすぐ忘れ去りたい人で、嫌なことは口にする前に忘れてしまう人なのですが、総じて言えば楽しかったのかな。練習はたくさんたくさんしたし、朝起きてから夜寝る前までスケートのこと考え続けていた時期はかなりあったし、自分のできる範囲でできることはやったので、やり切ったかなと思います。後悔は全然ないです」

 

――今までのインタビューを通じてお母さまの存在が大きかったのかなという印象を受けました。これまでを振り返ってみていかがですか。

 「群馬でスケートを始めて、そこから埼玉、東京、千葉と移り住んで、母だけでなく父の支えもありました。一番近くで支えてくれた母はどんなときでも味方でいてくれたし、よく怒られたけど、何が正しいとは世の中言えないけど母が長く生きているからこそ母の言うことは正しい、というのは分かっていたけど言うこと聞かなったこともあって、今でもありますし(笑)。でも母の助言は確かなものだと自分の中でそういうのがあるので、それを頼りにここまで来ることができました。19年間、いい成績とか母が思い描いていたような成績は残せていないと思っていて本当に申し訳ない部分なのですが、ここまで長い間ありがとうございましたという気持ちでいっぱいです」

 

山隈太一朗(営4=芦屋国際)

――明法オンアイスが始まりますが、楽しみにされていましたか。

 「今年は特に後輩たちがすごくよく動いてくれて、新しい試みもいくつか用意しているのでどういう形で出るのかなというのもありますし、今年はお客さんが入ってくれるので久しぶりに有観客で開催することもできるし、自分のラストの演技にもなるのでいろいろと楽しみなことがたくさんあるのですごくわくわくしています」

 

――試合ではなくショーということになりますがどのような気持ちで臨みますか。

 「昨年もそうでしたが始まるまではソワソワするというか、自分としてもいろいろ確認できていないことがあったらどうしようといったことがちょこちょこあったりしますが、今はそのような緊張よりも、うまくいくといいなと、あとはここから最後の準備をしっかりして楽しめたらいいなと思っています」

 

――明大フィギュア部門での一番の思い出を教えてください。

 「一つこれという大きい思い出というよりは、やはり今年主将として1年やってきたことが一番印象に残っています。大きなイベントをやったというよりかはいろいろ考えながら主将としてどう振る舞うべきか、何をどのタイミングで言えばいいのかなど、そういうことを考えるのがすごく楽しかったので1年を通して主将としてやってきたことが僕の中で一番の思い出かなと思います」

 

――みんなを引っ張ってきた感想を教えてください。

 「難しいなとすごく感じていましたがやりがいはすごくありました。1年しかなくこの先何年も引っ張っていくわけではないというそこの難しさ。でもやはり物事を何か変えると言ってもすぐ結果が出ることはなかなかないことです。でも自分が引っ張った年に競技成績ではインカレアベック優勝をすることができたし、新しく始めた試みも1年やり通すことができたし、分かりやすく変えたいところは変えることができたし、結果も出すことができたし、すごくやりがいがありました。逆に難しいこともあって、解決するにはどうすればいいかと悩む時期もありましたが、それでもそうして引っ張っていく、僕が引っ張っていたというよりみんながのびのびやっていた感じが強いですが、のびのびやりつつ外枠をきちんと囲ってあげられたのかなと思うので、いい形で終われたかなと思います」

 

――同期の印象はいかがですか。

 「同期の人数がすごく多いので、常に僕たちが与える影響は大きいということはすごく感じたし、個人的に男子は僕しかいないので少し寂しいなとは思いましたが、新葉(樋口新葉)が五輪で活躍する姿などを見ているとやはり僕も自分なりに爪痕を残すではないですが自分の戦っている世界で頑張らないといけないなと刺激をもらいました。同期もキャラクターが一人一人濃かったです。人数が多くてキャラクターも濃いからこれだけの人たちと同じ組織として動けたのはすごくいい経験になったなと思います」

 

――これまで関わった明大の先輩や後輩はどのような存在でしたか。

 「先輩は優秀な人も多かったし明治大学スケート部はこういうものだよと教えてくれた先輩たちが多かったですが、一番刺激を受けたのは後輩です。特に今年入ってきた1年生は本当に実力、知名度も世界レベルの子たちが入ってきてくれて、謙虚で部のいろいろなルールに対して前向きな姿勢で臨んでくれたことが部のレベルを上げることにもつながっていたと思います。全国的にもトップレベルでそんな1年生たちが部練に来てすごくレベルの高い練習をしているので、見ているだけですごいし、それを体感しながらシーズンを戦えたのはすごく大きいなと思います」

 

――過去にスケート部の総合主将を務めていた鎌田詩温さん(令2商卒)から、進学についてお声掛けがあった話を聞いたことがあります。

 「どの大学よりも早く声を掛けてくれて、関西の僕らでもみんな知っているような大学で、スケートをやってなくても知っている大学だと思うし、そんな大学から声を掛けていただけるのは本当にうれしい限りでした。詩温くんが声を掛けてくれたのはうれしかったし、ちょうど大学をどうしたらいいのだろうと悩み始めていた時期でもあったので、やはり大きなきっかけになりましたね」

 

――他の大学とは迷わずに決められましたか。

 「少しは迷いましたが、明治一択だけど一応他も考えてみるかといった感じでした。唯一上京するということだけが僕の中では気がかりでした。練習環境を大きく変えるのはリスクのあることだし、僕のリンクはすごく恵まれた環境だったのでそこからより練習時間などが厳しくなる東京に来るということは少し悩んだところはありました。ただ大学という観点で考えたときには明治以外は考えられなかった感じでした」

 

――国体が終わってからこれまではどのようなことをして過ごしていましたか。

 「シーズン中というか現役中の自分は常にプレッシャーを感じていたし、特に今年はラストシーズンということで『もし何かやらかしたり、こけたりしたら終わってしまうな』という、もうそれは取り返しのつかない失敗になってしまうと思ったのですごく私生活にも気を付けていました。もうすぐ東京から離れるので、東京でお世話になった人たちとご飯に行くなどプライベートの時間を過ごしつつ、フィギュアの練習も続けていました。朝練はあまり行かなくなったというのはありますが、すごくこれ面白くて。最後の国体が終わってからなんだかすごくうまくなったんですよね(笑)。なんでだろうな。今までどうにも乗れなかったくらいのディープエッジにいとも簡単に乗れるし、ジャンプもすごく簡単に跳べるし。先生と話していたら、精神的に現役の間は追い込まれているのが常にあって、プレッシャーを感じながらやっているのでそこから解放された時に伸び伸びやれているから、今までできなかったところまでいけるようになっているのだと分かりました。今までの練習で100までつくっていたとしても、やはり現役中はいろいろなプレッシャーがあるので8割ぐらいしか出ないのだと思います。終わってから8割以降の部分が練習でですが、出せるようになったかなと思うので、メンタルはすごく大きいのだなと感じたし、現役の間は100パーセント出しているつもりでも80パーセントぐらいしか出ていないのだなと面白く感じました。現役が終わってからしか感じられないスケートの面白さというのはこの1カ月で感じられたなと思います」

 

――国体の最後の演技も素晴らしかったですがその時もプレッシャーはありましたか。

 「あの時はかなりプレッシャーがありました。本番のFSの前は『あと4時間で現役生活が終わるんだ』と実感するというか、国体は常にチームで動くので一人でご飯を食べるタイミングがあまりなくて、その分紛れる部分もありますが、みんなとご飯を食べていてもお腹が空いていたのに急に食欲がなくなってきてすごく緊張してきて『最後が良くなくて現役もう一回やります』というのも嫌なので、これが最後なのかとずっとプレッシャーを感じていました。実際本番が始まる前、あれだけの人が集まってくれたのが本当にうれしくて、あの景色を見た瞬間、全部降りようとかノーミスしようとかいい演技しようというのが全部なくなって、この雰囲気は一生で今しか味わえないものだなとすごく思いました。とにかく本番はその雰囲気の中で自分が気持ちよく滑るだけなので、それが後から見た時に最高の試合だったなと思います」

 

――ご飯は兵庫県のメンバーで食べたのですか。

 「そうですね。基本的に自分がずっと話しているのですが、試合前は男子だけで食べていました。女子は次の日も試合があったので、でも早い時間に一緒にご飯を食べたりしました。その時も面白いですね。坂本花織(神戸学大)の絡みというか、すごいテンポで話しています。希(吉岡希・法大)ともすごく楽しくて、SP(ショートプログラム)が終わった日の夜にはスケート談議のような『ここをこうする』とか希に『ここを良くしたいんだけどその仕方が分からない』と言われて『そこ俺の得意分野だから語らせろ』という風に、次の日にFSもあったので夜更かしはしていませんが、2、3時間話して2人とも汗だくになるくらい、いい語りができたなと思って。でも『あれ明日試合、あれ現役終わりじゃん』みたいな感じでした(笑)。国体がすごく楽しくて、希の演技も話した後に少し良くなっていて。彼の今後がすごく楽しみですし、世界ジュニア選手権でどんな演技をするのか楽しみだなと思います。全てが楽しかったです」

 

――これから新しい世界に進まれますが、今の心境はいかがですか。

 「考えれば考えるほど不安もあります。この時期は今までなら常に来シーズンのことを考えていました。今シーズンの振り返りをして、来シーズンはどんな技術を習得するか勝つためのことを常に考えていましたが、これからはそうではない世界に入るので、小学校低学年から始めた競技生活で、人生で初めてそこを考えなくなるというか、フィギュアをやっているという事実は変わらないけれど競技として結果を出すところは関係なくなるのは初めてなので、この先は全てが初めてで不安もあります。でもそれと同じくらい、自分がどうなっていくのか、メンタリティとかそういうものを変えずにやっていけるのかというのも楽しみですし、いろいろな人と関わって、たくさんのことを経験したいです。次のステップに行けることにワクワクしています」

 

――主将として最後のメッセージをお願いします。

 「1年間主将として、僕の新しい試みに付いてきてくれた部員には感謝しかありませんし、協力してくださった監督、コーチに感謝の気持ちでいっぱいです。いろいろなところで明大は優秀な成績を残して、インカレ男女アベック優勝という最大の目標を達成できて、主将として部員たちのことを誇りに思うし、自分も優勝の助けになれたと感じます。スケート部に入って良かったと思える1年を過ごさせてもらいました。スケート部フィギュア部門としても最高の1年を過ごすことができて、応援してくれた皆さんと素晴らしい活躍をしてくれた部員たち、最高にサポートしてくれた監督たちとみんなでつかみ取った素晴らしい1年なので、これを続けて常に『やっぱり明治がナンバーワン』と言ってもらえるような、強い明治大学スケート部フィギュア部門であってほしいなと思います。僕は今年で終わりになりますが、この先も強い明治を引き継いでいきたいと思います」

 

[守屋沙弥香]