【瓦版】戸上隼輔 張本破り全日本2連覇!/全日本選手権

2023.02.08

 卓球ファンを魅了した。昨年度の全日本選手権(以下、全日本)を制した戸上隼輔(政経3=野田学園)が今年度もシングルスで快進撃。並みいる強敵を倒し、全日本連覇を果たした。

 

大舞台で見せた優勝劇

 決勝の相手は卓球界のスター・張本智和(IMG)。1セット目を先取するも、次のセットで追い付かれ1―1となり迎えた第3セット。ここを取れば、優勝へ王手をかけられる大事なセットだったが、張本の代名詞であるチキータがさく裂し、強敵を前にペースをつかむことができない。だがここで戸上は考え方を変える。「相手にチキータをさせてそこを狙った」。相手のチキータを封じるよりもラリーに持ち込む戦略に変える。台上技術で相手を上回る自信があるからこそできる作戦だった。結果、相手に4度のゲームポイントを握られながらも食らいつき、17―15でこのセットをモノにした。完全に流れをつかんだ戸上はその後、得意のバックハンドで相手を翻弄(ほんろう)。最後も強烈なバックハンドで試合を決め、高く拳を突き上げた。

 「昨年度の全日本が終わってから調子の波が大きかった」と今年度を振り返った戸上。昨年度の全日本後は思い切ったプレーができず「格下の選手に負けることもあった」。しかし苦しい期間が戸上の卓球への意識をさらに強くした。「休みの日でも卓球について考えるようになった」と、卓球に向き合う時間が増え、全日本の前に調子を取り戻すことに成功した。「日本代表としてメダルを持ち帰りたい」と、夢の舞台への思いも口にした戸上。今回の優勝で、オリンピック選考レース3位に浮上し、2枠の出場権に一歩近づいた。さらなる進化を果たし、今度は世界で歓喜の雄たけびを上げる。

 

[山岡慎]

 

◆戸上 隼輔(とがみ・しゅんすけ)三重県出身、野田学園。右シェーク攻撃型。今年度からは明大卓球部主将を務める。171㌢・65㌔。