インカレ11年ぶりの男女アベック優勝達成! 男女完全優勝で有終の美/全日本学生選手権

射撃
2022.10.17

 もはや明大に敵はいない。年間で最も大きい大会である全日本学生選手権(以下、インカレ)。5年ぶりの開催となった能勢射撃場を舞台とし、男女ともにAR(エアライフル)とSBR(スモールボアライフル)両種目の完全優勝を達成。2011年以来となる男女アベックでの総合優勝を決めた。

 

◆10・13~16 全日本学生選手権(能勢町国体記念スポーツセンターライフル射撃場)

▼男子総合

 明大――1位

▼女子総合

 明大――1位

 

インカレでは男子4種目、女子3種目が行われるが、その中で男女共に50mライフル3姿勢と10mエアライフル立射の2種目が団体戦を兼ねており、1種目3人のレギュラー選手が撃った得点の合計を競い、その順位に与えられるポイントのトータルで総合団体順位が決まる。

 

[男子]

「全員が実力を出してつかんだ優勝」(大塩勇斗・政経3=足立新田)。男子団体ではARとSBRで1位に輝き、2位の日大とは41.2点差をつけて8年ぶりの完全優勝となった。関東大会の中心となった長瀞射撃場と比べると陽射しの当たり加減が悪く、コンディションの劣る能勢射撃場。そのため、レギュラーメンバーは1週間も前から現地入りし、調整していたという。そのような悪条件の中でも「基礎がしっかりしていたため、ブレていても全員が9点、10点に入れることができた」(加藤洋平・理工4=日大豊山)と日頃の基礎の徹底が安定した射撃へと結びついた。

 

 やはり明大の要はこの男だ。今大会では個人賞を総なめにし、団体だけでなく個人としても文句なしの成績を残した大塩。「自分が点数的にも成績的にも引っ張っていかなくてはならない」(大塩)とチームに求められた役割を全うした。圧巻の射撃を見せた大塩だったがレギュラーとして出場した50mライフル3姿勢は試合序盤、他選手の得点を追いかける形に。それでも「明大を勝たせたいという思いをどんな状況でも忘れず撃ち続けた」。自分のためだけではなく、チームのために戦うことを意識することで窮地を脱し、圧倒的な得点につなげることができた。

 

男子もメイジの時代が幕を開ける。昨年度、インカレでは宿敵・日大に一歩及ばず苦渋を味わった明大。今大会では日大を打倒し、過去を払拭することができた。終わってみれば今年度の男子団体は負けなしの圧倒的王者。しかし、この輝かしい成績を一年で終わらせない。来年度主将を務める大塩は「来年も今年のように男女アベックでの完全優勝を達成する」とその先を見据える。古豪から強豪へ。その手を緩めず、王者であり続ける。

 

[女子]

 女王は未だ健在だ。男子と同じく、ARとSBRで1位に輝き、完全優勝を果たした女子団体。インカレ5連覇を達成し、圧巻の優勝劇を見せた。

 

初日の10mエアライフル立射60発競技には渡部奏乃音(国際4=国際学院)が出場した。プレッシャーのかかる一番手にも「最後の射撃だから一発一発を楽しんで撃った」(渡部)。プレッシャーを跳ね除け、自己新記録となる627.3点をマーク。個人2位を獲得し、ファイナルを決めた。「いいスタートダッシュを切れたので良かった」。他にも泉舘玲香(国際3=実籾)が出場し、自己新記録を叩き出すなど他大学を総合力で圧倒した。

 「今年一年で部として好成績を出せたのは主将あってのチームだったからこそ」(渡部)。今年度は監督も交代するなど変化の多い年だったが、その中でも河本理桜主将(法4=鶯谷)の存在はチームでも大きかった。昨年度は射撃部の伝統を続けていこうとする方針であったのに対し、今年度の方針として河本は「部員の意志を尊重」することを意識した。選手たちを第一に考える方針に切り替えたことにより、チームの雰囲気も向上した。また、今大会では50mライフル3姿勢で567点を獲得し、ファイナルに出場。ファイナルでは個人2位に輝き、プレー面でもチームを引っ張った。「やはり河本じゃなければここまで締められなかったと思うから本当に感謝」(加藤)。11年ぶりとなる快挙の裏側には、今年の明大射撃部を両面から支えた偉大な主将の背中があった。

 

[小井土大裕]

 

試合後のコメント

 

河本

――インカレ女子団体5連覇を達成しましたが強さの秘訣は何でしょうか。

 「5連覇というプレッシャーも強みになっていると思います。勝つのが当たり前だと思っていて、他大学だけでなく明治の中でもしっかり競争をしてお互い高め合っているからこそ妥協できず、さらに高め合うことのできる環境が整っていたのでその結果に結びついたと考えています」

 

――主将として見た今年のチームはいかがですか。

 「本当にお互いが高め合えるチームだったと思います。いい意味で緊張感を持ちつつ、楽しむだけでなく負けられないということだったり、勝とうという気持ちが出たため、結果にそれぞれ結びついたと思います」

 

――同期に対して何か言葉はありますか。

 「本当にお疲れ様と言いたいです。今まで競技面以外でも部活で協力してくれたこともあって。本当に支えあってみんなでやっていけたので本当に感謝しかないです」

 

野畑伽奈(商4=大分雄城台)

――今回の大会を振り返ってみていかがですか。

 「私自身は点数が悪かったのですが、全体的に自己新記録を撃った子もいて、男女総合優勝を11年ぶりにすることができて、すごくうれしく思っています」

 

――今年の一年を振り返ってみていかがでしたか。

 「今年一年は本当に先輩がいなくなって、頼れる人もいなかったので、自分が今主務をしていて、みんなをまとめなくてはという思いも強くて、大変な部分は結構ありました。でも無事にこのように楽しんで引退することができて、すごく良かったです」

 

――同期に対して何かありますか。

 「本当に変わっている人たちが多くて、みんなそれぞれ個性があって、すごく笑わせてくれて。試合が悪くて落ち込んでいた時とかも、支えてくれてありがとうございました」

 

加藤

――大学から射撃を始めて、4年生になり引退を迎えた今の気持ちを教えて下さい。

 「実は自分はそもそも射撃部入った理由が、そもそも体育会が結構嫌いでして。大っ嫌いで。でも否定するんだったら1回経験しないといけないという、そのような意識から入ってみました。それで何だかんだ同期や後輩、先輩方のおかげで何とか続けてこられたんですけど4年間。やはり体育会には体育会なりの良さがあるし、もちろん改善していく必要はあると思うのですが、入って本当に良かったと今は思います。本当に射撃をやらせていただいてありがとうございますという気持ちです」

 

六笠陸希(政経4=明大中野)

――前回の秋季大会と比べて何か意識したところはありますか。

 「前回の秋季大会は優勝できたのですが、そういったところでプレッシャーと緊張と最後の試合という意識をしたところが、前回と違うところです。コンディションとしてはバッチリだったのですが、本番のコンディションが上手くいってなかったかもしれないです」

 

――チームとしてこの一年はどのような一年でしたか。

 「もちろん一枚岩ではなかったかもしれないのですが、射撃競技に向けてはみんな一丸となって取り組むことができたのではないかと思います」

 

――4年生は今大会が最後だと思うのですが、何か思いなどありましたか。

 「やはり早く楽になりたいという気持ちはあったのですが、辞める時は少し寂しいです。正直、まだ少しは続けたいという気持ちはあります」

 

渡部

――同期に言いたいことは何かありますか。

 「4年間ぶつかったり辛いこともあったり、楽しいこともあったのですが同期がいなかったら乗り越えられなかったので感謝を伝えたいです」

 

大塩

――来年度主将を務める上で目標はありますか。

 「目標として、このようなインカレでの完全総合優勝を目指して行きたいのに加え、個人個人で成績を出している選手も何人もいるので日本にとどまらず海外に進出できるような実力を身につけて欲しいと思っています」